アン・バートン(Ann Burton)の『New York State of Mind』がTopicモノのplaylistになっていた。1979年作品。
未復旧のエントリ中では、このアルバム、就中、冒頭にあげた「Come in From the Rain」について何度か取り上げたことがある。歌のサイズとアレンジのサイズのきれいな一致が素晴らしいというような話を書いたのだと思う。歌詞の語る個人的感懐としっとりとした情景*1は、メリサ・マンチェスター(Melissa Manchester)のオリジナルの大袈裟なアレンジではぶち壊しもいいところとしか僕には思えない*2。それに対して、ここでのアレンジと声のサイズは歌のサイズを正確に演じていると感じられる。
同じことは、このアルバムの「Something So Right」なんかにもかなりの程度当てはまる。ポール・サイモン(Paul Simon)のオリジナルは、たしかクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)のアレンジなのだけれど、そのぶん、なのかどうか、音楽が勝っちゃってやはりパーソナルな歌のサイズを超えちゃった伴奏がいささかならずうるさい。そういうのが一概に悪いとは思わないけれど、ぴったりサイズのアレンジや歌い方を耳にすると……というところはやはりある。
学生時代、そういう歌と音楽の関係に初めて気づかされたのが冒頭の「Come In From The Rain」だった。片岡義男の「気まぐれ飛行船」での雨の歌特集みたいなヤツで、ビートルズの「Rain」の前後どちらかくらいだったと思うのだけれど、この歌がかかったときのゾワゾワとした心の騒ぎ具合は今でも何となく覚えている。おかげで、バートンのファンというようなアレではないのだけれど、作品としてこれは忘れられないものになっている。
Ann Burtonについては、「Ann Burton」(Wikipedia)がまとまった説明としては手取り早いところか。以前は日本語版にも項目があったような気がするのだけれど、勘違いでなければ、現在はなくなっちゃったみたいだ。元々なかったのだとしても、昔は《日本人好みのジャズボーカル》みたいなふうに語られていたのだし、『雨の日と月曜日は』みたいに日本人プロデュース、日本で録音されたアルバムだってあるのだし、英語版ウィキpには《In 1973, she toured Japan, where she became the most popular jazz singer, second only to Ella Fitzgerald.》なんて記述もあるくらいのヒトに関する現実としては残念。
ググると行き当たる「Ann Burton」は、伝記作家さんによる同題著書サイト。少なくとも英語で読める範囲ではさしたる情報はない。
日本語だと、「アン バートンとは」(コトバンク)その他、音楽関連ネット通販サイトなど、かな*3。
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カスタマーレヴューに珍しく同姓の方がお書きになったものがあるけれど、僕でも近親者でもない。為念。MP3版もある。
*1:cf. google:Melissa Manchester Come In From The Rain lyrics
*2:cf. 「coming from the rain」YouTubeでの検索結果。メリサ・マンチェスターに限らずたいていのアレンジが大袈裟でヤんなっちゃう\(^o^)/。
*3:cf. google:アン・バートン