本日の名画座/成瀬巳喜男『秀子の車掌さん』

 著作権保護期間切れ、成瀬巳喜男監督『秀子の車掌さん』。成瀬作品への高峰秀子さま初出演作。画質が少々切ないんだけれど*1、所在をとりあえずφ(..)メモメモ。

 その他関連情報は「秀子の車掌さん」(Wikipedia)あたりにでも当たられたし*2ググるなら、google:秀子の車掌さんからどうぞ。

 とくに大っぴらに語れるような感想も評言も持たないのだけれど、高峰秀子さまの浴衣姿が素晴らしいことはお伝えしておいてバチは当たらないんぢゃないかしら。人生の小さな幸福の一つくらいには数えたっていいでしょ?

 

 よりマシな画質で堪能したければ、こちらから。

 

*1: とはいえ、アップロードして下さった方には、感謝あるばかりm(_ _)m。

*2: 出演者中、「藤原鶏太」とあるのは、戦前の藤原釜足。そのへんの事情は「エピソード」で説明されている。

本日の備忘録/文明の賞味期限とか消費期限とか耐用年数とか

 今さらな話かもしれないけれど。

 上のヴィデオの件で何より驚いたのは、考えられていた耐用年数は2023年にやってくるものとされていたことだ。だいたい耐用年数なるものの正体は食品で云えば賞味期限みたいなもので、それが尽きたからといっても即刻どうにかなるものではなくて、消費期限切れでなければまだまだ喰えない代物というわけでもない、多少の味の劣化さえ気にしなければ喰い物としての役割は果たせるものと半ば以上は決まっていて、だから原子力発電所みたいに40年持つ予定のところを60年持つということに変更したところでへっちゃらだったりするわけで、そういう思い込みがあったところに賞味期限も尽きないうちに食中毒が発生したような具合なのが今回の水管橋崩落だろう。

 六十谷むそた水管橋の話、何も和歌山の特産品の事件・事故というわけではなくて、たとえば運河の類がうヂャうヂャ流れる東京のことを思い浮かべてみれば、耐用年数の話は追々それなりに問題になるのだろうとの見当はつく。ちょいと都内を歩き回ってみれば、水管橋の類は結構な数存在していることがわかる。中には錆の色がくすんだ塗装の上に流れた跡が目につくものもある。さすがに六十谷ほどの規模のものは滅多ないのだけれど、デカイのが1本よりコマかいのがウヂャウヂャそこいらじゅうにあったほうが、リスクの分散にはつながるのかもしれないが、メンテの面倒が上回る可能性だってあるだろう(ないですかね?)。

 こういう社会資本というか文明というか、そこいらへんのメンテナンスは出来ていて当たり前、問題が生じないというだけではだれも褒めてくれはしない。代わりに万博であれIRであれ、何かしら派手な俗ウケする目玉をぶちあげないと票が集まらない。いきおい、地味な割には金もかかるメンテナンスは後回しということにどうしてもなってしまう。今回の六十谷のように、賞味期限そのものからして見直しの必要な怪しいものだったかもしれないということになったとしても、再検討して正すなんぞという面倒に手を出そうと考える向きが力を得て大活躍することなど、まずは望み薄。そういう理屈が揺るがないかぎり、今回のような賞味期限切れ前の食中毒みたいなヤツは、今後全国各地津津浦浦で小さいのから弩デカいのまで、いろんなレヴェルでボコボコ生じること確実と見ておくべきなんだろう。なんて書いていたら、「地震で市原市の水管橋破損 経年劣化でボルト腐食が原因か」(TBS NEWS、YouTube)ってな報道が……。耐用年数の話は出て来ないが、

 この水管橋は1980年に設置され、耐震補強も済んでおり、地震当日(7日)の日中に点検した際には異常はなかったということです。県によりますと、ボルトが経年劣化によって腐食していたため、地震の揺れにより破損したとみられるということです。

とのこと。耐用年数を過ぎているのであれば、さすがに点検は丁寧に行われ、見つからなかった経年劣化の現れもひょっとすると見つかっていたかもしれない。そうならなかったのは、やはり耐用年数までなにほどか余裕があると思われたからではないか(というのは素人の当て推量に過ぎないですかね?)。

 と、そういうふうに理屈を捏ね繰り回すなら、案外今さらな話と決まったものでもない。

 

ふろく

 そういえば、と思い出したのがISSのこと。あれ、元々は2016年あたりが耐用年数というか運用終了というかの予定だったはず。ということでググってみると、「国際宇宙ステーション運用を24年まで延長、NASA」(AFPBB News、2014年1月9日付記事)に出喰わすことになる。

 NASAの担当者によると、ISSの運用期間が延長されるのはバラク・オバマBarack Obama)政権下で2度目。耐用年数の面では、ISS本体や搭載機器類は2028年まで使用可能だが、運用・保守には年間30億ドル(約3150億円)の費用がかかるという。

 そうかぁ、14年の時点ですでに2度目の運用期間延長だったのか。耐用年数そのものは2028年までのゆとりがあるとはいえ、それにNASAが弾き出した耐用年数なら賞味期限として、六十谷の水管橋のそれよりは遥かに信頼が寄せられそうな気がしないでもないとはいえ、以降、ISSの後継計画の話は、こちらの不勉強のせいもあるのだろうけれど、耳目にしたことがない。そうなってくると、俄然気になって来るのが中国の動向。

 神舟13号の打ち上げ、宇宙ステーションとのドッキング成功を報ずる今朝の動画。これでまた中国の宇宙ステーション計画は1歩前進ということになる。現在のISSの後継が登場するまでの間、この調子で宇宙開発が進むとなると中国のみが宇宙ステーションを持っている国ってことになるのかもしれない。アメリカであれ中国であれ、日本にとっては他所の国であることに変わりはなくいずれにしたところで思うがままにはならないにしても、中国がアメリカほど宇宙ステーションを他国に開いた形で利用させてくれるわけはなさそうに思える。そのへん、本邦の都合はどうなってくるのか。

 なんてなあたりは、心配している声があんまり聞こえて来ない。聞こえて来ないということは、そんなことに気を揉むのは杞憂に過ぎないということなんだろうか。まぁ、僕なんぞが心配しても安心しても、いずれ世間様には毛ほどの意味もないんだけれど\(^o^)/、そこいらへん、識者さん界隈はどうご覧になっているのかしら。

 

立ち読み課題図書、その他

 吉岡先生の新著。

 

 ベストセラーものの文章指南書ということで。

 

本日の機械遺産/あれをコンベアと呼ぶのはちょいと抵抗を覚えちゃうけれど

 堺市の話題となると、地元といえば地元のこと。なのに、情けない話だけれど全然知らなかった。機械遺産の指定どころか、日本現用最古の回転寿司の存在さえ……。というわけでφ(..)メモメモ。

 しかし、このリンク先のヴィデオ、パッと見、いろいろ整理が足りないんぢゃないか、というわけで、少々ググってみたりすることになる。で、なんだよ、堺市が回転寿司発祥の地ってわけぢゃないのかぁ\(^o^)/。これでまた堺音頭の歌詞が書き足されるんぢゃないかと思ったのにぃ~\(^o^)/*1

 

 ヴィデオの見出しに「1985年製」とあるけれど、これは今回受賞対象となった堺東店の元禄寿司の、現用最古のコンベア機のこと。受賞対象にはさらに元禄寿司に保存されている初期型のコンベア板も含まれる。

 また、コンベア開発について「1958年」とするヴィデオ中のキャプションは正確を欠くようだ。1958年は、回る元禄寿司布施市(現東大阪市)に開業した年であって、回る食事台そのものは、1957(昭和32)年、つまりその前年に完成しているらしい*2。あらま。

 「遺産」についての報道なんだからして、こういうところは、わかりやすく正確に伝えられるべきなんぢゃないか。声でだけ「高級なにぎり寿司を手軽な大衆食にもどした」とわざとらしい中途半端な仄めかしを入れるよりは大切なことだと思うなぁ*3

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 左の写真が開発者の白石義明氏。右の写真が布施店開店時のもの。一番右の花輪に「祝開店」の文字。

 この回転するコンベアにより気楽で安価に寿司を食べるという新しい食文化は、今では他分野の外食産業にも波及して国内の津々浦々まで普及している。「回転寿司」という新しい食文化は海外でも広く導入され、彼*4Newsweekによる「世界が尊敬する日本人100」の一人に選ばれている。

「日本機械学会『機械遺産』機械遺産 第112号 回転ずしコンベア機 -新しい食文化の創造-」(機械遺産Mechanical Engineering Heritage)

 いつのNewsweekなのかは軽くググった範囲ではわかんなかった。そう小さな話題とも思えないので、たぶんググり方をちゃんとよく考えれば出て来ないわけはなさそうに思える。時間にゆとりがあるときに思い出せたら改めて、というところか。このへん、回転寿司の流行がちょっとしたものから本格的なものへと移行した時期を考える目安みたいなものになりそうぢゃない? というわけで、まぁ。

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 ベルトのつなぎ目を三日月形にするまでは、載せた寿司がコンベアから落ちてしまってうまく行かなかったのだとか。今の目から見れば当たり前のものとしか見えないところが開発の難所だったというのは、毎度のことながら「へぇ~」。

 

 1958年という、僕が生まれるより以前から回転寿司店は存在していたことが、何よりも驚きだった。1970年の大阪万国博覧会にも参加していたとはまったく知らなかった。万博には10回少々出かけたはずなのに回転寿司に関しては何の記憶もない。回転寿司店を意識するようになったのは、80年代半ばくらいぢゃなかったろうか。1962年に「コンベア旋回式食事台」の特許が取得されたとのことだから、その特許が切れた結果として後続の回転寿司店が登場して数も増え、目につくようになったということなんだろうか*5

 回転寿司店をほとんど利用したことがなかったとはいえ、そこいらへん全然気にもとめなかったなんてあんまりに迂闊なことであるような気がする。いやはや、やれやれ、だ\(^o^)/。

 

立ち読み課題図書、その他

 《『沈んだ世界』『結晶世界』とともに〈破滅三部作〉の一角をなす『燃える世界』を徹底的に改稿した完全版》とのこと。今年3月リリース、全然気づいてなかった\(^o^)/。近所の本屋にゃぁ、そもそも創元SF文庫が揃ってない、というかほとんど置いてないからなぁ。

 旧訳との違いが気になるところ。あとでググってみますか(google:"燃える世界" "旱魃世界" バラード)。

 

 ひと頃の流行りで云えば「隠喩としての発酵」? 論旨の組み立ては大いに違っていそうだけれど。

 

 58年からすでに60年以上経つのだから、回転寿司にも当然ずいぶんの改善改良の歴史があったに違いない。そのへんは気になる。ただし、こちらはカスタマーレヴューが気になって、ちょっと手を出しかねているところ。廉価なのだからケチケチしなさんな、とも思うのだけれど、まぁカラッケツのスカンピンではそうも参りませんのよね\(^o^)/

 

*1:cf. 「堺音頭」のYouTubeでの検索結果「ものの始まりなんでも堺」(ようこそ堺へ!|堺観光ガイド)

*2: 「日本機械学会『機械遺産』機械遺産 第112号 回転ずしコンベア機 -新しい食文化の創造-」(機械遺産Mechanical Engineering Heritage)「回転寿司の歴史」(元祖廻る元禄寿司 ホームページ)

*3: ここ、機械遺産委員会の先生の説明を補うつもりではあるのだろうけれど、小賢い厭味として響いちゃうだけだ。「江戸期は大衆食の代表でもあったにぎり寿司を、高級料理から本来の気軽な大衆食に……」とすっきり説明したほうがずっといいんぢゃない?

*4:【引用者註】 元禄寿司(元禄産業株式会社)初代社長白石義明。氏については、「白石義明」(Wikipedia)も参照のこと。

*5: このへん、「回転寿司」(Wikipedia)だと、どうも見当がいくらか違うみたいだ。《1978年(昭和53年)に「コンベヤ附調理食台」の権利が切れると、現在の大手となる企業など新規参入が相次ぎ競争が激化》といった記述が登場する。特許ってインプリメント出来た年だか世間に周知された年だかに発効するんだっけ? てっきり申請が認められてから20年だと思っていたんだけれど……。

本日のSongs/「思ひ草」、「B BRAVE」

 via. Autumn Fruit - 思ひ草 - lute、YouTube。歌詞、アーチスト紹介*1もそちらの概要欄で読める。「思ひ草」は南蛮煙管の古名らしい*2。「思ひ草」単独でも煙草を意味することがあるらしい*3が、「相思ひ草」ならば間違いなしに煙草の意。「草」を「くさ」にかけて用いられて来た*4というあたりなら、少なくとも年配者さんなら高校時代の古文で覚えがあるんぢゃないか。この歌だってそういうふうにこの言葉を使っているみたい。いずれにしても煙草に縁のあるタイトルということになる。

 ついでに書いておくと、雑に撮り流したかのようなMV、細かいところに凝ったものになっていて、たとえば「そういや煙草を持っているぞ」と歌われるところのシガレットのパッケージなどよくよくご覧になるとよろしい。少なくとも僕は「OmoiGusa」という銘柄を知らないし、煙草の異称を煙草の商品名には、ふつうしないんぢゃないかと思う。ということは、わざわざ撮影のためにデザインして作ったパッケージなのだろうか。

 というような煙草へのこだわりはさておき、なんかしらアレンジが素的。

 全然情報を持っていないアーチストさんの、登録しておいたFACTmagazineチャンネルから新しく公開された作品。歌詞は「B BRAVE | Byulah x Anja Ngozi | Síbín」(bandcamp)にある。

 相手はヒトなのかヒト以外の何かの精霊か何かなのかよくわかんないヴィデオだけれど、こういうヒトとなにかをかけ合わせたようなキャラクタの登場は、なんとなく「Fiona Apple - Every Single Night (Official Video)」(fionaapple♪、YouTube)ミノタウロス風キャラクタを思い起こさせる*5。だからどうした系の感想で相済みませんm(_ _)m

 

 どちらも伴奏の組み立て方や周囲から浮き出すようなパートが組み込まれているあたり、風変わりではあるものの何となく似ている。似ているけれど、別にどちらがどちらの影響を受けたとか「インスパイア」されたとかいった話はしない。そんなことはさしあたりどうでもよろしい。とにかくどちらも気に入っちゃった。

 YouTubeのレコメンにしたがってテケトー手当り次第、極力自分の好みにこだわらずに歌なり音楽なりを聴き散らかしている中で、たぶんそういう聴き方をしなければ聴かなかったに違いないにもかかわらず、耳に引っかかって来たんだから大したものぢゃないか。

 それなりの数、手当り次第というふうに聴いていると、大概の歌なり音楽なりはもういくつかの類形みたいなものの内に収まってしまい、それぞれ持っていてバチは当たらなそうな個性が剥ぎ取られたふうにしか聴こえなくなってしまう。それぞれに微細な好き嫌いみたいなものを感じはするのだけれど、そのへんを尤もらしい言葉で語れない。あぁ、これがひょっとすると「凡庸の批評不可能性」(ベンヤミンだったっけか?)とかいうものなのかしら、と見当外れを責められそうなことを思いついて、いかにもお馬鹿な具合に我ながらげんなりしたりする。それでもなにほどかの個別を感じさせる作品もあるにはあって、たとえばそういうものとして上の二つは自分の耳に響いたというところなのかな。別にだからといって批評的な言葉が書けちゃうという結構な具合には行かないのだけれど。

 いやしかし、何だかエラくネガティヴな云い方だなぁ。もちっとマシな云い方がないもんですかね\(^o^)/

 

思ひ草

 煙草のパッケージのイメージが選ばれているあたり、やっぱりこだわりがあるんですかね。

 

B BRAVE

B BRAVE

  • Síbín
Amazon

 「B BRAVE」(Byulah - Topic、 - YouTube)でアルバム全2曲試聴できる。

 

*1: ただし英語だしレトリカルで具体性がない。とはいえ、具体的な記述になっているからといって、それぞれのアーチストの作品そのものを考える上で有益な紹介なんて滅多あるもんぢゃないから、とくに不平があるわけでもないけれど。

*2:cf. 「古名はゆかしき「思ひ草」。秋の野辺の奇花・ナンバンギセルの咲く季節です(tenki.jpサプリ 2017年09月11日)」(日本気象協会 tenki.jp)

*3:cf. 思草とは - コトバンク。ただし、用例を見ると《※浄瑠璃・曾根崎心中(1703)「煙管にくゆる火も、〈略〉吹きて乱るる薄煙、空に消えては是もまた、行方も知らぬ相おもひぐさ」》とあって、「相思ひ草」で煙草の意なんぢゃないのって感じぃ。どうなんですかね?

*4: たとえば、一つ前の脚註中の用例を参照されたし。

*5: この作品のアレンジも素的だわね。ライブでの扱いは面倒臭そうだけれど。