直前期小論文講座その3/主題の定義・性格を考えるべし

主題は何かな?

 設問に設定されている主題をいい加減にしか考えてないダメダメ答案って、たぶんみんなが思っているよりずっと多い。ここでいう主題とは「何について」考えなきゃいけないのか。

 たとえば、「環境破壊について意見を述べよ」という問題なのに、「環境破壊」という語句が答案に一度も登場しないなんていう答案、決して珍しくないのだ。代わりになのかどうだか、「環境保護」とか「環境問題」とか「自然保護」とかいった語句が登場してたりはするんだけどね。ちょっと考えてみればわかると思うけれど、これってものすごく不自然でしょ? だって「破壊」と「保護」とでは語義の隔たりがあんまりにもはなはだしいんだもん。

「環境破壊」について意見が求められているなら、すんごく素朴に考えて、たとえば「環境破壊とは、人類が文明の営みを続けるかぎり、なにがしか不可避なものなのである」みたいに応えなきゃいけないはずだ。つまり、《主題についておいらはの意見はこうだ》というのがわかる記述が答案に不可欠なわけ。《主題について意見はこうだ》の中身をまとめるセンテンスを必ず考えておこう。

 

主題の定義、性格を考える

 主題を正確に把握したら、今度はその主題の定義や性格を考えてみよう。主題そのものを分析することが、より的確に設問が求める考察を可能にするってことは結構ある。

 たとえば、以前の記事で紹介した問題を見て欲しい(「主題を少し分析的に捉え直す」参照)。設問は《あなたはこの開発計画に対してどのように考えますか?》と問うている。主題は「この開発計画」だ。「この」の中身は元記事を見てもらうしかないけれど、でもこれだけでも「計画」ってどんなものかを考えると単純じゃない考察が可能になる。計画とは何かを行う場合の手順のこと。手順というからには、複数の段階があるはず。最初にこれをし、次にあれをする……という具合だ。とするなら、もちろん計画全体の適否を考えなければならないにしても、その考察の過程で、一つ一つの手順、ステップの適否を考える必要も出てくるはずなのだ。そういうふうに主題そのものを考えることで答案に求められる考察の理路が見えてくることだってある。

 

 そんなこんなで、設問を頭に入れたら、次は主題の定義や性格について考えてみるというのも、答案をスマートなものにするためには必要なことだったりするのだ。手抜きが行われがちなところ、くれぐれも忘れないようにしたいなぁ。

 

ライト、ついてますか―問題発見の人間学

ライト、ついてますか―問題発見の人間学