本日の備忘録/グレタ・トゥーンベリねた落ち穂拾い

 先だっての「本日の備忘録/グレタ・トゥーンベリ、ここのところのあれこれ」 hatena bookmarkで拾い切れていなかった話題を少々φ(..)メモメモ。

 

大人向けカウンセリング^^;の件

 「本日の備忘録/グレタ・トゥーンベリ、ここのところのあれこれ」 hatena bookmarkで触れた、グレタ・トゥーンベリにイチャモンをつけたくて仕方がない大人のためのカウンセリング^^;のヴィデオ、本人のtwitterアカウントで紹介されていた。このtweetにもいろいろイチャモンをつけている大人たちがぶらさがっているのは、ヒドく出来の悪いギャグに見えて来なくもないか。

 

スラッシュメタルなグレタ・トゥーンベリの件

 作った御本人のYouTubeチャンネルから。制作事情については、「気候変動活動家グレタ・トゥーンベリのスピーチがデスメタルに」(Rolling Stone Japan) hatena bookmarkが詳しい。

「俺には彼女の野蛮な言葉遣いをメタル曲にしたいという以外の意図はなかった」と、メレディスが説明する。そして、自分が作った動画で彼女を笑い者にしているとみんなに誤解されたくないとも言う。彼はトゥーンベリのメッセージに賛同していて、「自分が生きている環境を保護して保存するために、俺たち一人ひとりが努力しないとダメだというのが俺のスタンスだ」と述べている。……

 茶化しているものとばかり思っていたんだけれど^^;。

 そうなればいっそ、変なイチャモンにも遭わずに済むんだろうになぁ。しかし、彼女の喉、メタルのヴォーカルをこなすにはいくらか弱々しいように思えなくもないか。

 

プーチンvs.トゥーンベリの件

 プーチン氏は2日、モスクワでの会合でグレタさんが米国で行った演説に好意的な反応が相次いでいることを巡り「皆さんを落胆させるかもしれないが、共感していない」と述べ「現代の世界が複雑で多様であることを誰もグレタに教えていない」と指摘した。

「グレタさん、プーチン氏に皮肉? ツイッター『知識乏しい10代』」(10月4日、共同通信) hatena bookmark

にあるプーチン発言のヴィデオを探して行き当たった会合での映像。

 さすがに大物だけあって、ネットで涌いているようなチンケなシニカル*1とは違って大人の正攻法を弁えた話っぷり。「世界の複雑さ」といった言葉が世界的大物の口から出れば、そうかもしれないと一度は頷いて見せるのが大人の対応というものでもあるだろう。

 

 しかし実際のところ、行われるべきことが仮にはっきりしていてなおかつ単純に見えることだったとしても、世界人口が77億人*2というたった一つの事柄を考えただけでも事は一気に面倒臭くなる。

 「赤上げて、白上げないで、赤下げて」ってアレは何て云うんだっけか、左右の手に赤と白の旗を持って指示にしたがって上げ下げするヤツ、やるべきことははっきりしていて単純だけれど、少人数でも指示通りにはなかなか行動できないからこそアレはゲームとして愉しめたりする。そういう単純なゲームでも77億人でやるってな事態を想像すると、事の面倒は桁違いのものになるだろう。

 というような話をするつもりぢゃなかったのだった\(^o^)/。閑話休題

 

 以下のヴィデオ、とくにその中の、も一つ下に示す図を見て欲しい。 

 で、図。

20191007060717

 気候変動が各国国民一人当たりのGDPに与える2100年での時点の影響を色分けして示した図だ。赤が濃くなるほどマイナスが大きく、青が濃くなるほどプラスが大きい。で、ここで気にしたいのは、気候変動によってみんながみんな、少なくとも経済的には悪影響を被るとは限らないかもね、ってあたり。

 もちろん、このヴィデオは2015年でのものだし、想定されている条件にだってケチをつけられるかもしれない。ただ、気候変動から経済的恩恵を受ける可能性のある国だってあるかもな*3くらいことは受け入れてもらえるんぢゃないか。で、そういう国は気候変動対策にノリ気にはなかなかなってくれないかもしれないことも。この図では、ロシアなんかがそういう国の筆頭ってふうに見えなくもない。プーチンがこの研究を知っているかどうかはわかんない。でも、似たような研究はきっと他にだってあるだろう。そこいらへん界隈をまったく知らないだろうと見るのも不自然ぢゃないかしら。で、そのへんを念頭にプーチンの話について考え直してみると、彼の話はひょっとすると単に大人らしいだけでは済まない、老練というかやっぱりKGBご出身だけに老獪というか、素直には耳を傾けられないものだというふうに聴こえて来なくもない。彼の話から多くのヒトが想像するであろう「複雑」とは異なった複雑な事情があるというふうに。

 

 あ、あと、見ればわかることだけれど、本邦も図の中では気候変動で割を喰うピンク-赤側に属しちゃうみたい。研究の当たりハズレはわかんないにしても、今後も日本で暮らし続けてゆくつもりなら、あるいは子どもなり孫なりがそうであるなら、会議前に勇んでステーキを喰らっている場合ぢゃないし、プーチン、さすが大人だわぁと感心ばかりしている場合でもないことばかりは、はっきりしているんぢゃないですかね。う~ん。

 

 そんなこんなを出来の悪い頭の中で転がしていると、ウラジミールくんとグレタちゃんとでは、まだグレタちゃんの側につく余地はいくらでもあるような気がして来る。そうでもないですかね?

 

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 2006年刊だし、かなり読みにくい*4けれど、何度か読み返すと粗筋が見えてきて、でもって興味深い。

 

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*1: すべてのシニカルがチンケなわけぢゃない。為念。

*2:cf. 「世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果(日本語訳)」(国連広報センター) hatena bookmark

*3: 当然のことながら、国民一人当たりのGDPが伸びたとしても南北格差がさらに広がることになれば、たとえば、図中のブルー側の国々――とくに今でも移民問題で揉めているヨーロッパ先進国の多く――への人口圧力はこれまでになく高まるに違いないってなことも考えられるのであって、そうなってくるとGDPの観点から「恩恵」の可能性のみを見るというのは、ちょっと話を単純にしすぎているかもしれないけれど。

*4: 翻訳のせいぢゃないし難解というわけでもないのだけれど、割と幅が広い話があっちこっちにとっ散らかる傾向あり。書き手さんの頭の良さと知識の広さが禍している感じ。「訳者解説」にもそんなふうな話が出て来る。