「The deepest image of the Universe」のサイズ感

 最近は地球を見下す夢をほとんど見なくなった。代わりに、なのかどうか、見ることが増えた(のかな?)と感じられるのが身近に大きな天体のない空間に浮かんで周囲を見渡すヴィジョン。他人様ヒトサマに提示できるイメージで示すなら、上のヴィデオのようなものかな、ということになる。

 夢のありようは、日頃目にしているメディアのありように大きく影響されるらしい。白黒テレビの時代には色彩のない夢を見るヒトが多かったのが、カラーテレビの登場以降色彩のある夢を見るヒトが大半を占めるようになったという研究があったりするそうだ*1。ヒトの夢見る力も案外儚いものなのかなと思いもする。何といっても「人の夢」と書いて「儚い」だもんね、と書くとやけに爺ぃ臭いか。いやしかし、その伝で考えると、テレビのなかった時代はどうなるのかわかんないぢゃないか\(^o^)/

 というようなあたりはさておき、夢が日常的に接しているメディアの性格に影響されるとするなら、夢の中の宇宙ももう少しスケールの小さいものであってもいいような気がする。以前よく見た地球を見下す夢でも、最近の銀河や恒星間の宇宙空間を通過してゆく夢でも、見下ろした地球や傍らを通り過ぎる星雲は、いずれも、ときに視野を覆い尽くすような圧倒的なスケールでこちらに迫ってくることがある。その際のなんとも云えない気分は、たとえば冒頭に掲げたヴィデオの映像から感じることがない。夢の中のサイズ感はどこからやって来たんだろうか。

 子ども時代には、ああいうスケールの巨大なオブジェクトが夢に登場することなどなかったように思う。歳を喰って良かったと思えることは、僕の場合、困ったことにそう多くはないのだけれど、スケールのデカい宇宙が夢見られるようになったことは、まぁ数少ないその一つに数えておいていいことなのかもしれない。あらま、いやはや。

 

 と、そんなこんなで昨日また一つ歳を重ねることになっちゃいましたとさ。

 

夢に迷う脳――夜ごと心はどこへ行く?

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 アマゾンの商品説明には、

夢研究の第一人者が、夢見る脳のメカニズムに迫る。「夢は精神錯乱に似ているということではない。精神疾患そのものなのだ」という驚くべき指摘は、脳と夢に対する私たちの見方を根底からくつがえす。私たちのもっとも身近な病(夢)の大胆な考察。

とあるのだけれど、自分の思い起こせる夢の断片を振り返るかぎり*2《「夢は精神錯乱に似ているということではない。精神疾患そのものなのだ」》というのって何ら「驚くべき」指摘だとは思えない。他所様のブログなど拝見していて、やけに理路整然と粗筋も折節正しく寓意に満ちた展開を持つ夢の記述を眺めて、そんな現実的な夢を見るなんて「第二の人生」*3の意味がないぢゃんと感じてきたクチとしては、むしろ我が意を得たりと云いたいところ。

 

宇宙からの帰還-新版 (中公文庫)

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  • 作者:立花 隆
  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: 文庫