本日の埋草/岡目八目

 再生ページの descriptionに曰く、

Tokyo has repeatedly condemned the test launches. Japanese Prime Minister Shinzo Abe's government earlier this year instructed municipalities to hold evacuation drills, heightening a sense of urgency among the public.

It is estimated that it would take about 10 minutes for a North Korean missile to reach Japan, but it would take a few minutes for the government to alert local authorities and the public about the launch.

強調引用者

と。要するに、実際には間に合いっこない訓練を通して何を狙っているかってなあたりまで、岡目八目、きれいさっぱり見透かされているわけですね。もちろん、何もしないよりはマシ、大火傷のところがほんのわずかばかりマシな大火傷になるくらいの効果はあるに違いないだろうけれど、そういう予想される成果については何も国民には知らされていない。となると、やはりここは現実的な効果よりも、危機意識を煽ることに主眼があると見られても文句は云えない。

 以前取り上げた*1

のほうが、すでに半世紀以上も昔、同じような指導を、現在よりずっと具体的に行っていたわけだけれど、当時であればヒトが操縦するプロペラの爆撃機がチンタラチンタラ飛んで来たわけで、イマドキの核爆弾のようにロケットに乗ってやって来るせわしなさはなかったのである。ひょっとすると、警報が鳴り出してから隠れる場所を探すゆとりも多少はあり得たかもしれない。それでも爆心地が正確にどこになるか予測できたわけはないし、どれほどの人命を救い得たか、熱風とそれによる建築物の崩壊から仮に逃れ得たとして、放射線被曝によるアレヤコレヤの被害をどれほど減らし得たかについては、広島・長崎で「Duck And Cover」の咒いが実践されたとして……と想像してみると、効果のほど、皆無ではないにしても極めて覚束ないものだったのではないか。

 そういう疑わしいタイプの対応を、性能のずいぶんアップしたと思われる核ミサイルに適用する、適用するべしとの広報を制作して国家的に喧伝するというのは、実効以外のところに狙いがあると見られても自然だとしか云いようがない。というような話をすると、お上にぢゃなくてこちらに向かって怒り出すようなヒトも散見される今日この頃というのは梅雨時の蒸し暑さよりも鬱陶しい。まぁったくどうにかしていただきたいものである。

 

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