本日の備忘録/優しい象さんの悲劇、続報その他
ゾウさんはとんでもなく賢いぞ、というお話。彼らの知性や感情のようなものが、私たちヒトと似ているかもしれないという話には、何となく心を惹くところがある。
「本日の備忘録/心優しい象たちの悲劇」 を書いた時点では、犠牲となったゾウたちは6頭ということだったのだけれど、その後新たに5頭の遺体が下流からドローンによって発見されたのだそうだ*2。合わせて全部で11頭のゾウたちが亡くなったことになる。R.I.P.
それにしても、1頭の子ゾウを救うために10頭が犠牲になってしまうというのは、ヒト以外の動物の振舞いとしては如何にも奇妙に思える。「Thai elephant deaths: Do elephants risk their lives to save each other?」(BBC News) という記事は、そのような読者の疑問に答えるべく書かれたもののようだ。いろんな考え方が紹介されていて興味深いのだけれど、簡単に一つの答えを教えてくれるものにはなっていない。
この記事で興味深かったのは、仲間を失いながらも生き残った個体たちのこれから。ゾウはいろんな知恵を年長者から学ぶものだが、死んだゾウの中に年長者がいたとすると生き残った2頭は知恵の伝承も受けられず、仲間を失ったことによるトラウマを抱えていろいろ苦労することになっちゃうかもしれないとのこと。知恵の伝承、仲間の喪失によるトラウマ……知的感情的関係が彼らの間には成立していたとなると、漠然と想像していた以上にゾウはヒトの知性や感情によく似たものを持っているのかもしれない。
ただし、記事の終わり近くにあるように、擬人化した捉え方(anthropomorphism)には注意が必要なのは確かだろう。似ていることと同じであることとの間にある隔たりは決して小さくはないはず。そのへん気をつけていないと、簡単に見当ハズレの感情移入でゾウのことをわかった気になってしまう。お花畑的な自然理解といったものが生まれるのもそこいらへんに意識を向けるのが結構面倒臭いからなんぢゃないかと思えることは多いような。面倒臭いよなぁ、たしかに\(^o^)/。
ついでに書くのも面倒臭くなってきたので今朝はこれでオシマイ。おやすみなさい>┼○ バタッ。
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しかしなぁ、《ご注文合計額が¥ 2,000 (税込)以上の場合、購入いただけます》なんちゅう条件がついてるのかぁ。う~ん。
*1: 最近は、BBCのヴィデオ、自動生成英語字幕利用可のヤツが増えてきていて、これも利用可。おまけに、このヴィデオに関してはさほど複雑怪奇な構文・文法も大雑把な理解を得るのには必要ないみたい。再生画面下の「CC」ボタンに赤い下線がついていなければボタンをクリックしてみられたし。赤い下線が現れ、画面下に自動生成英語字幕が表示されるようになる。
*2: 「Thailand elephant deaths: Drone spots five more victims」(BBC News)
折々のMV/2019.10.05-13、Shards、Weval、Julien Baker……
YouTubeで聴いた音楽、今回は以下の再生リストから。よろしければBGMにでも使ってやってくださいましな。
- 2019/10/05 - YouTube
- 2019/10/06 - YouTube
- 2019/10/07 - YouTube
- 2019/10/08 - YouTube
- 2019/10/09 - YouTube
- 2019/10/10 - YouTube
- 2019/10/11 - YouTube
- 2019/10/12 - YouTube
- 2019/10/13 - YouTube
エントリを書くのをサボるとすぐたまるのはいけませんね。
リストから、とくに記憶に残ったものを以下にいくつか。
今回はまずこれ。Shardsについては例によって全然知らない。YouTubeにTopicページがある(Shards - Topic - YouTube )ので、公開されているアルバムをいくつか聴いてみたのだけれど、本作を収めている『Find Sound』 の出来が抜きん出ているし、アルバム中でも本作が突出しているみたいだ。
シリアス・ミュージックからイージー・リスニングまで、20世紀後半のあれこれを聴き込んで、上澄みを
ただし、率直に云うとヴィデオはいささか気に入らない。「Unrest」というタイトルにはつきづきしいのかも知れないが、かえってしつこいというか意味がうるさいというか。現代人の生活風景を部分的に象りつつ、罅割れなんぞもアレンジし、全体性の喪失によってとりとめもよるべもないunrestな具合に陥っちゃいましたってんぢゃぁ、安直でないですかね? それともそんな読みのほうが安直なのかなぁ。それはそれでありそう\(^o^)/
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Wevalについても全然知らない。でもとにかくヴィデオ、凝ってるなぁ。画像の選択とアニメ化とだけでもずいぶん手間暇がかかっているだろうことを想像すると目眩がしちゃうくらい。同じような形を手がかりにカットをつなぐこと自体は珍しくないかもしれないが、形を忙しなく動かしながらとなると、そうそうお目にかからない。でも、映像に気を奪われて、音楽のほうが映像のBGMになっちゃっているような気がしないでもない。見ている側からすれば、それでも別にかまやしないのだけれど。
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アマゾンのリンク先ページのMP3版アルバムへのリンクが間違っている*1。ただしくは、『The Weight』だわね。
I made these two songs earlier this year. I’m really happy with how they turned out and excited for them to be released as part of the @subpop singles series.
— Julien Baker (@julienrbaker) October 11, 2019
Available now on all the digital services. Vinyl exclusive to subscribers. pic.twitter.com/RDXNGN72b3
とのこと。ってことは、MatadorからSub Popへ移籍したということなの? ということは、boygeniusは解散ということなの?
大雑把な云い方だけれど、フォーキーな曲をエレクトロニカっぽいアレンジでまとめるというのは、最近の流行りなんですかね。そのせいばかりではないのだろうけれど、最初の頃と比べるとずいぶん角が取れてまろやかになった感じ。ひょっとするとその頃からのファンの中には離れちゃうヒトが出て来ることもありそうな。僕はこれはこれでいいんぢゃないかと思うけれど、というかずいぶん気に入っちゃったのだけれど。
その他「“Tokyo” by Julien Baker Review」(Pitchfork) など参照されたし。
Keiko Necesarioもどういうヒトなのか全然知らない。けれど、いい感じの歌唱ぢゃないですか。以前にもカヴァーしていたはずだけれど、評判が良かったのかな。ずいぶん力の入った仕上がりになっている。
いわずと知れたジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)作詞作曲の*2カヴァー、ギターは世界的にヒットしたジュディ・コリンズ(Judy Collins)のヴァージョン*3、チェンバロか何かのパタンをベースにしたやつ。基本的なテンポはジョニ・ミッチェル版に準拠しつつも、ギターは多くのヒトの記憶に訴えるジュディ・コリンズのパタンを利用している。思いつきやすい割に、こうシンプルに仕上げているカヴァーって案外珍しいのでは?*4
佐藤美代 のアニメの独特の質感がチャーミング。
*1:2019年10月14日昼現在。
*2:cf. 「青春の光と影」(Wikipedia) 。お若い方のために書いておくと、「青春の光と影」は「Both Sides Now」の邦題でございます。音源は、Both Sides Now - YouTube 。Topicモノ。
*3:cf. Judy Collins - Both Sides Now (Official Audio) - YouTube 、1967年10月『Wildflower』中で初登場。ヒットしたシングルは68年10月リリース。ジョニ・ミッチェルのものは、アルバム『Clouds』1969年5月のものが最初。
本日の備忘録/「ノーベル文学賞は外国人に」の件
我がTLでは、馬鹿にされ扱き下ろされまくっていた
ノーベル文学賞は外国人にhttps://t.co/BwM9erdbW5
— 共同通信公式 (@kyodo_official) October 10, 2019
との見出し、たしかに「日本チャチャチャ」自意識剥き出しと見えてしまうシロモノ、みっともないものではあったし、実際のところ、
Kyodo headline of the year:#NOBEL PRIZE FOR LITERATURE GOES TO FOREIGNER
— William Mallard (@BillyMallard) October 10, 2019
★ノーベル文学賞は外国人に - 共同通信
てなふうに「外国人」*1からさえからかわれる始末*2。まぁ結果としてはどうしようもない速報記事ということになっちゃったのだけれど……。
別に共同通信を弁護するわけではないのだけれど、この見出しは、日本人の自意識過剰みたいな傾向と、少なくとも周囲が考えるほどには強い結びつきを持っていないのではないか。
そもそも共同通信サイトの記事には、新聞記事と同じような読者によって読まれることを想定していないものも多い。まずそのことを確認しておこう。
2015年1月7日付エントリ「本日の埋草/世の中のことはよくわからない」 で取り上げた共同通信の見出し及び記事本文をここでも取り上げてみる。
というわけでスクショでございます。 pic.twitter.com/nsvVEXdWP9
— neanderthal yabuki (@nean) January 6, 2015
今現在となっては、この見出し、ばかりではなく記事本文を読んで、何のことかすんなり理解できるのかどうか。まず大抵の人類にとっては謎でしかないんぢゃないか。でも、これで「ニュース詳細」なんですぜぃ\(^o^)/
しかし、こういう記事が公にされているということは、これを理解できるヒトたちの存在が想定されているということである(はず)。ならば、こういう記事のユーザとして想定されているのが僕たち一般人ではないから僕たちには理解できないのだと考えるのが合理的ぢゃないだろうか。記事が扱っているサブジェクトが見出しと記事本文の文言からパッと理解できるヒト……要するに通信社による速報の本来のユーザである他の報道メディア関係者が想定されているというわけだ。彼らなら、話題になりそうな時事に通暁しており、情報の断片でしかない見出しと記事からでも、扱われているサブジェクトが何であるか機転を利かせて理解できる(だろう)。
この記事の場合ならば、マクドナルドのチキンゲットへの異物混入という事態*3を追っている他のメディアの編集者などがターゲットとなるユーザなら、共同通信の他の断片的な記事と合わせ読んで何のことかの見当は容易につけられるだろうという見込みの下に書かれ、公開されたということなのだろう。
今回のノーベル文学賞記事の件も、そのへんの事情を考えてみるといい。
すぐ後に「ノーベル文学賞トカルチュクさん ハントケさんも」(共同通信) という見出しの記事が書かれていて、少なくとも共同通信としては、先の「外国人」記事がそれだけで完結した記事になっているとは考えていなかったってことだろう。あれは、とりあえずの速報だったのだ*4。たぶん。
共同通信 ページを比較的頻繁に利用するユーザならわかると思うのだけれど、こうした事態はまったく珍しくない。同じサブジェクトについて複数の記事が公開されたり、一つの記事が次々と更新され記事内容や見出しが変化していったりするのは常のことだ。
今回の「外国人」見出し記事についても同じように考えられるだろう。あれはあくまでも最初の速報、断片的な情報の一部として記事になったのであって、あれが独立した記事として受け止められることなど想定されていないのだ。だから、通常の新聞記事のように読んで、日本人の自意識過剰を表しちゃっているとストレートに受け止めるのは、少なくとも共同通信社の意図から隔たりが遠い受け止め方だということになる。
このへん、@kinokuniyanetさん が概ねわかりやすい説明をツイートしておられるので、そいつを挙げておく。
— kinokuniyanet (@kinokuniyanet) October 10, 2019
要するに*5、お得意様ユーザの記事制作過程の都合を考えた結果があの見出しなのであり、見出しの意味内容のみを以て共同通信社が日本人の自意識過剰みたいなものに囚われていると見るのは早合点なのだ、と見たほうが現実に近いということになる(みたいだ)。
もちろん、こうしたことは、新聞社などの報道機関のサイトはもとより、他の通信社、時事通信とかAFPとかReutersとかのサイトではなかなか見られないものではある。だから、たまにしか共同通信サイトを覗かないヒトにはわかりっこない。僕だって2015年1月頃は、そういう見当を持っていなかったから、あぁいうエントリを書いたわけだ。
だからもし、共同通信が、たとえば「『ノーベル賞は日本人ではありませんでした』報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも『日本スゴイ』に回収」(LITERA/リテラ) みたいな記事に代表される批判を減らしたい、あるいは外国の通信社特派員みたいなヒトからからかわれたくないと考えるなら、共同通信サイトに掲げられる記事の性格について説明したページを設けて、各記事のフッタからリンクでもしておくといいんぢゃないか。ちょっぴり面倒臭いかもしれないけれど、たぶんあるんぢゃないかと思われる電話とかメイルとかによる抗議への応対よりはラクチンだと思うんだがなぁ。そうでもないんですかね?
本件とは関係ない思いつきなんだけれど、ボブ・ディランも文学賞を受賞するくらいなんだから、ひょっとして宮﨑 駿が村上春樹より早く日本人受賞者になる可能性なんちゅうものもありそうな気がするのだけれど、どうかしらね?
ハントケが脚本を書いている。ヴェンダースの映画、バックの選曲も良くてなかなか。
12月2日発売予定。しかしこれもパッと見、中身の想像がつきにくいタイトルだと思いません? なんだか共同通信社のアカシック・レコード*6みたいなタイトルぢゃないですか^^;。
*1: おまけにただの「外国人」さんぢゃない。アカウントページのプロフィールによれば、「Japan bureau chief at Reuters」とある。あっと驚く、同業他社の外国人さんぢゃないですかぁ\(^o^)/。
*2: このツイートに続くスレッドも興味深いので、関心がおありの方は、お読みになられたし。
*3:cf. google:マクドナルド チキンナゲット 異物混入 2015、検索結果トップのいくつかを読んだ上でなら、上の記事がその異物混入が発生した地域についてのものであることもまぁわかるんぢゃないかしら。/改めて確かめてみたら、こりゃそれでもわからんかもって感じ\(^o^)/。
*4:【2019年10月13日】後になって見つけたのだが「外国人」見出し以降の共同通信記事については、「Re:大手マスコミよりスラドの方がレベルが高いだなんて (#3699929)」(「2018年のノーベル文学賞はオルガ・トカルチュク氏、2019年のノーベル文学賞はペーター・ハントケ氏が受賞」(スラド)) が簡単なまとめになっていて、概要を把握するのに好都合になっている。
*5:【2019年10月26日註】元々は関連スレッドも表示できていたのだけれど、@kinokuniyanetさんの一時凍結復活後、現在のような表示になっちゃった。ひょっとすると表示も復活するかもしれないのでしばらく現状のままにしておくつもり。詳細をさっさとお知りになりたい場合は、twitterでの表示を利用されたし。
*6:cf. google:アカシック・レコード
本日の備忘録/目の中の目
This is SO cool.
— Matthew Cappucci (@MatthewCappucci) October 8, 2019
See that little pinhole in there? That's the OLD eye within the NEW eye.
Not only is that just bizarre to see this well-pronounced, but it gives scale to how much the eyewall replacement cycle has increased the size of the eye. #Hagibis soon to Cat-5 again. pic.twitter.com/hFXDJYQDjm
「Super Typhoon Hagibis, currently packing winds to 150 mph, may impact Tokyo」(The Washington Post) 経由。
某スポーツ紙が「史上最強」とか誤訳(?)誤報をカマしちゃった元ネタ記事で引用されていたツイート。あんまり面白がってしまうとお叱りを受けることになっちゃうんだろうけれど、これ、おもしろいよねぇ。少なくとも僕はこういう現象を目にするのは初めてだわ。
台風の目の中のミニ台風とその目の発生なんて、やはり大型台風ならではの現象なんだろうか。大型ならではということなら、地球温暖化が進むとこういう入れ子型台風みたいなものもちょくちょく見られるようになってくるんだろうか。それとも台風の目の中のミニ台風という解釈がテンで間違っていたりするのかしら*1。そこいらへん、玄人筋の方たちはどうご覧になっているのかしら。なんだか教えてくん状態を抜け出せない\(^o^)/
おまけ
- 台風への備え 堺市
同様のページはそれぞれの自治体に、たぶんあるよね。
- 気象庁 | 雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)
限定された地域ごと、1時間先までの繊細な雨雲の予報が見られる。短時間の外出の折などに便利。関連記事:「高解像度降水ナウキャスト、ちょいと便利かもね」
- 特務機関NERV(@UN_NERV)さん | Twitter
災害・停電・交通の最新情報の確認はこちらさんのツイートが便利。
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《※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません》……ではあるのだけれど、Kindle版なら宅配のヒトたちを荒天に晒さずに今すぐ読めるというアドバンテージがある。
*1: 実はこの可能性が一番高いんぢゃないかという気がする。目の中の台風と見えるのは、ほんのちょっとした雲の流れ加減に過ぎず、「ミニ台風(の目)」と名指せるような特徴を備えているわけではないとか何とか。でもまぁ、そう思ってみてもおもしろいことに変わりはないんだけれど。