クラカタウ

 先月公開のヴィデオ。クラカタウ火山は、何ヶ月か前からすでに噴火していたから、何も今回の津波の件*1を予見してのことではないだろう。クラカタウ火山の要領のいい概説として、メモがてら。

 クラカタウ火山についてはウィキpに、

の2項目がある。さっと目を通してみたかぎりではトンデモな記述はさしあたり見当たらないみたいだ*2。概観を得るだけならばこちらのほうが手取り早いかもしれない。

 前者の「535年の大噴火」冒頭、《535年の大規模な噴火はインドネシアの文明に歴史的な断絶を引き起こした。5世紀から6世紀にかけてのジャワ島西部にはカラタンと呼ばれた高度の文明が栄えていたが、6世紀以後姿を消した》というようなあたり、何となくアンティキティラの機械をめぐってあれこれネットを漁っていたときに知った、やはり途絶してしまった古代文明のことなど思い起こさせる。

 と、呑気な想像をめぐらせるのは傍観者の特権なのだけれど、警戒レヴェルも上がってさらなる津波も心配される現地、

本邦国土地理院の画像分析*3に見える山体崩壊の規模の大きさには多少は驚いてもバチは当たらないような具合で、年末年始の避難生活の、ひょっとすると長期化もありそうだと思えるあたり、痛めても意味のない胸が痛む。

 

 僕たちは、自分たちの文明が天変地異によって滅びるなどとは思ってもみない。そのへんは、たぶんカラタンのヒトビトだって同じだっただろう。現代の文明のほうがいくらか強靭に出来ているような気がしないでもない。とはいえ、火山の大規模噴火が相手となれば、打てる手に決定的な進化発展があったというわけではないだろう。予測研究はまったくパッとしない。多少は逃げ足の速くなったことを自慢していいのかもしれないが、場所によって火砕流は時速300キロを超えるとなると、まぁお手上げだ。それに気候が変わるような大規模噴火ともなれば、避難すべき場所はないも同然、ほとんどなす術もないことに、古代/現代の別もない。加えて、今日ならば人工物、たとえば原子力施設のようなのが禍を増幅することもあり得るだろう。気候変動による様々な被害は、食糧の国際的なネットワークみたいなものの破壊も招き、要らぬ争いも古代とは違った規模で生じるだろう。かえって現代のほうが結果は陰惨なことにならないともかぎらない。だから、いつまでも傍観者のままでいられるというわけではない、のかもしれない。

 もちろん、そういうことを毎日気にして暮らすなら、杞の国の住人のお話になっちゃうわけだけれど、そういえばちょいと紛らわしい紀の国のほうで、さほど大きくはないにしても、このところチラホラと揺れが続いていたりする*4のが気になる。小さい揺れがゾロゾロ起こることがデカいやつのドカンとやって来る前兆だという保証はない。やって来ないという保証だってもちろんあるわけがない。というわけで、憂くらいのとこいらへんは今日の本邦においても考えられていてよいのである、というのはいい加減に過ぎる話。

 

Under the Volcano

Under the Volcano

 

 

*1:cf. 「volcanoと2018に関するNeanのブックマーク」(はてなのブックマーク)hatebu。リンク切れがぼちぼち生じているみたいだけれど。

*2: このへん、専門知識があった上での判断ではなくて、僕が読んだかぎりでの感触によるものだから、くれぐれも全幅の信頼はお寄せになりませんように。

*3: ヴィデオ45秒あたりらへん。ついでに、ネタ元である「2018年12月22日インドネシア・クラカタウ火山の噴火に伴う地形変化」(国土地理院)hatebuも。

*4:cf. 地震うさぎ(@mgn_eq)/「和歌山 紀伊水道」の検索結果 - Twiloghatebu、ただし、一時期観測機器の不具合だか何だかで揺れがないのに揺れたことになっちゃったとかなんとかいう事態もあったみたいなので、そのへんはアレでございますね。