捕鯨問題を語るつもりなら、まずこのヴィデオを見ておくべき

 「自民、クジラ料理の提供開始」(時事ドットコム*1を読み、「自民党本部食堂に「クジラ料理」 調査捕鯨アピール(14/09/19)」(ANN、YouTube)hatebu*2を見ていると、なんだかなぁと思わざるを得ない。

 カレーとか喰って伝統的な食文化を主張しているなんてのは、今の自称「保守」のヒトたちの保守感覚ってちょっとどうにかしてるんぢゃないか*3。「まず日本のヒトにそいつを知っていただきたい」なんて、食生活にホントに欠かせないというのであれば出て来るはずもない言葉さえ飛び出すのには唖然とするしかない。国際交渉に臨んで内弁慶というかお仲間内なんだか票田なんだかのことしか考えていないというかのような言葉しかクチに出来ないようでは、調査捕鯨はいつまでも認められないまま、あるいは認められても商用捕鯨への道は見えないままになっちゃうぢゃないか。

 ストレートに商業捕鯨をさせろという交渉ぢゃなくて、その遥か前段階の調査捕鯨をめぐる交渉だということさえ頭にあれば、文化伝統の主張はほとんど無意味だ。威勢のいいことを語り、そいつが外で通らなければ、非科学的だ、民族差別だなどと相手の主張をつぶさに目にすればすぐにバレる内向きの譫言を語る。そいつぁイカンよなぁ。

 僕は喰い物としての鯨は好物である。鶯谷信濃路のような安食堂のちょっとした贅沢品としての鯨刺なり鯨のベーコンなりは欠かせないものだと思う。でも、だからといって戯言によって国際交渉に臨んでいいわけはないと思うぞぉ。まして仮にいくら美味くったって、反捕鯨国のヒトビトにカレーを喰わせて一体何になるというんだ。彼らは別にマズいから調査捕鯨はいかんと云っているわけではないのに。

 というわけで、上のヴィデオくらいの認識は、選良さまにはせめて持っていてもらいたいもんだよなぁ。現状では、「日本の調査捕鯨、検討強化でIWCが合意」(AFPBB News)hatebuの方向性を世界が選ぶのは、日本の側の落ち度によっていると考えざるを得ないんぢゃないか。

 

残念なおまけ(2014-09-22)

残念なことに、ただし案の定、

というようなツイートが出回っている。いい加減な発言や行動は日本の立場を悪くする元にしかならないということを、選良さまにはよくよくお考えいただきたいものだ。

 この tweetにつけられた日本人のコメントが、これまた鼻から相手を差別主義者と極めつけるような手合のもの、書き手が沿岸捕鯨には賛成で日本に永らく暮らす人物であることも確かめていない情けないものになっている。そうしたコメントの文言が対外的に力になると考えているとすれば、大いに賢明を欠くと云わざるを得ない。小飼 弾のレスポンスばかりは皮肉が加わってホッとしたりも出来るのだけれど、なんだか通じてないみたいだしぃ\(^o^)/。

 

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だれもが読むには高いんだよなぁ。うー。

 

*1:【復旧時註】すでに削除された模様。ただしこの記事の内容は、「時事ドットコム:自民、クジラ料理の提供開始」(archive.today)hatebuで確認できる(2018年2月19日確認)。

*2: ANNのニュースヴィデオは割と早く見られなくなるので、さっさと見ておくように。【復旧時註】まだ見られるみたいだ。びっくり(2018年2月19日確認)。

*3: もちろん、日本のカレーはすでに日本的に文化変容を遂げており、一つの日本文化足り得ているということが出来ないとは思わない。しかし、典型的なモノを挙げずに他者を説得出来ると思っていると思しいことを考えれば、悪手だということは明らかぢゃないか。