文殊の知恵、3名様限定

20150211140406

 ゴチになります

 まずこういうのは戴き物としてしか呑まないなぁ。よかぁ知らないけれど、こりゃ高かったでしょ。いい気分で呑ませていただいておりますす。

 

 諸般の都合により「私の個人主義」再読。いやしかしまぁ、漱石先生エラいよなぁ、と改めて嘆息( ´Д`)=3

……ただもう一つご注意までに申し上げておきたいのは、国家的道徳というものは個人的道徳に比べると、ずっと段の低いもののように見える事です。元来国と国とは辞令はいくらやかましくっても、徳義心はそんなにありゃしません。詐欺さぎをやる、ごまかしをやる、ペテンにかける、めちゃくちゃなものであります。だから国家を標準とする以上、国家を一団と見る以上、よほど低級な道徳にあまんじて平気でいなければならないのに、個人主義の基礎から考えると、それが大変高くなって来るのですから考えなければなりません。だから国家の平穏へいおんな時には、徳義心の高い個人主義にやはり重きをおく方が、私にはどうしても当然のように思われます。その辺は時間がないから今日はそれより以上申上げる訳に参りません。

夏目漱石「私の個人主義」(青空文庫) はてなブックマーク - 夏目漱石 私の個人主義

 こういう言葉も、福沢諭吉「瘠我慢の説」(青空文庫) はてなブックマーク - 福沢諭吉 瘠我慢の説 瘠我慢の説冒頭の言葉も、なんだか今のほうがずっと通じにくくなっているような気がする。前近代と近代の裂け目を跨いで生きたからこそ綴れる言葉だということなんだろうか。というような、僕が考えても仕方がないようなことを、また考えたり考えなかったり。まぁ同じ時代を生きたってそうは考えられなかったヒトのほうが圧倒的に多いわけで、やっぱり漱石先生エラいよなというところに落ち着いちゃうわけだけれど。

 

 文殊の知恵も3人まで、それ以上ヒトが集まるとロクでもないアブクの考えがブクブク湧き出してくるとは古人の言、というのは嘘っぱちだけれど、いずれ「Dunbar's number」(Wikipedia) はてなブックマーク - Dunbar's number - Wikipedia, the free encyclopediaを超えれば、何かと収拾がつかなくなるに決まっていて、エッチラオッチラそれでもなんとかまとめて生きていきましょうということになれば、民族とか宗教とかはたまた国家とか、いろいろ面倒臭いフィクションを案出せねばならないハメに陥ることになる。他に方途がない以上、それはそれで工夫の一つとして認めてやっても構わないのかもしれないが、出自が間に合わせのでっち上げであることは動かない。年代物のフィクションともなると、あれこれ経年劣化でガタガタギクシャク、奇っ怪な再解釈の類もご登場遊ばして、面倒はアチラコチラで認容の限度を超えることも出て来る。そうなると、勢いフィクションで現実のほうを捩じ伏せようとする堪え性のない輩が涌いてくるのもやむを得ぬ仕儀と相成って、まったくもってメデタシメデタシの結末ばかりは見えて来ない。ごくごく大雑把に云えば、現今報道を賑わすスッタモンダはそこいらへんの屁理屈に押し込めておいても大過なさそうだ。フィクションでいくら煙幕を張り巡らしても、暴力のリアルがパックリ大口を開いてゾロゾロ餌になるヒトビトが飛び込んでくるを待ち構えているというところに思い至らないテイタラクとかそのへん。こんなところでブツクサ云ってみてもせんないことではございますけれども。要するに《象の支配》(ジョナサン・ハイト)ぶりにゲンナリするばかりでございますね。

 

立ち読み課題図書、その他

 強力プッシュ中。吉岡先生の文章術指南本の中でもとくに良く出来ていると申し上げて良さそう。

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

 

 所謂「ベストセラー」を読むのは「ちょー」付きのひさしぶり。我がTLでは、頗る評判の悪い池内恵先生、たしかにとくに現実的政治的なアレコレへの提言の類には首肯しがたいところはあるのだけれど、それだけで視野の外に置いてしまうのはあまりにもったいない。そのへんの考え方に変わりなし。読んでみると、「イスラ(ー)ム国」はイスラム教とは縁がないゴロツキの集団だというような、そうであってくれたら面倒臭くないのになぁってな捉え方ではお話にならないってあたり、よく呑み込めるんぢゃないか。おまけに「イスラム国」が掃討できたとして、その後あの界隈がどうなるのか。実のところ、人類界隈に明確な方針みたいなものはない、というか、ホイホイ案出してやっつけるだけのアレコレは容易に出て来ないといったあたり。

 立ち読み代わりに本書第6章あたりと絡むお話が出て来る「ISISについて:池内恵と対談」(cruel.org) はてなブックマーク - ISISについて:池内恵と対談くらいは、せめてお読みになるあるよろし。

シャルリ・エブド事件を考える: ふらんす特別編集

シャルリ・エブド事件を考える: ふらんす特別編集

 

 発売は来月だけれど。国内報道ではあんまりちゃんと取り上げられていなかったんぢゃないかと思えるアレコレも、これだけ執筆陣がアレコレいらっしゃれば、しくじっても下手な鉄砲、ちゃんと触れた論考も登場するのではないかしら。関心がおありの方には、たぶんお買い得になるんぢゃないかしら。保証の限りではございませんが。

直感でわかるロジカルシンキング

直感でわかるロジカルシンキング

 

 中身の話ぢゃないのだけれど、「直感でわかるロジカルシンキング:書籍案内」(技術評論社) はてなブックマーク - 直感でわかるロジカルシンキング:書籍案内|技術評論社の記事がなかなかになかなか。首大ってとんでもない魔境になっていたのだな。というようなことをtwitterでつぶやいたら……

と、著者さまより反応を賜った\(^o^)/