本日の機械遺産/あれをコンベアと呼ぶのはちょいと抵抗を覚えちゃうけれど

 堺市の話題となると、地元といえば地元のこと。なのに、情けない話だけれど全然知らなかった。機械遺産の指定どころか、日本現用最古の回転寿司の存在さえ……。というわけでφ(..)メモメモ。

 しかし、このリンク先のヴィデオ、パッと見、いろいろ整理が足りないんぢゃないか、というわけで、少々ググってみたりすることになる。で、なんだよ、堺市が回転寿司発祥の地ってわけぢゃないのかぁ\(^o^)/。これでまた堺音頭の歌詞が書き足されるんぢゃないかと思ったのにぃ~\(^o^)/*1

 

 ヴィデオの見出しに「1985年製」とあるけれど、これは今回受賞対象となった堺東店の元禄寿司の、現用最古のコンベア機のこと。受賞対象にはさらに元禄寿司に保存されている初期型のコンベア板も含まれる。

 また、コンベア開発について「1958年」とするヴィデオ中のキャプションは正確を欠くようだ。1958年は、回る元禄寿司布施市(現東大阪市)に開業した年であって、回る食事台そのものは、1957(昭和32)年、つまりその前年に完成しているらしい*2。あらま。

 「遺産」についての報道なんだからして、こういうところは、わかりやすく正確に伝えられるべきなんぢゃないか。声でだけ「高級なにぎり寿司を手軽な大衆食にもどした」とわざとらしい中途半端な仄めかしを入れるよりは大切なことだと思うなぁ*3

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 左の写真が開発者の白石義明氏。右の写真が布施店開店時のもの。一番右の花輪に「祝開店」の文字。

 この回転するコンベアにより気楽で安価に寿司を食べるという新しい食文化は、今では他分野の外食産業にも波及して国内の津々浦々まで普及している。「回転寿司」という新しい食文化は海外でも広く導入され、彼*4Newsweekによる「世界が尊敬する日本人100」の一人に選ばれている。

「日本機械学会『機械遺産』機械遺産 第112号 回転ずしコンベア機 -新しい食文化の創造-」(機械遺産Mechanical Engineering Heritage)

 いつのNewsweekなのかは軽くググった範囲ではわかんなかった。そう小さな話題とも思えないので、たぶんググり方をちゃんとよく考えれば出て来ないわけはなさそうに思える。時間にゆとりがあるときに思い出せたら改めて、というところか。このへん、回転寿司の流行がちょっとしたものから本格的なものへと移行した時期を考える目安みたいなものになりそうぢゃない? というわけで、まぁ。

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 ベルトのつなぎ目を三日月形にするまでは、載せた寿司がコンベアから落ちてしまってうまく行かなかったのだとか。今の目から見れば当たり前のものとしか見えないところが開発の難所だったというのは、毎度のことながら「へぇ~」。

 

 1958年という、僕が生まれるより以前から回転寿司店は存在していたことが、何よりも驚きだった。1970年の大阪万国博覧会にも参加していたとはまったく知らなかった。万博には10回少々出かけたはずなのに回転寿司に関しては何の記憶もない。回転寿司店を意識するようになったのは、80年代半ばくらいぢゃなかったろうか。1962年に「コンベア旋回式食事台」の特許が取得されたとのことだから、その特許が切れた結果として後続の回転寿司店が登場して数も増え、目につくようになったということなんだろうか*5

 回転寿司店をほとんど利用したことがなかったとはいえ、そこいらへん全然気にもとめなかったなんてあんまりに迂闊なことであるような気がする。いやはや、やれやれ、だ\(^o^)/。

 

立ち読み課題図書、その他

 《『沈んだ世界』『結晶世界』とともに〈破滅三部作〉の一角をなす『燃える世界』を徹底的に改稿した完全版》とのこと。今年3月リリース、全然気づいてなかった\(^o^)/。近所の本屋にゃぁ、そもそも創元SF文庫が揃ってない、というかほとんど置いてないからなぁ。

 旧訳との違いが気になるところ。あとでググってみますか(google:"燃える世界" "旱魃世界" バラード)。

 

 ひと頃の流行りで云えば「隠喩としての発酵」? 論旨の組み立ては大いに違っていそうだけれど。

 

 58年からすでに60年以上経つのだから、回転寿司にも当然ずいぶんの改善改良の歴史があったに違いない。そのへんは気になる。ただし、こちらはカスタマーレヴューが気になって、ちょっと手を出しかねているところ。廉価なのだからケチケチしなさんな、とも思うのだけれど、まぁカラッケツのスカンピンではそうも参りませんのよね\(^o^)/

 

*1:cf. 「堺音頭」のYouTubeでの検索結果「ものの始まりなんでも堺」(ようこそ堺へ!|堺観光ガイド)

*2: 「日本機械学会『機械遺産』機械遺産 第112号 回転ずしコンベア機 -新しい食文化の創造-」(機械遺産Mechanical Engineering Heritage)「回転寿司の歴史」(元祖廻る元禄寿司 ホームページ)

*3: ここ、機械遺産委員会の先生の説明を補うつもりではあるのだろうけれど、小賢い厭味として響いちゃうだけだ。「江戸期は大衆食の代表でもあったにぎり寿司を、高級料理から本来の気軽な大衆食に……」とすっきり説明したほうがずっといいんぢゃない?

*4:【引用者註】 元禄寿司(元禄産業株式会社)初代社長白石義明。氏については、「白石義明」(Wikipedia)も参照のこと。

*5: このへん、「回転寿司」(Wikipedia)だと、どうも見当がいくらか違うみたいだ。《1978年(昭和53年)に「コンベヤ附調理食台」の権利が切れると、現在の大手となる企業など新規参入が相次ぎ競争が激化》といった記述が登場する。特許ってインプリメント出来た年だか世間に周知された年だかに発効するんだっけ? てっきり申請が認められてから20年だと思っていたんだけれど……。