1870年のライティング・ボール

 これ、いったいどうやって使うものなのだろう? 売り物になるくらいなのだから、使い方がパッと直観的にわかるデザインであって良さそうなもんなんだがなぁ。もう少し引いたところこから眺めれば、見当くらいつくんだろうか。うーん。

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Model from 1870*1

 というわけでググって見ると、まぁわからないでもないかぁ。いやいや、これはこれでやっぱりわからないぞ。印字メカはとりあえず想像できるとして、インクの供給はどうなっているんだ。多少はポータブルなマシンへと、その後変化を遂げていくのだけれど、やっぱりインク供給のメカがパッと見ではわからない。

 とはいえ、どうもこのライティング・ボール、欧米でそれなりの成功を収めたらしい。後継機種ではあるけれど、「Friedrich Nietzsche's typewriter」(The International Rasmus Malling-Hansen Society) はてなブックマーク - The International Rasmus Malling-Hansen Society: Friedrich Nietzsche's typewriter ----free download----ってな具合で、ニーチェ先生もご愛用とか何とかなのだそうな。

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A sample from a letter written by Rasmus Malling-Hansen in 1872 to his brother Jørgen on the writing ball*2

 謎なのは文書の見た目の若干の美しさのためにだけ、こういうマシンは求められるものなのだろうかというあたり。上の写真など見ると、Hansenのライティング・ボールは大文字しか印字できなかったみたいだし、上のマシンの全体図を見ると、ちょっとした手紙を書くにしても面倒臭いにもほどがあるってふうに見える。手間と結果の釣り合いは相当悪いように見える。当時のヒトにはそうでもなかったのか? 1870年代半ばあたりに登場する Remington のタイプライタだって大仰なシロモノには違いないのだけれど、書く手間に関しては、その後のタイプライタにかなり肉薄したというかほとんど変わりのないものになっていたはず。

 それなりの需要を喚起するような何か、公式文書にまつわる制度の変更とか、そんなものでもあったのかなぁ。ちょいと気になるけれど、調べるとしても手許のアレコレがひと段落ついてからだな、なんだかなかなかつきそうな気配が見えて来ないんだけれど\(^o^)/。ついたとしても、面倒臭そうだしなぁ\(^o^)/\(^o^)/

 

思考のエンジン―Writing on Computer

思考のエンジン―Writing on Computer

 

 コンピュータ登場以前の書くためのマシンについても若干の言及があったはず。ハイデガーがタイプライタの使える秘書を酷使した話とか^^;。ひょっとしてニーチェ先生についても触れていたかしら。