本日の埋草/Higher Levels of Fukushima Cesium Detected Offshore

 Woods Hole Oceanographic Institution の YouTube チャンネル はてなブックマーク - Woods Hole Oceanographic Institution - YouTubeから。演題は「Fukushima and its impacts」。

 といっても、この講演そのものが今回の主題ではない。この声質と抑揚でわからんちんの英語を1時間強聞き続けるような気の利いた真似が出来るほどの英語力と忍耐は僕には備わっていないのだ\(^o^)/

 

 というわけで、お話は「Higher Levels of Fukushima Cesium Detected Offshore」(Woods Hole Oceanographic Institution) はてなブックマーク - Higher Levels of Fukushima Cesium Detected Offshore : Woods Hole Oceanographic Institutionのほう。中身は表題の通り、というばかりではない。表題の件は、

Scientists monitoring the spread of radiation in the ocean from the Fukushima nuclear accident report finding an increased number of sites off the US West Coast showing signs of contamination from Fukushima. This includes the highest detected level to date from a sample collected about 1,600 miles west of San Francisco. The level of radioactive cesium isotopes in the sample, 11 Becquerel’s per cubic meter of seawater (about 264 gallons), is 50 percent higher than other samples collected along the West Coast so far, but is still more than 500 times lower than US government safety limits for drinking water, and well below limits of concern for direct exposure while swimming, boating, or other recreational activities.

ということだから、メリケン西海岸沖、放射性セシウムがたんと増えましたとはいえ、それでもメリケンの安全基準を大幅に下回っているから、飲もうがその中で泳ごうが問題なしということなのだそうな。

 ただし、これもすぐさま大騒ぎするようなことではないし、そりゃぁきっとそうだろうなぁという話なのだけれど、

Working with Japanese colleagues, Buesseler also continues to independently monitor the ongoing leaks from Fukushima Dai-ichi by collecting samples from as close as one kilometer (one-half mile) away from the nuclear power plants. During his most recent trip this October they collected samples of ocean water, marine organisms, seafloor sediment and groundwater along the coast near the reactors. Buesseler says the levels of radioactivity off Fukushima remain elevated – some 10 to 100 times higher than off the US West Coast today, and he is working with colleagues at WHOI to try to determine how much radioactive material is still being released to the ocean each day.

“Levels today off Japan are thousands of times lower than during the peak releases in 2011. That said, finding values that are still elevated off Fukushima confirms that there is continued release from the plant,” said Buesseler.

と、福島沖ではメリケン西海岸の、ざっと10倍から100倍の放射性物質が検出されるのだという。500分の1の10倍から100倍なんだから、メリケン基準の50分の1から5分の1ってことか。「本日の埋草/『豪雨で河川氾濫、栃木県小山市』と『Floods spark evacuations as Japan is deluged』の狭間で」*1でちょいと触れたように、今年に入ってからも東電のヘマのおかげさまで目立つ汚染水の海洋への流出を何度も繰り返しているわけだから、そういうことがあっても不思議はないんだろうなぁ。で、報告は、そういう目立つヤツがなくったって毎日漏れているんぢゃないかなっと。国内報道からだって、おおよそそんなものだろうという見当はついちゃうけれど、そこいらへん、変な障りがあって、放射能に過敏だと云われるヒトたち界隈を除けば、素直に語られる機会はあんまり多くないような気がする。気がするのは「※個人の感想です」ですけれども。

 

 ちなみに、冒頭のヴィデオは、この報告を出した Ken Buesseler のもの。今年3月に公開されたものだから、今回の報告の内容は登場していない。とはいえ、福島第一原発事故直後からずっと調査を続けているヒトの講演なんだから、気になるヒトには気になるでしょ。報告書と重なるところも結構あるみたいだし、質疑応答終わり近くでは、某首相の「あんだぁこんとろぉる」についての言及も出て来る。聴き取りでホイホイ英語がわかるヒトが全訳でも作ってくれるとありがたいところ。

 こういう地味な研究調査報告がメリケンの世論に与える影響は計り知れないものだ。検出がほとんど不可能なくらい小さいという意味で、だけれど。でも、福島に関心を寄せているヒトたちの心のなかに、東電なり日本なりのやらかし具合の印象は少しずつ蓄積されてゆくもんだ。蓄積されていった果てに、どんな気分が醸成されてゆくかを考えるとアレコレ、アレぢゃないかしら。

 

 というわけで、別に派手なニュースというわけではないのだけれど、以下の2点が気になったのでとりあえずメモしたというところ。

  1. この手の話、国内ではあんまり耳にしないのが気持ち悪い
  2. この話はイロリオが取り上げていたので眉唾だと思っているヒトがいそうだ(^_^;)

 第1点は、もちろん、僕がテレビ・ラジオ、あるいは新聞を全然目にしないからそう思い込んでいるだけの事実誤認に過ぎないという可能性を排除出来ないんだけれど、でもそういう話がネット経由でも、日本語情報となると、怪しいサイトの派手な眉唾話を除けばほんのわずかしか見えてこないのが気に喰わない。

 個人的なメモで済ませておいてもいいのだけれど、そういうのはたいていなくすものと相場は決まっているのだ\(^o^)/*2

 とか書いていたら、「『ダクト』内の汚染水の放射性物質濃度、前年比およそ4,000倍(福島15/12/10)」(YouTube) はてなブックマーク - 「ダクト」内の汚染水の放射性物質濃度、前年比およそ4,000倍(福島15/12/10) - YouTube「地下トンネルの汚染水濃度 約4000倍に上昇」(NHKニュース) はてなブックマーク - 地下トンネルの汚染水濃度 約4000倍に上昇 NHKニュースというようなニュースが出て来た*3\(^o^)/。「福島第一原子力発電所の状況について(日報)、2015年12月9日」(東京電力) はてなブックマーク - 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力はとりあえず確認。報道にある「原因不明」であることへの言及が一切ない。いずれにしても、今は関西にいるせいなのか、ネット以外からこの手の情報が耳目に入ることって滅多ないなぁ。テレビや新聞はどうなっているのか知らないけれど\(^o^)/。

 第2点、イロリオへの不信があったから。たぶん似たような不信を持っているヒトって多いんぢゃないかなぁ。実は何を隠そう、いや隠さない、僕は、イロリオに出た話、ことに理系絡みの話は眉に唾して読むべし、6割引きくらいの感じで読むべしというのを基本的なネットリテラシの一つに数えちゃっているので、どうしても気になる話はネタ元にあたってみることにしている*4。で、実は今回も「アメリカ西海岸で放射性物質を検出、微量だが濃度が高まっていると判明」(イロリオ) はてなブックマーク - アメリカ西海岸で放射性物質を検出、微量だが濃度が高まっていると判明というのが出ていたのが、そもそも。で、ソースのURLを見ると「http://www.whoi.edu/~」なんて、なんだか「WHO」に「i」をクッツケテみましたというような怪しいもの、調べてみなきゃなぁ、というわけでアレコレしてみたというわけ。たぶん、イロリオに対しては同じような目でみてらっしゃる方もそれなりにいらっしゃるのではないか、というわけで記事にしてみた。最近はほとんど読んでいないのでアレなんだけれど、ひと頃、批判がワッと出たことがあったんで、そこいらへん、多少は改善してみたということなのかな。

 「WHOI」というのは、「Woods Hole Oceanographic Institution」、ウッズホール海洋研究所の略称で、別に怪しい団体さんではなかった。1930年設立の由緒ある研究所で、1975年の昭和天皇訪米の折には見学先の一つにも選ばれている はてなブックマーク - Woods Hole Oceanographic Institution。ならば、信頼出来ない怪しげな話ではない、と素人的には判断しておいてもバチは当たらないだろう。そういうとこいらへんは、少しくらい知られていいかな、っと。もちろん、閲覧諸賢はかようなことはとうの昔にご存知なんだろうけれど。

 

付録

 

東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書)

東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書)

 

 別に特別お薦めというわけではない。それにしてもレヴュー、想像通りとはいえ、読まずに罵倒中傷ばかりというものが多いなぁ。僕も実は読んでいないのだけれど\(^o^)/、読んでいなくても読んでいないことがわかる罵倒が並ぶ眺めはなかなかのものだな。けれど、本書は今年の夏、独訳も出て世界に福島のイメージを作る著作となりつつある。なんだかの賞も獲っていたんぢゃなかったっけか。責任ある批判をするつもりなら、ちゃんと読んでおいたほうがいいんぢゃないか。

 

Als Premierminister waehrend der Fukushima-Krise

Als Premierminister waehrend der Fukushima-Krise

 

 というわけで独訳。ドイツ語はパープーなので、ますますもって僕は読みそうにないのだけれど\(^o^)/。

*1:【復旧時註】未復旧エントリ。

*2:【復旧時註】当時とった本件に関するメモ、実際、しっかりなくしておるわ\(^o^)/

*3: FNNローカルもNHKも比較的早く閲覧できなくなってしまうので、気になる方は早めにチェックされたし。/【復旧時註】いずれもすでにリンク切れ。

*4: と胸を張って云いたいところなんだけれど、なかなか実際にはそういう手間を払わないんですけれどね\(^o^)/。