本日の一句/雪敷ける町より高し小名木川 波郷
「雪敷ける町より高し小名木川」。北砂、新開橋脇にある石田波郷生誕百年記念碑。写真を撮ったのは昨年9月頭あたり。記念碑が出来たのは、3月だったと思う。
「砂町も古りぬ冬日に温められ」。
石田波郷*1は、戦後からしばらく北砂で暮らしていた。僕が北砂に以前住んでいたところの目と鼻の先だったらしい。当時は不勉強で全然知らなかったことだけれど。
そういう縁でか、北砂には 石田波郷記念館*2もある。何分、上記のような具合でまだ出かけたことはない。
下町の運河の大概がそうであるように小名木川を渡る橋は坂の上にある。掘りが浅かったせいか、それとも後の堆積物のせいか、川底が下手をすると周囲の土地より高いかもしれないくらいになっていて、そのために護岸が高くなっているからだ。足を雪にとられないように注意して傾斜を登ると息が切れちゃいますな。でも、橋に登りつめると、戦後間もなくくらいの頃のことなら橋の上から雪を敷いたようなあたり一面がよく見渡せたんぢゃないのかな。空襲のことを考えれば、視野を遮る建物もなく、ひょっとすると思いの外広い周囲が眺められたのかもしれない。で、北砂で暮らしていて小名木川を渡るとなると、たぶん新開橋。だから、冒頭の句が碑に刻まれることになったのだろう。
堺は朝までに雪は積もってやんでいた。積もった雪を見ていてなんとなく記念碑のことを思い出した。碑は、今になってようやく刻まれた句にふさわしい日を得たのだな、至って個人的な勝手な話だけれど。
*1:cf. google:石田波郷
*2:cf. google:石田波郷記念館