反-欲望のオブジェ、みたいなことを

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亀戸

 何だろう、この中途半端な残され方は。

 完全に壊そうとすると、奥の塀も壊さなければならなくなる。仕方なく下半分を残したのだろうとは想像はする。でもなぁ、という気もする。

 たぶん、右に見える電柱は、この中途半端に残された電柱に換わるものとして作られたのだろう。もし、その破壊に苦労するほど頑強なものだったとするなら、そもそも新しい電柱など作る必要はないんぢゃないか? そもそも、仮に頑強だとしても、すべて取り去ってしまう方法に窮することなんてあるんだろうか? 解体の方途を考えずに作れば必ず困ることが出て来るはずのもの、そこいらへんへの考慮なく立てたりはしないだろう。いやいや、東京電力だかその関連会社だかがやることだから、案外ロクすぽ考えなしに立てちゃった可能性だってあるんぢゃないか、と考えるのは厭味が過ぎるか。

 何にしても、素人の与り知らぬ事情によって中途半端に残されたこの電柱、その事情の中身とは関係なく、造形としてそこはかとない魅力を漂わせているように見える。

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亀戸

 残された電柱の上部。ちょっとばかり背景がアレだけれど、イソギンチャクの触手状に伸びた鉄筋や巻かれたラップや、写真ぢゃイマイチはっきり写っていないのだけれど錆が流れた跡が、ただ偶々中途半端に残されたという以上の造形感を醸しているように見えないかしら?

 

 造形意図のない造形、何の欲望とも無縁のオブジェ、オペレーションなきチャンス・オペレーション……イー加減でテケトーな言葉を頭の中で転がしながら、しばし見惚れてしまった(^_^;)。ま、暑さでボケてますってことですかね。いやはや、やれやれ。

 

欲望のオブジェ
欲望のオブジェ
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