訃報:ジャン=ジャック・ベネックス(Jean-Jacques Beineix)

 遅ればせながら、になっちゃったけれど、ジャン=ジャック・ベネックス(Jean-Jacques Beineix)*1が13日、亡くなった。75歳。

 

 これはたしかな話。『DIVA』のサウンドトラック盤には「2021年2月7、8日のSongs/「地球ってあまりいいところでない」(J.N.)」で一度触れたことがある。聴いていると、そうそうあのベトナム少女のこと、2CVの変なおっさんとか、小雨降る夜明けの散歩だとか……いろいろなシーンが思い起こされる。音楽担当はウラディミール・コスマVladimir Cosma)。ベネックス監督の他作品の音楽といって思い出せるのは、カブリエル・ヤレド(Gabriel Yared)が音楽担当の『ベティ・ブルー(37°2 le matin)』の一部くらいだということになるか。

 作曲者本人のチャンネルから。

 作曲者のTopicチャンネルから。

 

 まず全般に軽い曲調に発揮されたコスマの手練れっぷりに唸らされる。映画音楽の出来の手柄は、音楽の作り手独りのものではないが、しかし、これはやはり只事ではないんぢゃないか。ヤレドだって悪くないし、冒頭の「Betty et Zorg」など、映画と関係なしにだって、一発でじ~んと來てヤラれちゃうくらいなのだけれど、コスマの軽さのほうが映像に馴染んで記憶によく留まっていると感じる。深くて重々しく響き感動を呼んだ結果としてではなく、軽く穏やかな作品ばかりなのにそういうふうになるというのはなかなかないことぢゃないかしら。そうでもないですかね? うーん。

 何だか映画の話からはずれてしまった。

 

 「Jean-Jacques Beineix」をTwitter Searchにかけてみると、今も追悼のツイートが絶えないことにも驚くが、2作が代表作として扱われているのが圧倒的に多いことに気づかないわけにはいかない。メディアの記事類、個人のツイートを問わない傾向であるようだ。

 『ディーヴァ』は長編第1作、『ベティ・ブルー』は第3作。長編映画は全部で6本、2001年が最後だから、初期の2本という取り上げられ方は偏っているとまではいえないかもしれない。でも舞台や書き物(小説が2020年にも出ていたはず。読んでいないのだけれど\(^o^)/)のことを考えると、1981年と1986年の作品ばかりがクローズアップされるというのは、独りのアーチストの扱いとして何となくアンバランスなんぢゃないかという気分は残る。

 とはいえ、そういうことは世の中にはいくらでもあるといえばあるものか*2。たとえ仮に1作きりだとしても、輝かしい作品の作り手としてヒトビトの記憶に残るのであれば、それはそれで大したものだってことには違いないんだしなぁ。

 そこまでスゴいのかどうかはよくわかんないけれど、またちゃんと見聞きしておきたい映画であることは間違いないわね。

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 いろいろ版がある中、アマゾンで今手に入るのはこれだけみたい。日本語字幕不要ということならば、Criterion版もあるけれど。のちのちのために、Amazon.co.jpでの検索ページを挙げておく(「ベティ・ブルー」の検索結果)。

 

*1: リンク先はウィキp。

*2:e.g. 「訃報:ガルト・マクダーモット」