暑中お祝い申し上げます

 グテレス氏は「こうした異常気象は氷山の一角だ。そしてまた、氷山も急速に解けていっている」*2と警告。前回の「最も暑かった7月」は2016年で「強力なエルニーニョ現象の影響だったが、今年は違うだけに、より重大だ」と指摘した。9月の気候行動サミットに参加する各国指導者に向け「具体的な計画」を持ってくるよう呼び掛けた。

 「世界の7月気温、史上最高に匹敵 国連事務総長が警告」(共同通信) hatena bookmark

というわけで、

暑中お祝い申し上げます。

 とはいえ、80年後あたりと比べれば、上掲ヴィデオの仰せの通り、まだまだどうして涼しいものでございます。80年後でヤんなっちゃうのは、仮に1.5℃目標が達成されたとしても、現在のような涼しい夏が迎えられるわけではないということ。

 要するにどれほどがんばっても平均気温1.5℃程度の上昇は甘んじて受け入れる以外になくなっちゃっているというわけだ*3。「与太」としては「極私的脳戸」時代からちょこちょこと気候変動ネタを取り上げてきたけれど、あぁ、とうとうお役所がおおっぴらにこういう話を取り上げるようになっちゃったのかぁという感慨があるなぁ。国連環境計画(UNEP)の報告書(「地球環境概況2000」*4)によると「90年代後半の大気中の二酸化炭素濃度は過去16万年間で最高。京都議定書の目標すら達成できそうになく、地球温暖化の防止はおそらく手遅れだ」(日本経済新聞、1999年9月9日)*5なんていう報道があった頃、こういう話を取り上げても、真面目に取り合ってくれる大人はそれほど多くはなかった。僕だって、専門家ぢゃないんだもん、ヒリヒリとした危機感を持っていたわけでもないけれど。

 高齢化が進んだ未来の日本での高温化した気象というのは、たぶんさらなる人口減少圧力としてだって働くことになる。平均気温4.8℃上昇時の年間熱中症死者数1万5千人超という数字は、ひと頃の「交通戦争」時代の交通事故による死者数とどっこいどっこいのものにすぎないし、2018年の自殺者2万465人(厚生労働省統計)に及ばないが、21世紀末、半減した人口の中ではそれなりのインパクトのあるものだろう。

 それでもヒトはまだ文明の力を頼りに生き延びることが出来なくもない。けれど、動物はどうか。「【気候変動】気候変動のスピードに動物の適応がついていけない」(Nature Communications、Nature Research) hatena bookmarkなんて話がある。それでもまだ動物なら、涼しい環境を求めて北上するなり南下するなり移動して、それなりの早さで適応できる種もそれなりにないでもないかもしれない。植物となるとどうか。最近では、動植物を問わず国内では「生態系を維持する」と称して在来種を守り外来種を駆除する活動がそれなりに盛んであるみたいだ。しかし、その生態系そのものが根本から脅かされ在来種が生存できない環境に移行してゆく平均気温4.8℃上昇の未来に向けて、いつ頃まで活動は健全なものであり続け得るのだろう。というような僕が気にしても意味のないことが気になったりする。

 まぁ滅んでゆく生物種もあれば、「4万年前の線虫も......氷河や永久凍土に埋もれていた生物が温暖化でよみがえる」(ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト) hatena bookmarkと、「よみがえる」生物種もあるわけで、世の中丸く収まるわけですかね(違。

 その他、気候変動ネタで目についたものは、「climateに関するNeanのブックマーク」(はてなブックマーク) hatena bookmarkに集めてある。全然網羅的ではないのだけれど、よろしければ。

 

 

*1: 7月9日公開。

*2: 「氷山」の扱い、原文ではどうなっているのかしらね。問題であるところの「氷山」が溶けちゃったら問題もなくなってメデタシ、メデタシみたいぢゃないですか、これぢゃぁ。

*3: 実を云えば、もうすでに1℃ほど上昇しちゃったという話もあって、1.5℃上昇に留めるという目標達成は非常にむずかしくなっているとかなんとからしい。う~ん。

*4:cf. google:地球環境概況2000

*5:cf. google:京都議定書