道路工事現場でおなじみの安全太郎は、名古屋市内で製造され続けて、来年で45年になる。名神、東名高速道路が開通した直後の1970年、日本道路公団(当時)が、愛知県春日井市で道路標識などの設備業を営んでいた土井万里雄さん(故人)に開発を依頼した。なぜ愛知か定説はないが、68年に名神と東名が小牧インターで接続したころに工事が集中したためではないか、ともいわれる。
当時の深刻な事情について、公団の資料にこう書かれている。
〈問題は、工事規制区間の先端で交通を誘導する旗振りマンが、暴走車に跳ね飛ばされる人身事故が短期間に相次いで発生したことであった〉
作業員の悲惨な事故をなくしたい。その思いで造られたのが、安全太郎なのだ。
44周年ぢゃぁどうにも半端なのだけれど、 昨日のエントリ*2を書いたところへこの記事で、さて安全太郎は昔の側なのか今に近いのかどうにもわからないなと感じてしまったのだった。
見かけたことがないなどということはもちろんない。別に上のヴィデオがなくともその姿はありありと思い浮かべられる。けれど、一体いついつのことなのか、見かけたはずの具体的な思い出との結びつきがつかめない。記憶の時間軸をぼんやりと漂うような、時のトワイライト、薄暗がりからぬっと顔を現すような、なんとも怪しい感じなのだ。こういうのも個人的な感じ方の問題にすぎないんだろうけれど、いやぁ、気持ち悪いなぁ。明らかに同時代を生きていながら、強い関心を寄せなかったものとなると、こんなもんなんだろうか。うーん。
まぁ、見た目も人間のようでありながら、あちらこちらの細部やバランスが放射する違和感だってかなりのもの、不気味の谷にも及ばない低レベルの気持ち悪さだけれど。
中日本高速道路名古屋支社によると、管内(愛知、岐阜、三重と長野・滋賀の一部)の高速道路で昨年、道路補修などで交通規制されたのは約7千回。最近は簡易型の折りたたみ式誘導ロボットや、LED表示のボードタイプが使われることも多くなったというが、「いまも中心的に使われるのは安全太郎」(広報)という。何よりも、立っているだけで存在感があり、ドライバーの視認性が圧倒的だからだ。
ibid.
視認性の高さも、単にヒト型だからというわけではなくて、ある種の「不気味の谷」的な感じによっていると考えられやしないかしら。パッと見、ヒトに似ていなくもないのだが微妙な違いによって喚起される低レベルの違和感が、かえって強くヒトの注意を引くことにもなるというような。「不気味の谷」はロボット工学上忌避されるべき事象とばかりは云えず、ヒトの注意を喚起するために実用上応用可能なものとして認められる可能性アリかも、というのはどうか?
参考文献、、みたいな
- トクデンコスモ株式会社
【復旧時註】元エントリの頃には、トクデンコスモのオフィシャル・サイトってなかったはずなのだけれど、改めてググってみたらちゃんと出来ていた。「更新情報」によると、2016年11月1日公開とのこと。でも、その後の更新情報がない^^;
- エアー安全太郎|東亜技研株式会社
表題以外に然るべき情報がない*3。「エアー」というのはてっきり空気で膨らませる人形なのかと思ったのだが、ひょっとして「エアギター」とかいうときの「エアー」だったのだろうか?
安全太郎そのものは、さすがのアマゾンにも置いてないみたいだ(^_^;)。