本日の埋草/註釈の彼方へ

 最初は、逆説的と見えなくもない表現にクスリと来たのだった。けれど、逆説を解き解こう考えているうちに、なんだかわけがわからなくなっちゃったのだ。

 

 註釈とは、読者にとっては未知であろうと思われる事柄を説明して、よりマシな議論の理解を図るためのものだ。だが、のっけから「言うまでもなく」となると、なんだかそのへんが怪しくなる。「言うまでもなく」とは、すなわち「説明不要の事柄だが」という宣言に他ならないからだ。それがとりあえず逆説的だといえば逆説的だということになりはするのだけれど……。

 

 本書*1における「第九」を取り上げる註釈はこの部分だけではない。ここからわずか7ページ先、次章末尾の註釈(1)も《言うまでもないがベートーヴェンの『交響曲 第九番 ニ短調 作品125《合唱》』である》との一文で始まっている。この繰り返しを考えれば、なおのこと、これが読者の知識不足を補うための註釈ではないように思えて来る。一体、何のための註釈なのか、気になって来るぢゃないか。

「この程度の知識は本書本来の読者なら当然知っているだろうが」というような仲間内への目配せのようでもあり、「まさかこの程度のことを知らないなんてことはないだろうな? もし知らないのであれば、今からでも遅くはない、とっとと踵を返し、本書を書店の棚に戻し、ベートーヴェンくらいは一通り聴き通し、然る後、改めて本書に向かい給え」というような脅し文句のようでもあって、なんだかよくわからない。

 こちらに何か読み落とし、読み誤りがあるのだろうか。まぁ結局そういうことに違いないんだろうけれど。う~ん。

 

※ ※

 

 年末になっても暑中の挨拶がページトップのまま、明日にはいきなり年賀挨拶というのでは、いくらなんでも間の抜けたお粗末様だろうということで、とりあえず。タイトルは毎度ながらインチキなのでお気になさらないでくださいm(_ _)m。

 

*1: 本書の正体をお知りになりたければ、ネタ元ツイートへのレスを参照のこと。

暑中お祝い申し上げまっす!

 

 暑中お祝い申し上げます

 

 冒頭のヴィデオ、すでに日本語報道でもあちこちで取り上げられているようだから、内容について改めて説明する必要はないか*1

 昨年も触れていたような気もするが、ホーキング博士が晩年口にしておられた地球の金星化*2にもなんだかまたいっそうのリアリティが加わったというところですか。

 

 ここしばらくの暑中なり残暑なりのご挨拶、どれも似たような気候変動ネタになっちゃってますけれど、世間様の問題の受け止めもあんまり変わってないんだから、まぁ仕方ありませんね。

 

*1: 今なら、YouTubeで「沸騰化」を検索すると民放チャンネルの報道がまだ見られる。解説としては「【史上最も暑い7月か】国連総長は「地球沸騰化」とコメント 日米で猛暑連続記録」(ウェザーニュース、YouTube)が、民放チャンネルぢゃないけれど、ほどほどにていねいでわかりやすいか。/それにしても、巡回先の海外メディアと比較すると、一本あたりの報道時間が本邦のものは、やたら短いなぁ。そんな具合だから、たぶん気候変動への危機感はあんまり日本人には共有されていないんぢゃないか。だから、トゥーンベリみたいな海外の若い人たちの抗議活動の類も、ただの児戯としかみられないんぢゃないか。とかここで書いてもあんま意味ないか。うー。

*2:cf. 「地球の気温は250度まで上昇し硫酸の雨が降る」ホーキング博士|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

堺 貼り紙・看板散歩/伊勢道の謎

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伊勢道」とある南海電鉄バスの停留所

 いったいどういう経緯があって「伊勢道いせみち」と名付けられたのかしら?

伊勢道」というからには、伊勢詣のための古い街道みたいなものがあったのだろうと想像されはする。竹内街道wikipedia:竹内街道)関連でそんな話があったような記憶もある*1。けれど、このあたりの場合、高野街道以外にナントカ街道に相当するようなものってあったっけか? さて。

 

 「伊勢道」をウィキpで検索すると曖昧さ回避のページにたどり着いてしまう。で、「いせどう」というよみと、wikipedia:伊勢参宮街道wikipedia:伊勢自動車道の項目が紹介されている。いずれも冒頭写真の「伊勢道」とは縁がないようだ。

 コトバンクで検索すると、「伊勢道(いせみち)とは? 意味や使い方」(コトバンク)には《距離の遠いことのたとえ》とあって、具体的存在としての「伊勢道」は、単独の項目がない。慣用句として、「右は京道左は伊勢道(ミギハキョウミチヒダリハイセミチ)とは? 意味や使い方」(コトバンク)というバタフライ効果みたいなヤツが登場しはする。いずれにせよ、「伊勢道」がお伊勢様参りのための街道であるというこちらの見当を裏付けてくれる説明がない。これはちょっと驚いた。

 「伊勢路」という項目ならウィキpにあるが(wikipedia:伊勢路)、熊野本宮大社・熊野速玉大社と伊勢神宮を結ぶ街道であって、冒頭のバス停とは直接の関係はなさそう。

 はてさて。

 堺市の散歩案内地図「登美丘北公園・伊勢道散策コース」(堺市、PDF)には、「伊勢道」の説明が一応はある。《和泉から河内に入る街道で、福町で西高野街道と連絡して登美丘に入ります。昔から和泉方面からの伊勢詣に使われた主要な街道で、北の竹内街道、南の河泉街道と並んで河内を横断する重要な街道でした》とのこと。とはいえ、「和泉方面」といったっていささか広うござんすだし、登美丘に入った後、どこをどう経由して伊勢神宮に至るのかがさっぱりわからない。う~ん。

「重要な街道」だというならば、軽くググっただけでももう少し何か資料が見つかったってバチは当たらんと思うがなぁ。ぶ~。

 

 一定の距離というかそれなりの長さを持った街道の名を、どうしてこのバス停の1点において代表できるのか、そのへんだってやはり気になる。都バスの「明治通り」停留所だって、まだそのへん不明のままうっちゃらかっているんだけれど。このへん、ネットだけぢゃダメですかね。はてさて。

 

*1: ウィキpには《中世には伊勢街道の一部として存続し、現在では国道166号が通っている。したがって竹内街道飛鳥時代より現在に至るまで街道として利用されていることになる》とある。