ピュグマリオーンの末裔

 パッと見の一瞬、本物の赤ん坊と見えて驚く。身動みじろぎ一つ、瞬き一つしない様にすぐ人形なのだと理解できるのだけれど、それでも最初の動揺は収まらない。23歳の若者がどうしてこういうことを始めたのか、気になって検索してみると、そのへんの疑問に答えてくれる記事は見つからなかったのだけれど、さらに驚くようなヴィデオに出喰わす。

 全部で18分近い長さなので肝心の人形が箱から取り出された後から再生されるようにしてある。

 こちらは眠っている赤ん坊をかたどっているおかげで、動きのなさや瞬きの欠如が人形であると気づかせない分、人形であると知りながら見る違和感はより大きくなる。

 梱包された商品としてこういう人形が売られているというのは、知ってみればありそうな話ではあるけれど、人形のリアルさがもたらす驚きを打ち消すことはない。

 子どもの玩具としてはいささかリアルが過ぎるように感じてしまうのは、こちらが老頭児ロートルだからなんだろうか。別に善い悪いの問題ではなく、ケッタイなこっちゃねというあたりで気になってくるなぁ。

 

 ことのついでにもう一つ。

 人形をめぐる話題となると、特段のつながりはないのだけれど、

という報道も比較的最近のこととして目に止まった。本邦が誇るオリエント工業hatebuの人形たちには、少なくとも見た目のリアル、及ばないように見えるけれど、brothelにてある種の「鑑賞」(ということになるんだろうか?)が行われているというのがいくらか興味深い。

 日本のラブ・ドール愛好家が欧米露の報道で取り上げられることも珍しくはない。ほら、また変態日本人がケッタイなことを仕出かしてますぜ、という隠微な偏見、差別意識みたいなものを隠さないそういう報道はたいがい不愉快なものなのだけれど*1、同様の性的嗜好の持ち主は洋の東西を問わず存在するというわけだ。けれど、そういう場合、所有者としての愛好家は登場しても宿を提供するようなサービスが紹介されたことは、記憶の限りではなかったように思う。

 人形をどう見るのか、そのへんの彼我の違いが感じられそうなあたり、なんちゃって比較文化論の一つもでっち上げたいところだけれど、どうもそのへんの芸の持ち合わせがないや。申し訳なしm(_ _)m。。

 

 神が自分の似姿としてヒトを作っちゃったというお話を思い浮かべてみれば、ヒトもまた自分の似姿をこしらえてこれを愛でるというのも当然のことなのかもしれないけれど、そのへん、不信心なアテクシにはよくわからんちん。というわけで、とりあえずφ(..)メモメモ。

 

ピグマリオン [DVD]

ピグマリオン [DVD]

 

 著作権切れ作品ということで、複数のDVDが出ている(cf. 「ピグマリオン」amazon.co.jpでの検索結果)。上に上げたのは、検索結果中一番新しいヤツ。

 映画そのものについては「ピグマリオン (映画)」(Wikipedia)hatebuを参照されたし。

*1: 少なくとも人形をこしらえてうっかりそいつに惚れてしまうというのが変態であるとするなら、そのへんはむしろピュグマリオーンの例を以て嚆矢とするのだから(cf. 「ピュグマリオーン」(Wikipedia)hatebu)、ヨーロッパのほうだって充分に怪しいものだといわなければならない。