本日の備忘録/イギリスと日本

 ロンドンの病院で働いていらっしゃる看護師さんへのインタヴュー。民放のYouTubeチャンネルはそそくさとヴィデオを削除してしまう傾向があるので、ここでは再生画面の埋め込みはしない。気になる方はさっさとリンク先にてご覧になるべし。

 以下、再生ページ概要欄から。

 緊急性の高い手術以外は延期するなど他の病気の治療にも影響が出ています。

 看護師・萩原芽衣さん:「スタッフが少ないなかで、(患者の)受け持ちも増えている状態。手が回らない日も時々あります」

 ロンドンを含むイングランド地方では3度目の都市封鎖に入っていますが、感染者は減っておらず、来週にはベッドが4000床以上不足するという予測も伝えられています。

 この報道以外でも、イギリス医療崩壊一歩前みたいな話がここしばらく報じられている。見聞きしながら気になるのが本邦との違いだ。

 イギリスの人口は6643万5600人*1イングランドに限れば人口5301万3000人*2。いずれにしても、日本と比べればずいぶん少ない。その一方で、変異株も含めた新型コロナウイルスの感染者数は、イギリス全体で302万人、イングランドで261万人*3だ。

 日本の感染者数は、28.3万人*4。もちろん検査数があまりに違いすぎて単純な比較は意味をなさないだろう。ただここで気になるのは、確認されている人口も感染者数も極端に異なっているにもかかわらずどちらの国でも同じように医療崩壊一歩前なり医療崩壊なりが口にされているということだ。

 もちろん、感染者のすべてが医療機関に収容されるわけではない。仮に日本の感染者はことごとく医療機関に収容されるほど重篤であるのに対してイギリスの感染者の多くが無症状か軽症なので自宅療養で済んでいるというのであれば、両国間の違いは説明するまでもないということになる。けれど、実際には日本の死者数は3805人であるのに対してイギリス全体では80868人に上っている。おそらくはイギリスのほうが重篤な患者が多いだろうことは間違いないんぢゃないか。

 とすると、そのような違いにもかかわらず、現在両国が同じような医療崩壊の危機を迎えているとすれば、医療体制の基礎体力みたいな観点からするに、本邦の極端な脆弱さが見えて来るということにならないだろうか。イギリスがこれほどの感染状況になってようやく医療崩壊を迎えたとするなら、医療体制に日本とは比べものにならないくらいのゆとりがあったということになる。もちろん、簡単に「同じような医療崩壊の危機」云々と書いたけれど、そこには素人の知らない違いもさぞかしあるのだろう。だから、「これだから日本の医療体制はぁ!」というような話をイキナリ声高にするつもりはない。この程度の比較ぢゃぁ話にならない。けれど、報道が伝える映像の類をホゲらぁっと眺めているかぎりでは、危機の現場に大きな違いは見えないように感じられる。

 

 感染症の問題は、新型コロナウイルス感染症にかぎった話ではなく、気候変動に伴って増加することが懸念されている。一方で本邦では少なからぬ予算を割いて病床削減が行われ、公立病院のリストラみたいなのも進められているやに聞く*5。21世紀のこれからを考えると、なんだかヤバいんぢゃないのか。日本よりずっと早く新自由主義的政策に舵を切ったはずのイギリスはどういう医療政策を採って来たんだろう。このへん、僕が気にしてもしょうがないんだろうけれど、お若い方は考えておいたほうがいいんぢゃないか。お若い方の重症化率・死亡率が低いというのは、まぁ将来を考えるための教材として好都合、世の中の動かされ具合をじっくり見ておかれるがよろしいということなんだろう(かな)。

 

追補(2021年1月12日)

 その後、冒頭で取り上げたヴィデオと同じYouTubeチャンネルから同じインタヴューのほぼノーカットであるらしいヴィデオが公開された。せっかくなので以下に取り上げておく。

 再生ページの概要欄には、インタヴューの書き起こしも掲載されている。たいていの閲覧者さんなら、ヴィデオの視聴よりも短時間で目が通せるのではないかと思う。いずれにしても、遠からず削除される可能性があるので気になる方はお早めに閲覧なさるのがよろしいところか。

 

イギリスと日本―その教育と経済 (岩波新書 黄版 29)
 

 2003年なんて書いてあるけれど、1977年刊行の間違いだわね。翌年に続篇も出ている。「現代国語」なんかで入試の出典になることも多かったし、結構あとになってからも小論文の課題文出典として使われていた。今読むヒトってどれくらいいらっしゃるのかわかんないけれど、たぶんおもしろく読めちゃうヒトもそれなりにいらっしゃるんぢゃないかしら。

 

*1: 「イギリス」(Wikipedia)による。2021年1月11日閲覧。

*2: 「イングランド」(Wikipedia)による。2021年1月11日閲覧。

*3: いずれも、「イギリスコロナ感染者数」のGoogle Searchによる検索結果ページ冒頭に表示される統計による。2021年1月11日昼検索。

*4: 「日本 コロナ 感染者」のGoogle Searchによる検索結果ページ冒頭に示される統計による。2021年1月11日昼検索。

*5: 「菅政権が医療逼迫するなか195億円かけて「病床削減」する狂気の沙汰! コロナ治療最前線の公立病院リストラ政策も続行」(LITERA/リテラ)とか。