以前から、何度か取り上げて来たこのアーチ窓の場所、やはりあそこはかつて駅だったらしい*1。
昨年10月のエントリ、「27日のうだうだ/消えた駅舎? みたいな。」*2で取り上げた、
お兄さんが地元の方の話として語ってくださったところによると、このアーチ窓のあたりは、かつて駅舎だったのだとか。向島駅という感じなのかな。そういえば、池内 紀『東京ひとり散歩』にそのへんの話が出ていたようないなかったような。でもあれは震災前の駅の話? ガード下云々の記述はなかったよなぁ、たぶん。それとも、昔々の業平橋駅だったんだろうか?
「隅田公園駅」(Wikipedia)*4が、それ。
東武鉄道が、従来ターミナル駅としていた浅草駅(延伸時に業平橋駅と駅名改称)から浅草雷門駅(現在の浅草駅)までの延伸を果たした1931年(昭和6年)、唯一の中間駅として開設された。名前の通り、隅田公園の最寄り駅となった。
浅草駅を発車した列車が、隅田川橋梁を渡ってすぐの所に設けられており、立派なホーム上屋を持つ高架駅であって、ホームの有効長も長く取られていた。しかしながら急行列車は停車せず、普通列車のみが停車していた。
戦時体制が濃くなった1943年(昭和18年)には、不要不急駅整理の対象となって休止となり、そのまま営業再開する事は無く、1958年(昭和33年)に廃止された。
強調部分の記述は、アーチ窓の所在に悉く合致する。隅田公園の小梅邸跡に面した場所にアーチ窓はあった。というわけでググッてみると*5、他にもあれやこれや出てくる出てくる。ただし、いろいろ当たってみると、このアーチ窓が隅田公園駅跡のものであろうことはほぼ確かなのだが、業平橋の駅名の変遷について以前『スカイツリー 空へ未来へ』(読売新聞)で見た記憶とどうもうまく辻褄があってくれないあれこれが出てくる。このあたりは、 東武博物館にでも出かけて確認してしまおう。東武博物館なら大丈夫だよねぇ、たぶん。
とにかく、あのアーチ窓は「隅田公園駅」跡のものということだけは、はっきりしたと見て良さそう。
しかしなぁ、もうその名前で呼ばれる期間はそう長く残っていないのだが、「業平橋駅」というのもいろいろ厄介な名前なのだ。単にこれまでテケトーに名称が変更され続けてきたというだけではなく、この「業平橋駅」という名そのものの由来がそもそも面倒臭い。
東京スカイツリー見物のコースにはいろいろあるけれど、一番手っ取り早いのは東武伊勢崎線「業平橋駅」*6下車ってコースだろう。業平橋駅を降りて、言問橋通りを北十間川方向に歩くとすぐ橋に出喰わす。そのためにそのすぐ出喰わす橋を「業平橋」だと思い込むヒトはものすごく多い。Twitterで適当に探してみると《東京スカイツリー、業平橋から見ると、巨大な戦艦ヤマトを建造しているかのようだ》というようにその橋からの眺めを「業平橋」からの眺めだと勘違いなさって撮影される方もちょくちょく。Twitterでそういう勘違いをいちいち指摘するのも野暮な感じがして結局放ったらかしにしてしまうのだけれど、それはそれで何やら後ろめたいというか社会的責任を放擲しているというか、何かしら蟠るところが残る。というわけで、ついでに簡単に書いておくべし。
業平橋駅から一番近い言問通りにある橋は、実は「東武橋」なのだ。「業平橋」と呼ばれる橋は、言問通りから浅草通りに入ってちょっと浅草よりのところにある。大横川親水公園の上に架かっている橋がそれだ。では、その「業平橋」の名前をとって現在の業平橋駅の名前があるのかというと、実はそうではないらしい。面倒臭いったらありゃしない。
ウィキペディアによると、
近くに掛かる隅田川の「吾妻橋」(あづまばし)に由来する。在原業平を主人公とした『伊勢物語』の中にこの付近を舞台とした「都鳥」があり、「吾妻橋」の別称として業平橋の名称を用いたとされる。
また、近くを流れていた大横川(現在の大横川親水公園)にも業平橋が架かっているが、こちらは駅名の由来とは関係ない。ちなみに、こちらの方が当駅からの距離は近い。
なのだそうな。ウィキペディアの記述がどこまで信用できるかわかんないけれど、まぁややこしい話でございますねぇぃ。このへんも、 東武博物館で確かめておくべし。
っていつになるんかわからんちんですけどね。
現在の業平橋から東京スカイツリーを撮ると以下のような具合になる。っと写真を選ぼうと思ったんだけれど、最近業平橋からのって撮ってなかったんだよなぁ。というわけで、現在よりちょいと前、タワークレーンも残っている昨年12月のヤツ。あんまり建造中のヤマトには見えないと思う\(^o^)/
。
*1:【復旧時註】とうきょうスカイツリー駅と隅田川の間、隅田公園水戸屋敷跡前あたり。現在(2017年)ではすでに解体されているのでこのアーチ窓を眺めることは出来ない。
*2: 未復旧エントリ。
*3: それにしても、ここで『東京ひとり散歩』の話を引っ張り出しているのは、実にまったくもって見当外れもイイトコだよなぁ。お恥ずかしい。『東京ひとり散歩』がとてもチャーミングな本だったから、ということで、ここは一つお許しを賜りたいところ。
*4: 強調引用者。以下の引用は20011年6月9日午後に行った。
*5:cf. google:隅田公園駅
*6:【復旧時註】現在の「とうきょうスカイツリー駅」。
*7: 引用は2011年6月9日午後に行った。/【復旧時註】現在では「業平橋駅」という項目がなくなり、「とうきょうスカイツリー駅」(Wikipedia) に変わっている。引用した記述はすでに確認できなくなっている。