本日の降霊術2.0/声と顔

 CoeFont、すでに『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日)で紹介されたらしいから、いささか今さらな話題かもしれないけれど、「降霊術2.0」*1関連の話題としても捉え直せるかな、ということでメモ。冒頭のヴィデオは昨年9月9日、2本目は今月16日に公開されたもの。局が違うのに、声帯摘出の患者さんの映像が被っているあたりがちょっとアレな感じだけれど、だいたいにおいて素直に興味深い技術だと思う。開発者さんが大学2年生の二十歳だっていうのも、話題としてはポイントが高そうだしね。

 

 2~4時間に及ぶ学習を通して、どんなことを学んでいるのかが気になるところ。ヴィデオではほぼ共通語のアクセント、イントネーションで事が進んでいる。個人的な癖や所謂「方言」の強い話者からの学習はどんなふうに行われるのか。行われている、あるいは行われ得るということであれば、降霊術2.0的には要注目ということになる(かな?)。

 細かいところはさておき、声帯を摘出せずとも、私たちは皆いずれ死者となり声を失うことになる。死者を召還するには声を再生する技術がどうしても必要になる。死者の生前をどのように学習させようと、それがただの文字情報としてしか再現されないとなると、どうしても物足りなさが残る。故人の肉声に触れることができるとすれば、話の内容以上に、故人のリアリティみたいなものが生まれるんぢゃないか。

 

 声には、そのヒトのかけがえない個性みたいなものが宿っている。これが再生される意味は、降霊術2.0にとって大きい(よねぇ、たぶん)。

 

ふろく

 CoeFontが降霊術2.0を聴覚から支える技術だとするなら、視覚面から支える技術の一つとしてDeepFakeを考えることが出来るかもしれない。というフリは無理があるか\(^o^)/。ディープフェイクと縁浅からぬスナップチャット(Snapchat)も、考えてみればウクライナの企業ぢゃなかったっけか*2。ちょっと陰謀論的なネタになりそうな/できそうな気配なきにしもあらずだけれど、ここではそのへんには取り合わない。

 ディープフェイク(DeepFake)か何かで、フェイクなゼレンスキー大統領が市民にロシアへの降伏を促すヴィデオが作られ、SNSその他で拡散されたとかなんとかいう話。すでに日本語報道でも取り上げられちゃったみたいだから、そのへんの説明は省いて問題なしか。

 「Bad Deepfake of Zelenskyy Shared on Ukraine News Site in Reported Hack」(Snopes.com)で取り上げられたのを目にしたときは、さすがに驚いたなぁ*3。そういうこともいずれはあろうとは思っていたけれど*4、まさかこれほど重大な局面で用いられるとはなぁ。

 どのくらいのヒトビトがこうしたイメージに惑わされるのかは、ちょっとわかんない。首周りのバランスがあからさまに不自然だし、声が本来の大統領のものとは異なって聴こえるし*5、躰が顔ハメ看板みたいに全然動かないってなあたり、落ち着きなくやたらと動くゼレンスキーとはまったく異なっている。だから、パッと見で違和感を覚える映像になっちゃってるように思える。けれど、そこいらへんは見出しを予め見ていたからそう感じたに過ぎないのかもしれない。戦火に脅かされる日常の中では、冷静な受け止めはむずかしいことだってあるだろうし。それとも、さすがに仕上がりが雑に過ぎて、騙されるヒトなどほとんどいなかっただろうか。

 いずれにしても、上のヴィデオを見ている限りでは、DeepFakeそのものには今のところさしたる技術的進歩はないのか、むしろ少なくとも本件に限っていえば劣化しているのかもな。と、とりあえず、びっくり記念にφ(..)メモメモ。

 

立ち読み課題図書、その他

 ご近所では相変わらず御目文字叶わず。いっそKindle版でさっさと……、と思わないでもないけれど、この厚さだと紙で読んでみたいぢゃないですか、と爺ぃは考えてしまうのですね\(^o^)/。

 

 へぇ~。あちらのヒトがこういうのを書くのかぁ。序文だかを書いているEric Sellandは、たしか吉岡 実の英訳なんかをしていたヒト。そのへんからたどって北園克衛に行き当たったって感じなんだろうか。これはどう転んでもご近所では御目文字叶いそうもないなぁ。

 

 

 

*1: 当ブログでの「降霊術2.0」をキーワードとする検索結果。

*2:【公開後註】 技術的につながるところがあるんぢゃないかといった程度の意味です。誤解されやすそうな表現になっちゃったかな。

*3: ちなみに、スノープス(Snopes)はファクトチェックを目的に立ち上げられたサイト。ページデザインの雑さ加減が、何となくサイトの素性を怪しいものに見せているように感じちゃうかも、だけれど、インチキ情報の悪質サイトというわけではない。詳細は「スノープス」(Wikipedia)あたりでも参照されたし。

*4: cf. 「本日の備忘録/ディープフェイクとか」、2019年。

*5: CoeFontが使われることがあれば、このあたりは危うくなるのかな。