本日の備忘録/雷様と人工物

 4月25日、スペインはベニドルム*1での落雷。瞬きなどして、貴重な瞬間をお見逃しになりませぬよう。

 こういうふうに落ちた先、それも今日的な高層建築を破壊するかのような火花を散らす落雷映像はなかなか見かけない。自然の樹木を割くような落雷は、なんとなくなんどとなく見たことがあるような気がするのだけれど。町中にだって落雷がないはずはなく、実際、「町中での落雷なんて初めて見たよぉ」で取り上げたように町中の電柱にだって落ちるのだから、落ちるに決まっている。

 と考えはするのだけれど、スマホのカメラ、車載カメラ、防犯カメラ……これだけカメラの目が地上に遍在しているというのに、人工物への落雷映像は本来あっていいはずの数、YouTubeに上がって来ないような気がする。様々なクラッシュ映像と比べたって少ないし、うちではなかなか取り上げないけれど、大火球映像と比べたって少ないんぢゃないか。稲光ならば珍しくもないのだけれど、人工物への落雷はなんとなくこちらが思い込んでいるほど頻度は高くないということなんだろうか。しかし、カメラが偏在していそうな場所となれば、人工物の集中していそうな場所ではないか。派手な破壊映像に、もちっと頻繁に出喰わしたってバチは当たらないんぢゃないのか。それとも、今日的な避雷技術は素人には想像もつかぬほど高度化しており、うっかり迂闊に雷神様も落っこちるわけには参らないような具合になっているんだろうか。

 はてさて。

 

立ち読み課題図書、その他

 著者は『ピダハン』の著者ダニエル・エヴェレットの子息とのこと。子ども時代はピダバンとともに生活していたのだそうな。といったあたりはさておき。

 

 読んでもわかんないんだろうなぁ\(^o^)/

 

一揆の原理 (ちくま学芸文庫 コ 44-1)

一揆の原理 (ちくま学芸文庫 コ 44-1)

  • 作者:呉座 勇一
  • 発売日: 2015/12/09
  • メディア: 文庫
 

「クラシック系のエンタメは観客にクラスターどころか、感染者出た話も無いんだけど、ホールに来るまでに密になっちゃうって事なんですね」とし、「私は善良な市民だから言う事は聞く、言われた通りにする、ずっと聞き続けてる。けど、この件が落ち着いたらマジで色々言いたい事あるから」と、政府の対応への不満をうかがわせた。

続けて、「そして息子達には、大人になって海外の重鎮とやり取りをする時に、通訳無しでやり取り出来る人間になって欲しいです。人を介して本音は言えるわけがない」と持論を展開。「昔、母にこの国に文句があるなら、いつでも出て行けるように準備しておけと言われた。出て行けないなら諦めて黙って税金払って住めと。息子達には準備させます」とした。

「高嶋ちさ『この件が落ち着いたらマジで色々言いたい事ある』」(日刊スポーツ)

を読みながら、なんとなく思い起こした。

 

*1: リンク先はウィキp。

メシアン

 オリビエ・メシアン(Olivier Messiaen)『時の終わりのための四重奏曲(Quatuor pour la Fin du Temps)』。

 午前中読んでいた沼野雄司『現代音楽史』(中公新書)で、ガチョ~ン\(^o^)/

 また、占領下の抵抗という文脈で語られる曲としては、捕虜収容所の中で初演された、オリヴィエ・メシアン(1908-92)の「時の終わりのための四重奏曲」(1941)がある。メシアンは、デビュー当初から明確に新古典主義に反旗を翻していた作曲家だが(新古典主義について「全面的に間違っており」「ばからしい」と述べている)、40年*1にドイツ軍が侵攻してくると国境に近いヴェルダンで捕らえられ、7ヶ月間*2、捕虜として収監された。

 極寒の洗面所で書き継がれた「四重奏曲」は、たまたま収容所にいた音楽家たちに合わせた奇妙な編成(クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)を持ち、貧弱な楽器で初演が行われたものの(「チェロは三本しか弦がなかった」)、豪雪の中で五千人ほどの捕虜たちが静かに耳を傾けた……。作曲者自身によって語られた初演譚は、この曲に特別のオーラを与えてきた。しかし近年のイヴ・バルメールらによる研究は、既に捕虜になった時点で曲の半分近くは完成しており、初演はきちんとした楽器を使って二百~三百名程度の聴衆の前でなされ、さらには収容所内の作曲環境や音楽環境がきわめて良好だったことを明らかにしている。

 もちろんこのことで曲の価値が減じるわけではないが、戦争のような社会変動の中では、音楽にさまざまな物語が付随しやすいことを示すエピソードだろう。

沼野雄司『現代音楽史』(中公新書、p.102)

 僕の場合、そもそもが聞きかじりに過ぎない話ではあるけれど、まるっきりのてっきり《付随した物語》を事実とばかり信じ込んでおったぞ\(^o^)/

 ことのついでにウィキpで確かめてみると……。

収容所は捕虜の急増により環境が悪化し、食糧不足による栄養失調や寒さのため、多くの者が病気にかかった。劣悪な環境ではあったが娯楽には比較的寛容で、収容所内には図書館が設置され、オーケストラやジャズ・バンドも存在していた。第27兵舎は約400席の劇場として改築され、コンサート、バラエティーショー、映画上映や捕虜たちによる講義が行われた。音楽家は捕虜の中でも比較的優遇されており、メシアンが有名な音楽家であることが知られると捕虜の義務を免除され、作曲に集中できるよう別の棟に移された。当初メシアンが作曲していたのは三重奏曲であったが、アンリ・アコカと同じ寝棚であったヴァイオリン奏者ジャン・ル・ブレールが加わり四重奏曲となった。収容所にはチェロやヴァイオリンはいくつかあり、アコカは自分のクラリネットを持っていたが、ピアノはなかったため、四重奏曲のリハーサルは行えなかった。1940年11月にピアノが到着すると、彼らには1日4時間の練習時間が与えられた。

「世の終わりのための四重奏曲――作曲の経緯」(Wikipedia)

初演は1941年1月15日午後6時、第27兵舎でジャン・ル・ブレール(ヴァイオリン)、アンリ・アコカ(クラリネット)、エティエンヌ・パスキエ(チェロ)、オリヴィエ・メシアン(ピアノ)によって行われた。メシアンはこの初演について伝説的な言葉を残しているが、これにはいくつか誇張があったと考えられている。一説には数千人の捕虜を前に演奏されたと言われているが、実際には初演は閉鎖されたバラックの中で行われ、せいぜい400人程度しか入らなかった。極寒の収容所内でチェロの弦は3本しかなかったと語られているが、これは作り話であり、パスキエは間違いなく弦は4本あったと主張している。メシアンは後にこの初演のことを「私の作品がこれほどの集中と理解をもって聴かれたことはなかった」と語っている。

初演の後、4人の名声は確かなものとなったが、彼らの処遇には差があった。初演から1か月も経たない1941年2月にメシアンとパスキエは収容所から解放された。一方でアコカとル・ブーレールは収容所に捕らえられたままだった。アコカは解放される2人とともに列車に乗り込もうとしたところ、ユダヤ人であることを理由に連れ戻された。その後、アコカは温暖なアルジェリア出身であることが考慮され、一時的にブルターニュ地方のディナンに移送される。そして1941年4月に再び第8A捕虜収容所に送り返される途中、ヨンヌ県のサン・ジュリアン・デュ・ソー付近で列車から飛び降り脱走した。アコカは怪我を負い気を失ったが、手当てをした医師の協力で自由地域に到着することができた。ル・ブレールは1941年末ごろ、ブリュル太尉が作成した偽の書類によって解放された。他の3人は音楽家としての道を続けたが、ル・ブレールはヴァイオリン奏者の道を諦め、ジャン・ラニエという名前で俳優に転身する。またメシアンら3人も年月が経つにつれ徐々に疎遠になり、初演のメンバーが再び集まることはなかった。収容所のバラックは取り壊され、現在は跡地に記念碑が残るのみである。2008年はメシアン生誕100年にあたり、収容所跡でこの曲の再演が行われた。

「世の終わりのための四重奏曲――初演」(Wikipedia)、脚註省略

 収容所内で確かなものになる体の名声ってなんじゃラホイという気がしないでもないけれど、そんなことより、《メシアンは後にこの初演のことを「私の作品がこれほどの集中と理解をもって聴かれたことはなかった」と語っている》とは、メシアン爺さん、まったくもっていい面の皮であるわ\(^o^)/。

 

*1:【引用者註】原文漢数字。

*2:【引用者註】原文漢数字。

本日のクラッシュ!/Plane crash lands during Cocoa Beach Air Show

 フロリダはココアビーチの航空ショーで出来した雷撃機の緊急着水。一応見出しに「crash」とある。幸か不幸か、いやまぁ幸いなことに、あんまりクラッシュっぽくないのだけれど。

 事故後の様子。パイロットさんがちらり登場。何となくトボけた感じが、なんというかチャーミングだ。

 引き上げ作業の様子。注意深く見ていると、慎重に引き上げが進められているのがわかる。

 事故後も含めて全般に何となく、クラッシュものにつきものの激しさや陰惨に欠けたクラッシュだな。結構なことである。

 

 日本語報道としては「人が泳ぐビーチに緊急着水 離陸直後にトラブル 米(2021年4月19日)」(ANNnewsCH、YouTube)あたり。情報としては大した内容はないけれど、関心がおありの方は例によってそそくさと削除される前にどうぞ。

 

 最後のヴィデオの表題に登場するTBM Avengerは機種名。詳細は、「TBF (航空機)」(Wikipedia)を参照されたし。「TBF」とあるけれど、《生産の途中からTBFはグラマン社に代わってジェネラル・モーターズ(GM)社が量産するようになり、ジェネラル・モーターズ社で生産された機体はTBMの制式番号が付けられ、TBM アヴェンジャーの呼称で呼ばれた》*1というわけで、実質同じ。TBは「torpedo bomber(雷撃機)」の略称だと思う。このへんは軍オタぢゃないのであてずっぽ。雷撃機は魚雷を積んで、低空から敵艦に攻撃をしかけるヤツ。

 あっちの報道を読むかぎりだと「mechanical issue」が原因として上がっている。メカの不調ということか。そりゃそうだろうけれど、どのメカのどんな不調なのか。実際のところ、着水体勢に入ったように見える段階では、周囲を圧するようなエンジンの爆音もなく、プロペラも風圧で回っているだけと見える。不調の結果、すでに機関停止状態だったのだろう。ついでにひょっとすると、今日的な雷撃機の操縦に慣れたパイロットさん(なのかどうか)、海面近い低空から敵艦に攻撃するような操作になれていたから、こういう、クラッシュと呼ぶには激しさに欠ける見事な緊急着水が可能だったのかもしれない。あるいは、年代モノとはいえ、曲がりなりにも軍用機、それなりに頑丈に作られていたおかげということかもしれない。クラッシュがクラッシュのまがいもので済んだ最大の要因はそのへんか。

 それにしても、海水浴客やサーファーがそれなりに集まっている海岸を着水地点に選びながら、パイロットも含めて怪我人が一人も出なかったというのは何より。

 

 ずんぐりした、いかにもグラマン社らしいデザインがウケるんだろうか。

 

 へぇ、翻訳ものとはいえ、日本語で読めるものが出ているとは知らなかった。旧日本軍の仇敵みたいなものだから、ということなのかな。

 

本日の備忘録/Body Tracking and Projection Mapping Are Combined in This Out-Of-Body Art Project

 つい先日「本日の備忘録/Wide Dynamic Projection Mapping in Rhythmic Gymnastics」を取り上げたばかりだというのに。もちろん、あちらのほうが投影の追従速度は遥かに速いのではないかと思われもするのだけれど、同じような技術が実際の表現にすでに応用されているというところ、個人的に心を動かされた。

 追従の速度と精度がどの程度なのかはわかんないけれど、うまく使えるなら動く隈取みたいなものとしてだって使えるわけで、舞台表現ではずいぶん応用の幅のあるものになってくるんだろうなぁ。

 顔へのプロジェクション・マッピングそのものは、数年前あたりからYouTubeにも映像が上がっていたのだけれど、ほとんど動かない、実質的に顔面を静的なスクリーンとするだけのものだった。それはそれで面白くないわけではないのだけれど、ヒトの顔面型スクリーンを使ったって似たような効果は充分上がりそうな体のものに留まっていたんぢゃないかなぁ。実際、顔面に投影する映像を作る過程では3Dスキャニングして3Dプリンティングした顔面模型を使っていたようだ*1

 

 それはさておき、Parted*2、ググってみたらばvimeoに全篇映像があった。せっかくだもの、以下に。

PARTED - Body Tracking and Projection Mapping from PARTED on Vimeo.

Parted is a collaboration between Daisuke Hashimoto, Paul Lacroix and Yae Doi.
It is starring the Japanese artist Mari Katayama.

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Director & Writer : Daisuke Hashimoto
Creative Technology : Paul Lacroix
Planner & Producer : Yae Doi
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Starring : Mari Katayama
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Members

Cinematographer : Shiho Miyazaki
Assistant Cameraman : Sho Takahashi
Gaffer : Saki Iida
Best Boy Electric : Sayaka Mori
Hair and Makeup Artist & Art Director : Hiroto Kuwahara
Choreographer : Ayaka Habata
Costume Designer : Mihoko Nakajima
Projector Technical Director : Hiroshi Sato
Projector Chief Engineer : Toshihiko Aoki
Projector Assistant Director : Tsuyoshi Koyama
Projector Assistant Engineer : Naoto Yokozuka
Location : MORIO Co., Ltd.
3D Mesh & Rigger : TETRA inc.
Editor : Tetsuo Shinshi
Music Producer : Taro Ishida
Production Manager : MasaKuni Sato
Production Assistant : Risa Takahashi
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Homepage: http://parted.tokyo
Contact: Parted.tokyo@gmail.com

 結構イカすんぢゃないかしら。 

 

 ま、僕の心が動かされたからといって世間様にはなにほどのことでもございますまいがぁ\(^o^)/、とりあえずφ(..)メモメモ

 

立ち読み課題図書、その他

本の索引の作り方

本の索引の作り方

  • 作者:藤田 節子
  • 発売日: 2019/10/19
  • メディア: 単行本
 

 自分には必要とは思えないけれど、気になるわね。

 

 商売上、多少は気になる。

 

空飛ぶヘビとアメンボロボット

空飛ぶヘビとアメンボロボット

  • 作者:David Hu
  • 発売日: 2020/12/21
  • メディア: 単行本
 

 2015年*3、2019年*4の2度、イグノーベル賞を受賞した著者の作品となれば、そりゃ気になりますわ。

 

協力と裏切りの生命進化史 (光文社新書)

協力と裏切りの生命進化史 (光文社新書)

  • 作者:市橋伯一
  • 発売日: 2019/03/13
  • メディア: 新書
 
黄禍論 百年の系譜 (講談社選書メチエ)

黄禍論 百年の系譜 (講談社選書メチエ)

  • 作者:廣部 泉
  • 発売日: 2020/09/11
  • メディア: 単行本