ピート・シーガーの訃報記事に目を通しながら

 晩年のインタヴューというか独り語りというか。あぁ、当たり前といえば当たり前だけれど、ピート・シーガー、ちゃんとアラン・ロマックス*2にも言及しているなぁ。英語の過半は聞き取れていないんで、名前が何とか聴こえてきたというだけのアレなのだけれど*3

 日本語報道に目を通していて、ピート・シーガーとフォーク・リヴァイヴァル*4運動に触れた記述がないことに驚く*5。たしかに、ピート・シーガーと来れば歌声を思い出すことに間違いはないけれど、生涯経歴を振り返るとなれば、ただ僕たちの社会に共有されている記憶の再確認だけで済ませてしまうだけでいいのかどうか。たとえば、ミシシッピー・ジョン・ハートの再発掘への関わり一つとっても、今僕たちが耳に出来る音楽の幅を広げたというあたり*6、記憶の再喚起が行われてもいいのではないかと思う。

 とはいえ、ウィキpを眺めていても、「Alan Lomax」(Wikipedia御本家) hatena bookmarkの項目さえ日本語版には存在しないってあたりからどうにかしなければならないのかなぁ。自分で訳すことを考えると、面倒臭ぇぇっってな気分が先立ってしまうし、僕なんぞが訳すとデタラメな訳になることが目に見えているので、だれかもちっと適任なヒトが御本家の翻訳記事くらい書かないかしら?

 ブログの巡回先でもアラン・ロマックスに触れたことがあるヒトって「このストリートミュージシャンがすごい」(平民新聞) hatena bookmarkの平民さんくらいしかいらっしゃらない*7。ということは、日本ではそれなりに知的なヒトたちにだってフォーク・リヴァイヴァルって、ちゃんとは知られていないということなんだろうなぁ。といって、僕だってエントリをでっち上げられるほどの知識があるわけでもないんだけれど。

 それにしても、よく喋りまくる爺ぃさんだったんだな。「セサミストリート」なんかでもそういやそうだったか。

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アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)

 

*1: 「Democracy Now!」で、これまで取り上げてきたピート・シーガー関連の記事をShows featuring Pete Seeger | Democracy Now! hatena bookmarkでまとめてくれている。いずれも閲覧しがいのあるものばかりだ。大したもん。

*2:cf. google:アラン・ロマックス]、[google:アラン・ローマックス] 、 [google:Alan Lomax

*3:【復旧時註】ちゃんと英語字幕も利用できる。再生画面右下の「CC」ボタンをクリックされたし。

*4:cf. google:フォーク・リヴァイヴァル

*5: 英文でだってかなりの程度同じようなもんなんだけれど、でもそれでもNYTの記事みたいに一通りの言及があるものも珍しいというわけではない。ここいらへん、日本での「フォークソング」の歴史みたいなものを何となく思い浮かべて、輸入文化が持っている偏りの大きさについて考え込んだりする。もちろん、そういう偏りが様々な文化変容を生み、文化の豊かさを生み出す源ともなりはする。しかし、そうした経緯を正しく振り返る目はまた別に期待されるものであるはずだ。

*6:cf. Mississippi John Hurt, Pete Seeger, Paul Cadwell, Hedy West - Goodnight Irene (Live) - JOHNHURTVEVO、YouTube hatena bookmarkとか。他にもYouTubeにはいろいろ上がっている。興味がおありなら探してご覧になるといい。/もちろん、日本でミシシッピー・ジョン・ハートを聴くヒトなんてわずかなもんだろうけれど、そこいらへんの影響を受けた音楽やギター演奏なら、いろんなヒトが日々耳にしている。フォークリヴァイヴァル運動がなかったとしたら、そこいらへんずいぶん違ったものになっていたんぢゃないだろうか。そうでもないかなぁ、いやぁ、そうでもないなんてことはないよなぁ。

*7: ということで今回改めて覗いて、エントリの増補ぶりに驚いた。もう読んだぜ、というヒトも改めて覗いてご覧になることを強くお薦めする。

*8:【復旧時註】今ならKindle版も出ているし。