本日のクラッシュ!/Enormous Sinkhole Swallowing Bus in China

 今月13日、中国は青海省西寧市でのシンクホール事故。

 報道があった段階で死者6名、重軽傷16名、行方不明4名。その後の様子や原因については、少なくともYouTubeでは報じられていない。

 

 シンクホールの原因は道路等の地下に出来る空洞である。空洞が出来る原因はいろいろあるらしいが、街中では主として水道管からの漏水その他水流によるものなのだそうだ。最近では水道管の老朽化が報道されるようになったが、老朽化がもたらすであろう問題の一つとしてシンクホールがあるわけだ。そういうあたり、日本も追々この手の事故が増える危険は否定出来ない。

きょうの会議とその後の記者会見などで、和歌山市は、あすの工事について、和歌山市神の国道24号・花山交差点で、午後7時頃から、ボーリング調査を行い、漏れ出した水で空洞になっている部分を特定し、水圧を下げながら、交通規制が始まる午後10時以降、本格的に掘削作業を始め、細い配水管からの水漏れであることを確認できれば、水圧を下げ切らずに、つまり、断水させずに工事を行うことができるということです。

「【和歌山市断水】「断水を回避できる可能性」詳細説明」(WBS和歌山放送ニュース、強調引用者) hatena bookmark

 この例では、見込み通り漏水していた水道管が細いものであったため、「和歌山市『大規模断水を行わずに済んだ』 中止を発表」(NHKニュース) hatena bookmarkという結果になった*1。いずれにせよ、こうした空洞が放置されれば、やがては路面が交通の重みに耐えかね、ある日シンクホール事故が発生することになるわけだ。

 断水の予定を告げる「和歌山市の5分の1で断水 その理由は…」(NHKニュース) hatena bookmarkでは、その理由について「老朽化」という言葉は直に使われてはいないのだが、《市によりますと、この水道管を敷設したのは、今から60年近く前の昭和37年のことだと言います》との言葉がある。老朽化による漏水だと考えているということだろう。漏水していたのが細い管だったために断水は避けられたとはいえ、いずれにしても太い管にしたところで老朽化は進んでいるのであり、問題の根本的な解決は先送りされたに過ぎないのかもしれない。

国内の水道施設は高度経済成長期を中心に急速に普及しました。

厚生労働省によりますと法律で定められた水道管の耐用年数は40年ですが、これを過ぎた水道管の割合は年々上昇、平成28年度にはおよそ15%に上りました。

老朽化した施設の更新時期を迎え、漏水や破損の事故も全国で年間2万件を超えています。

「和歌山市の5分の1で断水 その理由は…」(NHKニュース) hatena bookmark

 ここでは《漏水や破損の事故》といった直接の問題しか語られていないが、放置されればいずれシンクホール問題は国内あちらこちらで見られるようになるのではないか。

 問題化しないうちは、票につながる話でもないだろうから、大きく取り扱われることもないだろう。むしろ、漏水や道路地下の空洞を探す地道な作業の継続や水道管の入れ替え工事に伴う断水や濁り水といった面倒の多さを考えると、ついつい先送りにしたくなるものかもしれない。

 今のところ幸い我が国においては深刻なケースに出喰わすことはない。けれど、放置すればやがては死者も出るようなシンクホール事故につながるであろう結構な問題ぢゃないですかね。素人の揣摩臆測と云われれば、ハイそれまでョ、というところでございますがぁ。

 

付録

 ついでに、昨年秋から年末に見られたシンクホール絡みの、目立った事故を挙げておく。他にもいろいろあったはずだけれど、すでにウエブからは削除されて確認できないものもある。う~。

 12月10日、ブラジル。怪我人その他人的被害はなかった模様。

 12月1日、中国広州地下鉄工事現場。安否不明者のその後を扱った報道には未だ出喰わしていない。件の日本語報道として「道路が突然陥没 車ごと3人が巻き込まれ安否不明(19/12/02)」(ANNnewsCH、YouTube) hatena bookmark。日本の放送局チャンネルは、NHKも含めて比較的早く映像を削除してしまう傾向がある。興味がおありなら早めの閲覧を。

 11月24日、マレーシアはクアラ・ルンプール。車を運転していた女性は救助され無事とのこと。日本語報道としては「とんだ災難・・・道路陥没で車が“すっぽり”(19/11/26)」(ANNnewsCH、YouTube) hatena bookmarkがある。

 10月28日、ピッツバーグでも。

 報道ページがもう残っていないみたいなのだけれど、9月17日には千葉市緑区でも幅3メートル、深さ2メートルほどのシンクホールに乗用車のタイヤがはまるという事故が起きている。原因は不明だが、素人のテケトーな憶測としては台風による降雨が道路地下の土を流してしまった結果空洞が出来ていたとかなんとかぢゃないか。

 こうした目立つ事故は、車道で自動車が巻き込まれるというのが相場だけれど、そうでないケースだってある。ネタは古いのだけれど……。

 2015年2月、韓国はソウルで。車道をまったく利用しなくたってシンクホールの魔手から逃れられはしないのだ\(^o^)/。

 

穴

  • 作者:粒来 哲蔵
  • 出版社/メーカー: 書肆山田
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 単行本
 

 散文詩集。殊に表題作は読みやすいうえに魅力的。

 

*1: とはいえ、断水がなくなったからといっても、それだけで上水道に生じる問題がなくなったわけではないらしい。e.g. 「令和2年1月20日 和歌山市への本市応急給水支援について」(堺市上下水道局ホームページ) hatena bookmark

1月の夜空/1月の星空情報・天文現象 - 国立天文台その他

 しぶんぎ座流星群も終わって、もう遅れるのが常態化しちゃった感アリアリでございますがぁ。

 ちなみに手遅れながら^^;、しぶんぎ座そのものは、星座早見なんかにはもう登場しない、ほとんどこの流星群の呼称としてしか耳目にしないものだというのがおっさん的蘊蓄ネタとなるポイントかな*1

 しかしなぁ、年頭のヴィデオとして2020年の天文現象の特集があるのはいいとして、今月の話題がしぶんぎ座流星群と月のものだけというのはどうなんだろうという気はする。それにYouTube再生ページの視聴数は、結構増えているように見えていることだし、新年からは、59秒縛りを抜けて2、3分くらいになってもいいのではないかと思っていたのだけれど、相変わらずの長さなのが切ないところぢゃないかなぁ。う~ん。

 

 英語字幕も利用できるし、採録シナリオ(PDF) hatena bookmarkもある。

 「1054年には、中国、日本、アラブのastronomersによって超新星爆発が観察されている」とかなんとか云っているけれど、日本のはastronomerというより藤原定家『明月記』の記述のほうが有名ぢゃないかしら。定家(1162-1241)は、生没年を見ればわかるように直接自身の目で見たわけではない。天文寮の記録を参照したと云われている。そのへんがastronomerによる観察ということになるのかな。ちなみに望遠鏡の発明以前の超新星爆発の記録は7例しか世界に残されていないが、そのうちの3例が『明月記』に記されたものなのだそうな。……というあたりがおっさん的蘊蓄になりそうか*2

 かに星雲の電波、赤外線、可視光、紫外線、X線による画像、それらの合成画像の紹介あたりが興味深いか。ことにX線による画像は、かに星雲のかにパルサーのありようを如実に見せてくれている。「Crab Nebula: The Multiwavelength Structure of a Pulsar Wind Nebula」(Space Telescope、YouTube) hatena bookmarkでは、そのへん、少しばかり詳細な解説映像が見られる。

 

 国立天文台が紹介していた以外にも火星、金星ネタらへんがちょっと気になる。気になるのだけれど、マンションの類が建て込んでいて実家界隈では観察できない。う~。

 

天文ガイド 2020年 2月号 [雑誌]

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月刊星ナビ 2020年2月号

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  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/01/04
  • メディア: 雑誌
 

本日の備忘録/堺の公衆トイレ問題補遺

※ ヴィデオは本文ととくに関係ないですm(_ _)m。なんとなく堺つながりということで。通天閣の映像に堺のキャプションが出てたりしますけれど\(^o^)/

 

 中井正弘『南蛮船は入港しなかった――堺意外史』(澪標、2001年)を再読しているのだけれど、おかげでいくつかの疑問が解けた、というか、己の目の節穴具合、記憶力のポンコツ具合を再確認出来たぜぃ\(^o^)/

 「本日の重要問題/堺の公衆トイレ」 hatena bookmarkには《堺は戦前にはリゾート地として栄えていたのだし、観光地的な観点からそこいらへん(戦後の復興期に公衆トイレの便を図ること)が度外視されていいはずはなかったのではないかとも思える》というようなことを書いた。しかし、本書の「11. 堺大浜の料理旅館街」の以下の話を見る限り、そんなことなどまったく考えられなかったに違いないことがわかる。

 かつて、堺大浜と阪神間のリゾート地の集客争いは激しかった。いずれも戦災を受けたにもかかわらず、大浜だけが復活しなかったのはなぜかという疑問がある。それは、市の都市政策がずいぶん異なっていたことが大きい。堺市の戦災復興計画にリゾート地の復興はまったく考慮されていなかっただけでなく、復興事業完成の昭和40年*1(1965)の直前、すなわち30年代後半から重工業誘致の臨海工業地帯造成が大阪府によってはじまり、「茅渟晩霞ちぬばんか」とも称せられた風光明媚な海辺が失われたからである。堺市は、このとき人口100万人の国際的工業都市を目指した。しかし、これは戦後の高度経済成長期にはじめてとられた政策でなかった。すでに堺市では、昭和9年室戸台風以前から積極的な工業立市を目指していた。まず、許可を受けた埋立会社によって昭和3年10月に北公園のある北波止沖の埋立てが完成。続いて4年12月、南公園側すなわち旅館街の目の前の海岸が埋立てられ、このころから海浜リゾートゾーンが手痛い打撃を受け始めていたのである。さらに台風後にも市の要望を受け、大阪府による堺港の大築港計画が進めはじめられた。昭和8年(1933)4月に就任し、その後戦後の一時期を除き、30年近く市長職を務めた当時の河森安之介市長は、「本市の使命は、大阪市の生産地として工業立地・産業立地の理想をもって進む必要がある」と就任挨拶で述べている。さらに、臨海工業地帯の造成が進む昭和38年(1963)に市民憲章を制定したが、この中でも国際的工業都市を高らかに謳いあげている。

pp.182-3

 そういう「使命」ばかりが幅を利かせ、おまけに「『大阪の人は電車の中で、平気で子供に小便をさせる人種である』(谷崎潤一郎)」 hatena bookmarkってな具合では、公衆トイレの増設など期待出来そうもないということになっちゃうのかなぁ。う~ん。

 

 また、《しかし、1945(昭和20)年には3月13日から8月10日にかけて5次にわたる大空襲を経験している。聞くところによれば、単位人口あたりの投下焼夷弾数では大阪市内を上回っていた》云々あたりについても、本書に言及があった。「14. 直前の町並みと翌日に惨状を描いた画家 堺大空襲、大阪を超える濃密な無差別爆撃」から引いておく。

 堺空襲は、昭和20年3月13日の第一次、6月15日の第二次、6月26日の第三次と相次いだが、いずれも大阪空襲の一環として行われたと見られ、それほど大規模ではなかった。ところが、7月10日は、堺(ママ)人達にとって忘れられない日である。被災体験者にとっては、7月9日の真夜中という印象が強い。というのは、9日の夜半、B29、110機(『日本大空襲』月刊沖縄社・昭和54年)がまず和歌山を攻撃した。堺の人達は、南の夜空を見上げ、ラジオ放送を聞いて今日は和歌山だけの空襲と思った。しかし、日付が変わって、午前1時33分から3時6分までの間、約1時間半にわたって116機が次から次へと堺の中心部を襲った。サイパン・アイズレイを基地にした『アメリカ・第21爆撃機軍団の戦術作戦任務報告』(大阪空襲研究会訳・小山仁示監修)によると、「10000フィート(3000m)ないし11350フィート(3500m)の高度から合計778.9トンの焼夷弾を投下し、1.02平方マイル(2.64平方㌔)、建物密集地域の44%が破壊されたと記している。さらに、B29の「乗員は火災の真っ赤な輝きがほぼ200マイル(320km)にわたって見え、煙の柱が17000フィート(5200m)以上にまで達した」と猛火のすさまじさを記している。3月13~14日の大阪大空襲(第一次)も凄まじい空襲であったが、当時の人口283万人(昭和19年調べ)の大都市に対して合計1773トンの焼夷弾、かたや人口21万人(昭和19年調べ)の堺市に4割強の778トンもの焼夷弾の量。堺大空襲の濃密さが分かる。

(中略)

 この大空襲によって、2832人の死傷者、18446戸が焼失、70000人以上の罹災者を出した。

pp.211-12、強調引用者

 《単位人口あたりの投下焼夷弾数》という表現は出て来ないけれど、たぶんそのへん情報源がいろいろあるというわけでもないだろうから、出処は同じとみていいんぢゃないかしら。しかしそれにしても酷いもんだな。

 

 と、なんだかんだで、公衆トイレが堺観光を支えるほどの数になる日はずいぶん遠い未来なんだろうと思えて来ちゃった。う~ん。

 

南蛮船は入港しなかった―堺意外史

南蛮船は入港しなかった―堺意外史

 

 奇を衒ったふうに見えなくもないタイトルだけれど、著者は堺市博物館副館長も務めた方。怪しい話を大袈裟に語るタイプの本ぢゃないです。

 

Another Room もうひとつの部屋 (牛若丸叢書)

Another Room もうひとつの部屋 (牛若丸叢書)

  • 作者:海野弘
  • 出版社/メーカー: LIXIL出版
  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: 単行本
 

*1:【引用者註】原文縦書き漢数字。以下同様。

本日のMusic/Moon Zero - The Four Boys Tale、Endless Palms

 Moon Zeroは、ロンドンを拠点に活動するTim Garrattの個人プロジェクト。作曲や録音を教会で行うというのが特徴なんだかウリなんだかするらしい。YouTubeを漁っていると教会でのライブヴィデオも見つかる。

 本作は、

Moon Zero "Endless Palms" for Vogue Magazine ("The Four Boys Tale"). Shown at the Milano Fashion Week 2018 and played at the Fashion Film Festival Milano 2018.

と、ファッション関連というわけでなのか、ヴィデオに登場するヒトたちはいずれも俳優顔ではなくモデル顔というのが少々アレなのだけれど、それでも静止画ではなくて動画としてよく撮れているんぢゃないか。なんとなく気に入っちゃった。元曲の「Endless Palms」は、演奏時間もグッと長くなっている。ついでだから、あげておきますか。

 こちらのヴィデオもますますいい感じぢゃないですか。2016年3月にブクマってましたか、あらま\(^o^)/

 

 しかしなぁ、こういうアンビエントとかドローンとかその界隈的なエレクトロニカとかが気持ち良く聴けてしまうというのはどういうことなんだろうか。曲のあの部分とこの部分、あの作品とこの作品、ときにはあのアーチストとこのアーチストの区別が怪しくなるような、まるであの時とこの時、あの場所とこの場所の区別が消滅してしまった熱終焉後の宇宙みたいなヤツ。

 そこいらへん、鋭敏に聴き分けられないお前が鈍物なだけだ、とおっしゃられれば、返す言葉もございませんがぁ\(^o^)/

Tombs & Loss

Tombs & Loss

  • アーティスト:Moon Zero
  • 出版社/メーカー: Denovali Records
  • 発売日: 2014/06/10
  • メディア: CD
 

 「Endless Palms」収録。デビューEP『Tombs』と12インチ2ndEP『Loss』をまとめて2枚組CDにしたお買い得盤。

Tombs [12 inch Analog]

Tombs [12 inch Analog]

  • アーティスト:Moon Zero
  • 出版社/メーカー: Denovali Records
  • 発売日: 2014/07/08
  • メディア: LP Record
 

 アナログならばこちら。