本日の備忘録/ドローン、ゾロゾロ――High In Heaven?

 200機ほどのドローンの連携に息を呑む。古代人ならば、たしかに神だか化物だかを空に認めて腰を抜かすに違いない。海外のYouTubeチャンネルを覗いていると、この手のドローンを扱ったヴィデオをちょくちょく見かける。でもって、毎度見事なものだと感心することになる。

 多少列の乱れが見えないでもないけれど、これは昨年9月公開。たぶん、200機以上のドローン、どういう手立てによってだか、おおよそ統率の見事に取れた編隊飛行、なかなかの演物だしものに仕上げられている。

 

 とはいえ、単に立体的で巨大なヴィジョンを見世物とするのであれば、「drone holographic light show」なんぞと面倒なことはせず、素直にホログラムを用いればよいのではないか。「本日のイメージ/Estudiantes mark return to stadium with giant lion hologram」で紹介したような巨大ホログラムのほうがリアルで演物そのもののインパクトも大きそうだ。わざわざコントロールの面倒臭いドローンの編隊を用いるというのは無駄手間ではないか。

 そこまで手間暇をかけての見世物を世界にひけらかして誇示しなければならない理由があるとすれば何か。となると、思い至るのは花火とかロケット打ち上げとかだと解くことになる。いずれも夜空に美しく輝くというのがその心というわけではなくて、一見派手な見世物、その実は物騒な飛び道具技術の誇示だと、見ようとすれば見られなくもないということだ。

 2017年には国連で自律兵器をめぐる会合があって*2、そいつにぶっつける形でこのヴィデオは制作されたとかなんとかだったと思う。内容は、英語がさっぱりわからなくともそのへんを多少なりとも知ってさえいれば、おおよそのところすんなり理解できる。

 結局のところ、とりあえずは「ロボ兵器の攻撃、AIでの判断は禁止 国際ルール採択へ」(朝日新聞)*3にあるように、法的拘束力のないルールとしては表向きみなさん自律兵器など作らないでおきましょうね、という穏当な話に落ち着いたわけだけれど、拘束力のないルールなど、これを破るに躊躇いを覚えるようなツラツキをした国家指導者の見覚えがない以上、世界から腹の探り合いがなくなる心配はない。

 終わりに登場するこの映像制作に携わったなんとかいう大学の先生によれば、ここに登場するドローン兵器、要素技術はすでに完成済み同然という段階にあるとかなんとか。あとはバランス良く全体をまとめ上げるだけ、ということなのかどうか、そのあたり実際のところはよくわかんないけれど、素人目に見てそうであっても全然おかしくないように思える。

 

 さてそのあたりを確認した上で改めて冒頭2本のヴィデオを振り返ってみるなら、ドローン急襲隊の制御技術もずいぶん急成長したんぢゃなかろうかというあたり、ずいぶん気になって来やしないかしら。そうでもないかしら。ならいいんだけれど。

 

 早川書房

 

*1:via. KBN NEXT MEDIA / Twitter

*2:cf. 「『殺人ロボット』の脅威を国連に警告 人工知能の専門家たち」(BBCニュース)

*3: 有料記事ということで、一般読者は全体の半分程度しか読めないけれど、話の概略を知るには充分だろう。