本日の備忘録/ダブルクォーテーションしぐさ、その2

 「本日の備忘録/ダブルクォーテーションしぐさ」*1の件、machida77さんから新たなご教示を賜る。

別冊 日々の与太 » 本日の備忘録/ダブルクォーテーションしぐさ

エアクオート(air quotes)ですね。https://ja.wikipedia.org/wiki/エアクオート

2016/09/17 20:24

というわけで、ダブルクォーテーションしぐさには一応の名称があったわけですね。

 日本人の場合、エアクオートはアカデミズムの場くらいでしか使われない珍しいジェスチャーの一つで、発話した語に「いわゆるなになに」という意味を持たせることができるジェスチャーである。この「いわゆる」や「なんというか」という意味での括弧は通常の引用を示すためのただの括弧とは区別され、印刷文で風刺、皮肉、婉曲表現を示すために使われるScare quotesと同等のものだと考えられている。

 似たようなジェスチャーは1927年まで遡るが、アメリカにおけるエアクオートの普及は1989年にSpy Magazine誌が造語したことと、1990年代にコメディアンのスティーヴ・マーティンがショーで多用したことがきっかけだと考えられている.。*2

エアクオート - Wikipediahatebu*3

 27年から一気に89年はないでしょう、というわけで、このへん御本家版を覗いてみたんだけれど、変わりはなかった。ぶー。

 ただし、それ以降のお話については多少詳しいか。

Use of similar gestures has been recorded as early as 1927. The term "air quotes" first appeared in a 1989 Spy magazine article by Paul Rudnick and Kurt Andersen, who state it became a common gesture about 1980.

The gesture was used routinely in the TV show Celebrity Charades (1979) as the standard signal for a quote or phrase.

The trend became very popular in the 1990s, attributed by many to comedian Steve Martin, who often used them with exaggerated emphasis in his stand-up shows. Another popularization of air quotes was the character Bennett Brauer, played on the sketch comedy show Saturday Night Live by Chris Farley, an aggressive but socially awkward commentator who used air quotes to mock societal expectations of him. Additionally, in the blockbuster Austin Powers film series, Dr. Evil makes exaggerated use of air quotes when explaining matters to his henchmen, particularly while using real phrases he erroneously believes himself to have coined such as "laser" and "Death Star".

Air quotes - Wikipedia, the free encyclopediahatebu*4

 こう見てみると、YouTubeで比較的頻繁に見かけるもの、つまりはありふれたしぐさによる表現でありながら、どうして自分が全然知らなかったのかというあたりも見えて来る。Wikipediaの記述が正しいとすれば、何よりまず今日見られる Airquoteは89年以降用いられるようになったものであること。この時期にはすでに仕事と生活に追われて、こうしたアレコレに接する機会をまったく持っていなかったもんね。ついでに、アカデミズムなんちゅうハイブロウなモンとは無縁の人生を日本で送り続けていたこと。YouTubeが普及したおかげでアチラのアレコレを目に出来る時代になって初めて出会えたというわけですね。

 

 さてしかし、ここで新たに気にしても仕方がないのだとは思いつつも気になり始めたことが出て来る。「Air-なんちゃら」と云われて思い浮かぶ言葉といえば「Air guitar」ということになる。そういうのと並べて考えてみると、「Air-なんちゃら」は、「なんちゃらのしぐさ」を意味すると考えて良さそう。そういう具合に「Air」を用いるようになった経緯はどんなものなんだろう?

 「Air-なんちゃら」という表現、なかなか実態をうまく捉えた表現であるように思える。思えるったって、ネイティヴでもないヤツがそう思ったところでホントのところ、英語のヘヴィーユーザさんにどうなんだかはわからない。仮にうまく捉えた表現であるとすれば、うまくするとこの表現が生まれた経緯、発明者の名前くらい何か記録に残っていないもんだろうか。

 日本語としての「エアギター」は比較的最近、たぶん、エアギターの世界選手権でのダイノジおおち*5の優勝以降、頻繁に耳にするようになった言葉だろう。英語の御本家筋でだって、エレキなギターの普及具合を考えると、前世紀の半ばあたりよりも昔ということはないはず。ウィキpでは、エアギターのしぐさの歴史について触れてはいても言葉としての「エアギター」に触れた記述は見当たらない。

 昨日今日のアレコレでも「エアインタヴュー*6」だの「エア取材*7」だのと、しぐさという範囲をハミ出してあらぬ方角でも用いられている「Air-なんちゃら」。このへんの経緯を多少は気にしているってヒト、あるいはさっそく調べてみたぞってなヒトだっていそうな気がするんだけれど、どんなもんだろう。ウェブのどこかにそのあたりが記されているとして、どういう検索キーワードを考えれば、一発検索OKという具合になるだろう? それともそんなことが書かれたページなんてないかしら。うーん。

 

AIR GUITAR PRO エレキギター ブラック

AIR GUITAR PRO エレキギター ブラック

 

 エアギターを愉しむ場合、ヒトは、右手と左手、どちらにより強い思い入れをもって臨むのものなのかしらね。

*1:【復旧時註】現在未復旧。

*2: ピリオドと句点は、原文ママ

*3: 2016年9月22日閲覧。

*4: 2016年9月22日閲覧。

*5:cf. google:ダイノジおおち

*6:cf. google:エアインタヴュー

*7:cf. google:エア取材