「地方創生」というバトルロワイヤル

 一昨年1月のニュース。率直な話、公園にベンチが設置されただけでニュースになるのかと驚いた。しっかりとした作り付けのものでもない、ただそこに置かれるだけのベンチに過ぎないのに、と余所者の目には見える。もちろん、公園にベンチはあったほうがいいし、それが有志の手によって設置されたということは顕揚されていいことでもあるだろうから、ニュースにされるのが悪いことだなどと云いたいわけではない。そういうことがニュースとして報じられるというところに、何とも云い難い地方の現在があるのか、と驚くばかりだ。

 

 「地方私立大、『公立化』に活路 地方創生が追い風に」(朝日新聞デジタル) はてなブックマーク - 地方私立大、「公立化」に活路 地方創生が追い風に:朝日新聞デジタル、私立大学が公立化して安い学費で学べる若者が増えること自体はスバラシイことだ。けれど、地方創生そのものは、どの程度維持できる政策なのだろうか、実際のところ、地方にとってほんの少しばかりの延命だけの彌縫策に過ぎないんぢゃないかというようなことを何となく考える。

 日本の人口減少に歯止めがかかる気配は今のところ全然ない。歯止めを本気でかけるような心配をしているヒトは思いの外少ないように見える。おまけに人口予測は、様々な予測の中では大きくハズれることの少ないものだ。そういう前提を認めた上で地方創生が結果するところを想像してみると、あんまり愉しい未来を思い描けないように思える。

 地方創生のためにそれぞれの自治体がどんな策をとっているのか、そのすべてを詳らかにしているわけではないけれど、耳目に触れたかぎりでは、その要にヒト集めがあることはどうも動かないように見える。全体の人口が減少する一方であることを考えると、地方創生はある種のゼロサムゲームということになりはしまいか、自治体生き残りを賭けたバトルロワイヤルとしての。どこかの地方にヒトが集まるということは、別の場所からはヒトが流出するということである。その結果、東京その他の人口集中地域からヒトが満遍なく流出し、日本各地に均等な人口密度をもたらす、というようなことは最も想像しにくいことの一つだろう。

 ということはつまり、成功を収める自治体も出ては来るだろうが、多数の自治体には失望が待ち受けているということだろう。ということはまた、地方創生の名の下に費やされる国費の大部分は捨て金にしかならないということだ。もう少しマシな金の使い方を考えるというのがあってもいい筋道ではないかとも思う。地方創生って結局人気取りのための、空疎な政策に過ぎないんぢゃないのか。それとも、突然どこかからヒトが涌いてくるようなしかけがあるんだろうか。

 突然、ボコボコ出生率があがるとは考えにくい。仮にあがったとしても、子どもたちが就労するまでは育児教育負担は増えることになる。公が払うのか私に委ねるのかは知らないが、突然少子高齢社会の問題が解決しちゃうほど子どもが生まれたとして、20年以上にわたることになるそういう負担に耐えられるのか。移民をさっさと増やさないとヤバいんぢゃないかというような話は、本家「与太」でしたことがあったけれど、「イスラム国」のような国際テロが問題化した今となっては、以前に増して受け入れに消極的になることは避けがたいだろう。

 そうなってくると、厳しい予算をよほど賢く使わないとなぁ、ってなことくらい、実は結構な数のヒトが気づいていても良さそうな気がするんだけれど、そういう気配ってあんまりないのはどうしてなんだろうか?

 今日出てたAFPのだってそうだし、以前本家「与太」で紹介した Journeyma Picturesの

なんかだってそうだけれど、むしろ海外のほうが日本の人口減少についてよっぽど気にしているみたいに見えることが多いのは、どういうことなんだろう*1。本当に政府も国もわかってるんだろうか。わかっていることをちゃんと直視しているんだろうか。

 とか云って、まぁ自分にだってなーのアイディアもないのだけれどさぁ。いやまぁ。

 

 話題のヒトということで。

 

全論点 人口急減と自治体消滅

時事通信社
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 とはいえ、パラパラ読んだこの主題を扱った本に充分な展望は得られたことってないんだよなぁ。というわけで、まだ出てない本に望みを繋いでみますかね。

 

*1: 増田レポート以降、いくらかクローズアップされる折が増えはしたし、なんかNHKかどこかでもこの手の特集番組が近々あるらしいとかなんだそうだけれど。でも、番組の宣伝みたいなのを眺めていると、ずいぶんおおらかで呑気なように思えるなぁ。うーん。