アコースティック・ギターってどうなってくんですかね?

 NAMM show 2019関連YouTubeヴィデオで気になったギターをいくつか。

 Fender Acoustasonic Telecasterは、すでに日本の楽器関連チャンネルでも取り上げられている*1ので先刻ご承知かもしれない。見ればどういうものかわかるので、僕が喋々しても意味ないですわね。手許で音色を変えられるという特質、ループマシンを使ったプレイの幅を比較的簡単に広げられるというのは、昨今の流行りにマッチしているのかもしれない、くらいのことは考えなくもないか。

 

 TransAcousticシリーズ(なのかな?)の新製品。ボディーを謂わばスピーカーのように使うことで、ギター単体でリヴァーブやコーラスのような基本的なエフェクトをかけた音が出せちゃうというやつ。

 なんとなく色モノ感があって、売れるのかどうかわからないなと思っていたところ、新製品、それもナイロン弦のほうまで出すということは、それなりに売れているということなのか。

 たしかにちょっとした集まりか何かでなら、エフェクタやらアンプやらをセッティングする手間なしに小ヂャれた演奏が出来るというあたりには需要があると考えられそうな気もしなくはないか。

 

 全然知らなかったメーカーのものなのだけれど、Acoustasonic Telecasterやら TransAcousticの顔色なからしめるような製品。エフェクタの種類もかかり具合もより豊富で深いか。ルーパー内蔵、スマホとの連携によるバッキング機能とかに至っては、少なくとも現時点ではやり過ぎ感なきにしもあらずなくらい。

 とはいえ、ギター単体で多様な音色を出そうという試みが、僕みたいな新製品には無関心な者の目にもとまるような形でまとまって登場したということは、一定の背景、必然性があればこそではないか、とひとまずは考えられるかもしれない。

 たとえば、手軽に多彩な音色が愉しめる電子楽器類との競合。さっさと弾きたいのにひと通りのプレイが出来るまでにはどうしても一定期間の学習が不可欠で、しかも鉄弦を押さえる左手指の痛みに*2その間耐え続けなければならないギターは分が悪い。でも、リヴァーブやコーラスのような基本的なエフェクタが使えると、シンプルなプレイでもそれなりにカッコよく聞こえないでもない。そんなこんなで、スマホとギターで簡便にヴィデオ撮影して、それなりに聞ける弾き語りヴィデオを、という向きには打ってつけなんだろう。YouTubeなりその他SNSの類でホイホイ演奏を公開するには便利この上なしとみられるようになっていくのかもしれない。

 あるいは、素材確保の問題。従来アコースティック・ギターのバック材・サイド材に欠かせないと見られてきたローズウッドやマホガニーは、すでにワシントン条約の規制の対象になってしまった。そういう稀少で持続的な確保が難しくなってしまった素材に頼らない代替手段の追究というのも大きな課題になっているんぢゃないか。炭素繊維でボディを作っちゃう*3というのもそういう追究の一つになり得るのかもしれない。でも、登場してから久しいはずのその手の製品、何となく普及は今ひとつふたつみっつみたいだ。そうすると木材はこれを使用し続けるとしても、あまり稀少性のないもので間に合わせなければならない。音をどうにか改善するんだかごまかすんだかの手段として単体でエフェクタがかかるギターの登場となる(のかどうか)。

 以上のような素人の与太がどのくらい当たっているかは怪しいところだけれど、熱心にチェックしているわけではない者にもこういう試みが目に入るということは、たぶん水面下ではもっと多くのメーカーが似たようなチャレンジに打って出ているんぢゃないだろうか。

 

 実は、ローズウッドやマホガニー用いられてきたギターのバックとサイドでは、用いられる素材によって生じる音の違いは大したことがないとする研究もあって*4、たとえばオベーション(Ovation)のように、トップにだけ木材を使用し他をABS樹脂やカーボングラファイトを使用するというアプローチも今となってみればなかなかのものだし、だからこそ純然たる木材使用のギターに負けず劣らず普及したのかもしれない。というようなことを何となく思い浮かべていたら……。

 なんだよ、オベーション、今度は全部木製かよぉ~。

 

 とかなんとか云ってみたところで、カラッケツのスカンピンの懐具合では、どのみち指をくわえて眺めているしかないんだけれどさぁ\(^o^)/

 

Ovation Adamas I 1687GT-2

Ovation Adamas I 1687GT-2

 

 ( ゚д゚)クレ

*1:cf. 「UNBOX the FUTURE Vol.1 | Keigo Oyamada」(Fender Japan、YouTube)hatebu、これはNAMM関連ぢゃなくてFender Japanのチャンネルのヴィデオだけれど。

*2: 左利きのヒトなら右手指の痛みだわね。

*3:e.g. レインソング(RainSong - Carbon Fiber Guitarshatebu)。もう10年以上になると思うのだけれど、なかなか実物に出喰わさないなぁ。

*4:cf. Effect of back wood choice on the perceived quality of steel-string acoustic guitars: The Journal of the Acoustical Society of America: Vol 144, No 6hatebuアブストラクトをナナメ読みしただけでは俄には信じがたいような結果ではある。けれど、たしかにヒトが抱えてプレイする楽器なのだから、人体に触れるバックとサイドの状態がくっきりと音に影響してしまうとすれば、服装や体温、発汗状態の変化だって素材以上に音を左右する要因になりそうな気もする。どうなんですかね、ホントのところ。