どこでも、だれでもバンクシー。
すしざんまいが3億3360万円で落札したバンクシーの絵 pic.twitter.com/PhmeMZwcZb
— Mr.Golden Week (@iwaiphoto) January 16, 2019
写真の下がこのままでは切れているので、右クリックして画像の全体を別タブとかで開いて見るのがお薦め。アイディアの冴えはあるんぢゃないですか、なかなか。仕事もていねいだし。
今回の騒ぎのおかげで、いろんなパロディやそのまがい物がtwitter上に溢れたけれど、個人的にはこれが一番好き。もっとも今回の騒動とのつながりは薄くなっちゃってるかもしれないけれど。
と
港区の防潮扉だかどこだかのバンクシーの手になると思しいステンシルものの話*1、特段の関心はないのだけれど、一つ思い出したことがあってググり直してみて再発見したページがあって、そのへんからアレコレ考えるふりをしてみることには多少の興味がないでもない*2。
というeBayのページ。冒頭でもうおわかりかと思うのだけれど、中ほどまでたどってみると£5.99だから850円くらい(?)で件のステンシルの型紙が売られていることがわかる。型紙そのものがバンクシーの手になるのかどうか怪しいみたいだけれど、仮に別人の手によって作られ売られているとしても、この程度のステンシルなら「本物」と寸分
もちろん、俗流の《本物/偽物》議論にはもう一つ打つ手があって、作者本人の証言なり活動記録なりを得るなり見つけるなりするという手もないではない。実際そういう手を使うと、
バンクシーの絵は間違いなく本物。
— matsu. (@Protagonist_yu) January 17, 2019
彼の画集、Wall and Piece のP107に反転させた同じ絵があり、
「東京 2003」とある。
少し薄れてるけどボルトの位置やコンクリートの質感からも彼の作品であることは間違いない #バンクシー #banksy pic.twitter.com/qtNkJVpDxV
ということになるのかもしれない。
しかし、こうまでしないと作品の真偽が確かめられないとすると、「本物」の価値はその形態や色合いその他「本物」の作品そのもの持つ属性に由来するはずだという俗流美学では、どうにも扱いようのない問題に撞着することになる。
で、社会現象としてゲージツを眺めると、どうしたって作品の価値は、本物/偽物を問わないなにがしかのコンテクストにおいてあるというふうになっちゃうんぢゃないですかね。その余は各人の思い込みの強さの問題に過ぎないのだというと、また怒られちゃうんだけれど(誰に?)。
かつて東京のあちこちにあった(らしい)バンクシーの絵が見向きもされず消されたのに対し、今になって発見された絵を都知事などがちやほやしているのを揶揄する意見がある。そこには「芸術作品の価値はその作品に内在する(べきだ)」という前提があるように思える。がこれは明らかに間違っている
— 増田聡 (@smasuda) January 18, 2019
輸出品の陶器の包み紙だった浮世絵がヨーロッパで評価されたり、保管などされなかったマンガの原画が後になって高騰したりなど、むしろ「作品への外在的な価値付け」こそがその作品の価値を定めた事例は数多あるのに対し、「いつでもどこでも普遍的に価値が内在する作品」を私は知らない。美学者ですが
— 増田聡 (@smasuda) January 18, 2019
なので「バンクシーの絵に気づかず今もてはやしている奴らはアホ」も「そもそもバンクシーの絵などに最初から価値はないのでそれを騒ぐのはアホ」も、作品価値内在説(前者は内在価値あり、後者は内在価値なし)に立っている点で、いずれも美学的にはダントーら制度説以前の段階にあると考えてよい
— 増田聡 (@smasuda) January 18, 2019
そんなふうにご専門の方におっしゃっていただけるとかなりすっきりするような気がする。気がするのだけれど、そうすると今度は自分が愛して止まない(つもりの)アレヤコレヤに対してずいぶん後ろめたい気分が湧いて来たりもするんだよなぁ。いやはや、やれやれ。
なんだか日本語が怪しい商品だけれど^^;。よもや、と思ってアマゾンでも検索してみたら、ステンシルの型紙が売られていた。鞄と傘を持ったネズミくんのは見当たらなかったけれど、こちらも有名だよね。サイズによって価格は異なる。コイツは一番高いヤツ。
- 作者: アメリアアレナス,川村記念美術館,Amelia Arenas,福のり子
- 出版社/メーカー: 淡交社
- 発売日: 1998/02/01
- メディア: 単行本
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このへん、文庫か新書で出ないもんですかね。廉価版があってこそ使命が果たせる本って世の中にはいろいろあると思うなぁ。う~ん。
*1:cf. 「バンクシー、東京に現る? 防潮扉に絵を発見、都が調査」(朝日新聞デジタル)
*2: 厭味な書き方だなぁ。うー。