眠りスマホ問題
若者の中には、眠っているはずの時間にメイルやらSNSやらの書き込みをしながらそのことを記憶に留めていない者が出て来ているという、俄には信じ難いようなお話。しかし、ググってみると話題自体はもう5年前あたりにはあったもののようだ*1。ちゃんとした睡眠の妨げになるばかりか心身ともにいろいろ悪影響が出て来るとかなんとか。
半ば眠りながらの書き込みとなると、シュルレアリスムの自動書記やらチャネリングやらのことを思い起こさずにはいられないのだけれど、いずれにしても訳のわからない言葉が連ねられるに決まっていて、そんなメッセージを受け取るほうはさぞかし迷惑に違いないし、送った方だって始末に困る。
スマホについてアレコレ五月蝿く云うと老害扱いされちゃうのがオチなんだけれど、お若い方は、まぁお気をつけになるがいいですぜぃ。
これにかぎらず、眠り界隈をめぐる最近の話には旧来の世間一般の思い込みを覆すようなものが結構ある。たとえば、
登校時刻を1時間遅らせたところ、学童の睡眠時間が平均34分延び、成績も4.5%上昇したそうです。今朝の「科学進歩」誌より→https://t.co/YYwIgIhbLm (米国シアトルの高校での実地実験)
— 池谷裕二 (@yuji_ikegaya) December 12, 2018
というようなの。リンク先論文のアブストラクトに目を通してみると、
……The Seattle School District delayed the secondary school start time by nearly an hour. We carried out a pre-/post-research study and show that there was an increase in the daily median sleep duration of 34 min, associated with a 4.5% increase in the median grades of the students and an improvement in attendance.
Sleepmore in Seattle: Later school start times are associated with more sleep and better performance in high school students | Science Advances
とあって、成績や睡眠時間のみならず出席率も向上したという結構なお話。
New research reveals that college students study best later in the day - University of Nevada, Reno*2でも、学校の始業は午前11時か正午あたりが望ましいとする研究結果が出ている。
「早寝早起き朝ごはん」がイイんだという思い込みが世間では根強く
昔は「四当五落」*3などと云われたものだけれど、今日では「6時間睡眠を10日間続けると、徹夜レベルと同じ認知能力になる」という研究結果もあるのだとか*4。しかるに、「睡眠、40代最も短く 厚労省 6時間未満が半数」(日本経済新聞)とあってみれば、そりゃぁ日本の一人当たりGDP世界第25位というお粗末*5も
そんなこんなで、「悪いヤツほどよく眠る」というアレ、実は世間の善人どもを出し抜く知恵を絞り出すには、睡眠時間の確保が重要だって意味だったのかもね(ヾノ・∀・`)ナイナイ。
*1:cf. A new disorder is plaguing teenagers: Sleep texting - StarTribune.com、2013年12月6日付記事など。
*2: 日本語による紹介記事としては、「『大学での学びを改善するには午前11時以降に授業をスタートするのが良い』という研究結果」(GIGAZINE)あたり。
*3:「5時間睡眠では落第、大学合格には4時間睡眠で学習時間を増やせ」の意。
*4: 「『日本人が眠れないのは会社のせい』広告代理店出身社長が語る国民総睡眠不足の原因」(Ledge.ai)、ネタ元未確認。