同じ出来事をめぐる報道であるのに、伝える内容はこれほど違うものなのね。と、今さらのような話を一つ。
- 合格「赤枝前議員が依頼」、本人は関与否定 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
- 赤枝・元衆院議員が東京医科大に合格依頼 「誰も合格せず、謝礼ない」 - 毎日新聞
- 赤枝氏が東京医大に合格依頼 自民党前衆院議員、前理事長に - 共同通信 | This Kiji
- 元議員が“合格依頼”認める 東京医科大不正入試(18/12/31) - ANN、YouTube
- 赤枝元議員 東京医科大の入試で“優遇依頼”明言(18/12/31) - ANN、YouTube
冒頭の画像はこの最後のヤツから引用した。
ANNのインタヴュー映像を見たあとでは、さすがに読売の見出しはほとんど奇異としか見えない。
読売の記事については、「なんとか読者」登録が必要な部分は読んでいない。だから、全文を読むと見出しからは想像も出来ないようなどんでん返しが待ち受けているのかもしれない。ただし、念のために「合格『赤枝前議員が依頼』、本人は関与否定 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)」(はてなブックマーク)のコメントや「"https://www.yomiuri.co.jp/national/20181230-OYT1T50101.html" - Twitter Search」*1に当ってみたが、そういうことはほぼなさそうだ。
読売とそれ以外の違いって一体どういうふうにして生じたのだろう。他の報道と比べながら考えると、働きかけは認めたけれど謝礼の受取については否定したという謝礼の否定を大きく見たということなんだろうか。しかし、「関与否定」となれば普通は働きかけも否定したんぢゃないかと受止めちゃうもんぢゃないか。だからしてここにあげた報道に目を通すかぎりでは、読売だけがしくじっちゃったというふうに見える。
腐乱死体みたいにドロドロに腐ってはいても天下の読売だし、たいていの新聞読者さんは複数の新聞の読み比べなんぞしないもの*2、影響力を考えるとかなり気になるところかも。はてブには《自民党議員は悪事を報じられても最初は必ず否定する。徐々に防衛線を後退させ、その後バレて開き直る。何度も見て来た光景だが今回はどうか》というようなコメントが出ていたりする。そう云いたくなるのは当然のことだし、今の自民党を応援したり擁護したりする必要はローカルな例外を除けばまったくないといってイイのだけれど、それでも、ということはあるんぢゃないか。
報道機関ごとに報道内容がエラく異なっているという事態は別段珍しいものではないのだけれど、今回のコイツ、かなり派手だったのでとりあえずφ(..)メモメモ。
しかしまぁ、考えてみれば国内報道と海外報道とではデモの参加人数が2桁くらい違うことだってあるんだから、国内の報道間でもこの程度の違いがないと辻褄が合わないというところかもしれない(違。
ついでながら取り上げられている事態そのものについていえば、
中学生に「卒業」試験を課して成績が水準を満たさない生徒は留年させろ、などと主張していた自民党の赤枝恒雄元衆議院議員が、医大の「入学」試験で口利きをし、成績が水準を満たさない受験生を、それ以上の成績を残した受験生を差し置いて優先的に入学させていたって、年末に来て笑えないギャグだな。
— じこぼう (@kinkuma0327) December 31, 2018
あたりに尽きちゃうんぢゃないかしら。
私学の場合、同窓生の子女をいくらか優遇するということは一概に否定できないように思いはする。学風の維持醸成は私学にとって死活問題だと云えなくはないからだ。けれど、こういう形で学力を盛大に無視して同質性だけを強めるのは利益になるとはかぎらない。だからこそ、最近では一部首都圏の有名私立大学ではあえて地方からの受験生を優遇する動きなんかも出て来ることになる。そういうのって綺麗事ではないリアルな問題だと思うなぁ。
それにしても、
赤枝氏は「同窓会で募金を集める責任者を務める中で各地の卒業生らに頼まれ、10年ほど前から年2、3人の受験生について合格を依頼していた」と説明。多くが不合格になったとみられるとし「効果はなかった」と強調した。……
というの、ずいぶん情けない話だわね。口利きしてなおその効果がないような受験生(の親御さん)からばかり依頼があったってんだから。余計なお世話ながら、類は友を呼ぶ、元議員先生と周囲の人間関係について心配してしまったり*3。
そんな本があるんですかい。ひぇ~。