堺貼り紙・看板散歩/カラスに餌を与えないで下さい

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 5月中頃、最寄り駅近くのマンション前庭。日曜に前を通った折もまだあった。たぶん、まだあるんだろうな。しかし、迷惑ガラスの割に、なんだか愛嬌のあるイラストぢゃないか^^;

 《注意 カラスに餌を 与えないで下さい みんなが迷惑しています!》とあるけれど、ヒトがカラスに餌を与えているところを目撃したことがない。というかそもそも、少なくとも東京と比べると、界隈のカラスの数も大したことがないような気がする*1。亀戸で暮らしていた時分ならカラスの声で朝目覚めることなんて当たり前にあった。こちらではまったくそういう経験がない。

 加えて、餌を与えるヒトビトのおかげで近隣住民が迷惑を被るという話は、大阪だと、まず以下の話題を思い起こすことになる。

 ここまであからさまな、傍から見ているとほとんどカルトみたいな集団迷惑餌やり行為は、さすがにマンション周辺では見かけない。ただし、マンション前を通る機会が僕の場合そもそもあまりないから、そこいらへんは当てにならないかも。いやしかし、それにしたところで、上の報道のような派手な餌やりカルトの活動があれば、その痕跡くらい否応なく目についても良さそうな気がする。マンションの管理会社さんあたりががんばって清掃しているってことなんだろうか。最寄り駅近くのマンションで、どんな迷惑があったのか気になるところではある。通り過ぎるだけの人間が勝手な関心を寄せても迷惑の上塗りみたいなもんか。

 

 面倒は、報道に登場していた住民さんが語っていたように、餌付けがストレートに違法だ、条例違反だ、というわけでもないところから生じると見るのが妥当なところか。

 たとえば、所謂「動物愛護法」では第二十五条が餌やりに関する問題を扱っているのだけれど、餌やり行為自体を咎めるものにはなっていない。実際のところ、過料が課せられるかどうかの違いはあるものの、上の報道に出て来る大阪市の条例も愛護法と変わりがないみたいに見える。

第四節 周辺の生活環境の保全等に係る措置

第二十五条 都道府県知事は、動物の飼養、保管又は給餌若しくは給水に起因した騒音又は悪臭の発生、動物の毛の飛散、多数の昆虫の発生等によつて周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。

 都道府県知事は、前項の環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

 都道府県知事は、動物の飼養又は保管が適正でないことに起因して動物が衰弱する等の虐待を受けるおそれがある事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、当該事態を改善するために必要な措置をとるべきことを命じ、又は勧告することができる。

 都道府県知事は、前三項の規定の施行に必要な限度において、動物の飼養又は保管をしている者に対し、飼養若しくは保管の状況その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、当該動物の飼養若しくは保管をしている者の動物の飼養若しくは保管に関係のある場所に立ち入り、飼養施設その他の物件を検査させることができる。

 第二十四条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

 都道府県知事は、市町村(特別区を含む。)の長(指定都市の長を除く。)に対し、第二項から第五項までの規定による勧告、命令、報告の徴収又は立入検査に関し、必要な協力を求めることができる。

「動物の愛護及び管理に関する法律」(e-Gov法令検索)

 冒頭、文面を素直に読むと、給餌・給水が直ちに問題だというのではなく、そこから生じる問題が「愛護法」の対象だということか。そういうところがあると、なるほど、ポスターに《みんなが迷惑しています!》とあったのも字義通りの意味以外にも思うところがあってのことなのかもしれないと見えてくる。

 迷惑を被っていたとしても、迷惑を被っている住民が、給餌を止めさせるべく直接裁判を起こすことが出来ず地域の行政頼みということになると、ここは単に餌やりしている誰かへのアピールのみならず、直接迷惑を被っていない周囲のヒトビトにもアピールしておいて、行政が無視できない状態を作っておく必要みたいなものがあるのかもしれない。

 ホントにそうかどうかは保証の限りではないけれど、個人的に何となく納得。間違っていたらばごめんなさいm(_ _)m。

 

 条例のほうについてはgoogle:カラス 被害 防止 餌 条例あたりかな。検索結果トップページでは堺市が見当たらない。うー。大阪府「大阪府/野生動物にエサをあげないで」を見ていると、あらま、餌付けの類がどのような条例的根拠でよろしくないかについては、リンクされたチラシにだって一言も言及がない。ってことは、府の条例には定めがないってことかな。法律でも条例でもあんまり小煩いのは厭なもんではあるけれど、さて。

 

 カラスが気になるのなら必読本ということになるのかな。単行本でしか読んでいないから、内容の異同はわかんないけれど、まずお薦めしておいて問題ないんぢゃないかと思う。

 

 

*1: そういえば、松田道生『カラスはなぜ東京が好きなのか』(平凡社)なんていう本もあったっけ。