本日のSongs/YouTube、中山ラビのトピックチャンネル、無料試聴可能に

 Rabi Nakayama - Topic - YouTube*2が、いつの間にやら閲覧可能になっている。ずいぶん以前から存在はしていたものの、実際には少なくとも無料ユーザには視聴出来なかった。本人の死がきっかけになっての公開なのだろうか。少し遅いような気もするけれど、いろいろ面倒な手続きその他があったのかもしれない。現時点では、CBSソニーから出ていた『BALANCIN′』(1987年)と活動再開後のあれこれ以外のオリジナル・アルバムがYouTubeで耳に出来るようになっている。

 

 これでお若い方たちに、中山ラビの歌が聴き継がれやすくなる環境が一つ増えたことになる。せっかく増えたのだから、実際に聴かれる折も増えるといいなと思う。というわけで、エントリを書くことにした。

 ウィキpの「ディスコグラフィー」(中山ラビ - Wikipedia)を参照しながらリリース順に聴いてもいいけれど、初めての方は『ひらひら』をまず、というところか。弾き語り中心のアルバムこそ中山ラビの真骨頂という向きもあるかもしれないけれど、そのあたりになると、聞き手を選ぶ感じになっちゃうかもしれない*3

 

 こういうネットらしいやり方で、文化伝承の回路が増えるというの、ちょっとおもしろいんぢゃないかしら?

 

おまけ

 YouTubeとは関係ないラビねたを2つばかり。

 まず1つ。「中山ラビ」(Wikipedia)「ディスコグラフィー」中、『女です』の収録曲の記述に誤りがある。少なくとも最初の版のLPでは、B面は「太陽」で終わりになっていたはず。「時よおやすみ」は『女です』リリースより後、テレビドラマか何かのテーマ曲だか何かに使われたものの、長らくオリジナル・アルバムに収録されずにきたんぢゃなかったっけか。ベスト盤の類には収録されていたような記憶はあるけれど。このへんはCD化された後のボーナス・トラックか何かとの取り違えぢゃないか。現時点でならウィキpのディスコグラフィーには登場しない『ラビ +3』に収録されている。

 

 2つめ。「わかれ(中山ラビ) / コード譜 / ギター」(J-Total Music!)の、少なくともプレイキー、GではなくてCぢゃないか? Gでカポ4では、たとえばあの印象的なイントロは演奏できない。イントロ冒頭は、左手親指で6弦を抑えるFのフォーム。6弦と4弦を右手親指でズンチャ、ズンチャと弾きながら、2弦と3弦で《ド、シラぁ、ド・シラぁ》とメロディを奏でる。そのへん、キーをGにするとCコードのフォームを中心にしてこのへんをこなさなきゃいけなくなっちゃうけれど、うーん、それって無理ぢゃないかなぁ。ベースランニングの部分を分数コードみたいに表記しているのも違和感あるしなぁ。

 コード譜そのものは、多少の当たり外れに関係なく、ありがたいものだし、「わかれ」のライブおける中山ラビ本人の演奏では、たいがいギターはコードストロークになっちゃう*4。したがって、アーチスト本人の演奏を目指すならば、アルバムでの安田裕美のギターにこだわらなくたって構わないといえば構わないのかもしれない。とはいえ、安田裕美のギター、なかなかカッコいいぢゃないですか。カッコいい割に演奏技術的には難しいところが全然ないというのがいい。コピーしてみたいと感じているヒトも多いんぢゃないか。

 というわけで、オリジナル・キーがBだとすれば*5、半音下げチューニングでカポなし、もしくは全音下げて1フレットにカポで、プレイ・キーはCというところ。右手のパタンが標準的なスリーフィンガーを崩したものになっているのが、ひょっとすると多少耳コピだと迷うこともあるかな。

 

 ついでに。このイントロで用いられている、キーはCなのに出だしがCコードではなくFコードというパタン、何かしらカッコいいことが多いような気がする。トニック・コードではなくサブドミナント・コードで始まるという云い方でいいのかな? AmでもDmで始める、みたいなの。パッと思いつくところで、FM7⇒CM7(play key)で始まるS&Gの「Old Friends」とか、Erik Satieの「Gymnopédie No.1」のGM7⇒DM7とか、John Renbournの「Debbie Anne」のDm7⇒Am7とか、etc..。こう並べてみると、たぶんこういうのをまとめる用語くらいありそうな気がして来る。実際のところ、どうなんだろう? ありませんかね? 「アーメン進行」とか?って、アーメンぢゃ冒頭ぢゃないしなぁ。う~ん。

 

 

 たぶんこれが「時よおやすみ」の最終的な収まり先ということになるんだろうと思う。

 

*1: 自分では試していないのだけれど、YouTubeの言語設定が日本語だとタイトルも日本語表示されるんぢゃないかと思う。

*2: リンク先はチャンネルトップではなく、playlistページへのものになっている。

*3: そうでもないかなぁ。う~ん。と迷うこともあるからこそ無料試聴可能というのはありがたい。迷ってないで、さっさと聴いてしまえばいいんだもん。

*4: e.g. 中山ラビ - ■ わかれ - YouTube。これはたしかにJ-Total Music!のページにあるとおり、Capo : 4で演奏されているんだけれど。

*5: 自分では確認していないm(_ _)m。

本日のご報告/寒気到来 凍結注意

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 Twitterのアカウント、ひさしぶりにまた凍結されちゃったみたい。これで3度目かな。う~ん。

 最近になってこれまでにないような変竹林の投稿をした覚えなんかないんだけれどなぁ。

 

 というわけで、一応異議申し立てはしておいた。でも何となく今度ばかりは雰囲気が違う感じ。果たしてどうなりますやら。

 

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 「permanently suspended」、いきなりパーマネントがついちゃうのって、さすがに気分悪いなぁ。

 

立ち読み課題図書、その他

 縁がないなぁ\(^o^)/

 

 いつの間にやら、こういうものが出ているから油断できない。現在、第3巻まで。cf. 「鉄腕アトム 初単行本版 初単行本版 河出文庫」によるアマゾンでの検索結果

 

 いかにも近所の書店にはなさそうな感じだけれど。

 

本日の備忘録/けふはえびのやうに

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※ 写真は本文とあんまり関係ありません。

 室生犀星作品について、緩くて雑な話を一つ。敬老の日ネタにでも、と書きかけていたのを、すっかり忘れていた。しかしまぁ、そういう目論見に適う話にはまったくもって全然なってないっすね、あらまっ\(^o^)/

けふはえびのように悲しい
つのやらひげやら
とげやら一杯生やしてゐるが
どれが悲しがつてゐるのか判らない。


ひげにたづねて見れば
おれではないといふ。
尖つたとげに聞いて見たら
わしでもないといふ。
それでは一体誰が悲しがつてゐるのか
誰に聞いてみても
さつぱり判らない。


生きてたたみを這うてゐるえせえび一疋。
からだじうが悲しいのだ。

室生犀星「老いたるえびのうた」*1

 一読、降りてきた1行目、第1行の言葉と戯れて展開する第2連、アレコレにオチをつけるための第3連、というふうに見える。

 直喩の第1行。この1行の喩との戯れで、以降第2連までの詩行は成立している。

 しかし、《けふはえびのように悲しい》の「直喩」、どこがどうすると「えび」が悲しさのかたちとなるのかがすでに「さつぱり判らない」。「手術台の上のミシンと蝙蝠傘の不意の出会いのように美しい」ほど手強くはなく見えるけれど、《えびのやうに悲しい》もそれなりに面倒な直喩ぢゃないか。が、その喩の読み解きにはノーヒントのまま、2行目はもう「直喩」であることをやめる。「直喩」でなくなるばかりではなく、そもそも一般的な意味での比喩ではなくなっている。《えびのやうに悲しい》のわけのわからなさはそのまま放り出され、《つのやらひげやら/とげやら一杯生やしてゐるが/どれが悲しがつてゐるのか判らない。》は、「直喩」から湧き出したナンセンスなヴィジョンみたいなものだろう。しかもそのおかげで、謎を残したまま興味を切らせることなく読める言葉になっている。

 朗読ならば常田富士男、冒頭からの連想で出て来た言葉が調子良く並べられ、改行への配慮も抜かりなく、日本昔ばなしとでもいったふうな語り口のおかげで、ナンセンスな問答に読みがつっかえることもない。「えび」の「角」やら「ひげ」やら「とげ」やらが、それぞれバラバラに悲しさを感じたり感じなかったりするという話など、何かの「隠喩」というよりもそれ自体で自立したイメージみたいなものだよね。

 

 第3連。第2連までとは打って変わった、現実還元的な読みを誘う言葉が登場する。「老いたるえびのうた」というタイトルが頭にあれば、あぁ、要するに老いの全身的な衰えの悲しみかぁ、と合点することになる。なるのだけれど、さて、そのあたりをおもしろいと見るかつまらないと見るか。

 ここでの「えび」は老いた語り手自身の隠喩。だから、「えび」は「えび」でも「えせえび(似非海老)」。「えせえび」から想起される言葉は「伊勢海老」、畳の上を這う伊勢海老、その実哀れな身の上の悲しみに打ち拉がれた老詩人ということになる。躰も思うようには動かせず、苦痛にまみれた生を、第2連までのいくらかユーモラスな調子によって自己憐憫まみれにならずに書き上げたところに、かえって強く老いの悲しみが……とかなんとかいうところなんだろう。ご存知の方はご存知だろうけれど、本作は犀星の絶筆。そういうことも考えるならば、このへんは一層強調されることになる、のかな。

 

 事情を伝える詞書みたいなものがあるわけでもない以上、そのへん、考えに入れる義理はないに決まっている。決まってはいても人情が疼くということはあって、伝記的なあれこれから、末期癌の苦痛に呻く詩人を思い浮かべてみると、ライトヴァース風の仕上がりに凄みが出て来ると考えるべきかもしれない。《えびのように悲しい》とは、逃れようのない苦しみにじたばたとのた打ち回る水揚げされた海老のように悲しいということか。悲愴を諧謔でヒネって見せた、ちょっとカッコいい辞世の逸品と評してみたくもならないでもない。

 でも、それはそれで、何となく落ち着かない。やぱり作品一つ一つを独立したものとして読まないでどうする。「えせえび」なんちゅうのは駄洒落もいいところ、ださださぢゃないか。冒頭の「えび」を受け止め直すにしたって、もちっと別の芸の見せようだってありそうだしぃ。といったようなウダウダをとりあえずは考えるのだけれど、しかしまぁ、室生犀星の絶筆ともなれば、作品を掲載している書籍の解説だったり註釈だったりに、そのことはまず記されている。記されていないのは、今どき青空文庫くらいかもしれない。つまり、作品中では語られない成立事情も、普通の読者からしてみれば、現実的にはその程度の解説・註釈は作品と地続きの言葉、実質作品の内にある言葉として見ていいんぢゃないか、ということにしておこうか。はてさて。

 

 というような迷いをこちらに残すところがアレなのだけれど、躰のあちらこちらにガタが出て来る今日この頃、ついうっかり思い出して我知らず口ずさんだりしてしまうのだから困ったもんだ。う~ん。

 

 「老いたるえびのうた」収録。

 アマゾンの講談社文芸文庫の売れ筋ランキングを覗いてびびつくり。3位埴谷雄高『死霊I』2位大江健三郎『万延元年のフットボール』を抜いて、本書が1位になっちょる。「蜜のあはれ」が映画化された強みということなんだろうか。でも、映画化されたのって結構以前だよね?

 ちなみに、室生犀星の大概は青空文庫で読める。犀星に興味がなくても近現代詩に興味がおありなら、室生犀星『我が愛する詩人の伝記』あたり、お薦めしていいんぢゃないかと思う。講談社文芸文庫版もある。犀星の日本語ってなんとなく苦手なのだけれど、これはあまり滞ることなく読めた記憶あり。

 

*1: 「室生犀星 老いたるえびのうた」(青空文庫)よりコピペ。HTMLには多少手を入れた。

残暑お祝い申し上げまっす!

 

 残暑お祝い申し上げまっす!

 

 オツムがすっかり茹だってしまって、昨日今日立秋だったと今にして気づくというテイタラク*1。だって、まだまだ酷暑の真っ最中、到底暑さの残りっ滓ってな感じではないですもんね。ホーキング博士が晩年口にしておられた地球の金星化*2にもなんだかリアリティが出て来たというところですか。

 温暖化対策としては、少なくとも再生可能エネルギーが実用化普及するまでは原子力発電に頼るしかないとの話も耳目にするし、それも仕方ないのかなと思ったりもするのだけれど、「EDF cuts output at nuclear power plants as French rivers get too warm」(The Guardian、8月3日付記事)、原子炉冷却用に利用すると取水元の河の水温の上昇を招き周囲の生態系に悪影響を及ぼすっぽいので、冷却水として使うわけにも参りませんわな、なんぞという話が、ヨーロッパにおける原発の聖地、おフランスから沸いて出て来るとなると、はてさてどうしたものですかね。

 北海道より北にあるはずの土地でも気温が40℃を超えてしまう昨今*3、温暖化はすでに予測ではなくて進行中の事実だし、いろんな側面でこれまでの予測以上の災厄を生み出しそうな勢いになっちゃってるというあたり、もちっとヒリヒリした危機感をもって考えなきゃいかんのでせうかね。

 温暖化対策がまともに採られなかった場合、2100年頃には地球の平均気温は4.8℃程度上昇しちゃうと予測されている*4。だから、このヴィデオが扱う3℃の平均気温の上昇は、それと比べれば軽微な上昇にとどまる。それでも、まだ3℃の上昇に至らない現在*5でも、すでに小さからぬ問題が現実化しつつある。今後、単に夏の耐え難い暑さがますますひどくなるといった程度の問題にとどまらず、質的にも政治経済人文社会のやたら多彩な領域で面倒が爆裂しちゃう。いやはや、やれやれ、だ。

 と、そんなこんなで、まだまだ今の暑さは平和なもの、祝っておいてもバチの当たらないものなのですね(違

 

 そりゃいけませんねぇ。う~ん。

 

 文庫化からも早10年かぁ。

 

*1: 昨日今日さえ勘違いするほどの茹だち具合、まったくもってお恥ずかしいぞ\(^o^)/。

*2:cf. 「地球の気温は250度まで上昇し硫酸の雨が降る」ホーキング博士|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト。もちろん、この見方には批判もある。e.g. Zeke Hausfather on Twitter: "A good example that even brilliant scientists sometimes say silly things when it's outside their field of expertise (see Nobel disease) https://t.co/QPsmB1bsv0" / Twitter

*3:cf. Record UK temperatures fuel climate change fears - BBC News - YouTube、イギリス本土のほとんどは北海道より北にあったはず。そもそも18世紀あたりまでは、夏の平均気温が20℃に達していなかったとかなんとかぢゃなかったっけか。まぁ、そうでなきゃ三つ揃えのスーツみたいなクソ暑苦しいファッションを思いついたりせんわなぁ\(^o^)/。

*4:cf. 2100年 未来の天気予報 『1.5℃目標』未達成・夏 - 動画チャンネル環境省COOL CHOICE、YouTube、2019年10月公開。

*5: ヴィデオの公開は2021年10月末。