「最近出来た大学」とはどこか/Voices Of The Old People

 過日、母との会話。

――ウクライナ侵略の報道で、これまで見ぃひんかった先生とか出て来はるけれど、慶應のなんとかいう女の先生とか*1、ほれ、最近出来た大学のやっぱり女の先生とか……、ウクライナが終わったら出て来はれへんようになるんかな。今が書き入れ時やな。そやけど、なんてゆう大学やったっけ、最近出来たやつ? 国立の」

――国立で、かぁ?」

――ほれ、自殺者が増えて難儀してはる……」

――自殺者で国立ゆうたら筑波やけど、最近とちゃうしなぁ」*2

――そやそや、それや、筑波大や*3

 80代も半ばを過ぎてしまうと筑波大学も「最近」出来た大学になってしまうのだな。

 もうお一方、「慶應のなんとかいう女の先生」は、慶應でもSFCのほうではなかったっけか。筑波大学と比べれば、そちらのほうがずっと最近になって出来たんだがなぁ*4。と、そのへんは反論せずにグッと呑み込んだけれど。

 と考えながら、しかし、SFCって筑波大と比べなくったって結構「最近出来た」って印象が自分にはあるかもなぁ、というような気がしてきたのだった。あれだって出来たのは1990年、今を去ること32年前。「最近出来た」なんてうっかり口を滑らせれば、もう本格的爺ぃ扱いされても文句は云えない。まぁ、せいぜい気をつけないと。鶴亀、鶴亀。

 

Bookends

 「Voices Of The Old People」収録。邦題「老人の会話」だったっけかな? ガーファンクルがニューヨーク郊外だったっけかの老人ホームを巡って、爺さん婆さんたちの会話を録音し、サイモンと二人で編集して制作したとかなんとか。ミュージック・コンクレートというふうにも受け取られるのかもしれない。でも、単語を基礎単位としてではなく、会話の中の話を単位として作られた*5、一種の詩のようなものというふうに僕には聞こえる。

 それとは関係ないけれど、「空耳アワー」で「老人の会話」がネタにされたことがあって、これが傑作なので大いに推しておきたい。「Voices of Old People Simon & Garfunkel Japanese Phrase」(moe y、YouTube)がそれだ。ただし、紹介されている「ママ、醤油、ママ、醤油、走っちょる」に対応するはずの英文、たぶん原文通りぢゃないんぢゃないか。「I must show you, I must show you, なんとかかんとかpicture」とかぢゃないか? Sugerとかはさすがに出ていないんぢゃないですかね?

 

*1: たぶん、wikipedia:廣瀬陽子だよね?

*2:cf. wikipedia:筑波病

*3: ということは、wikipedia:東野篤子かな?

*4: あと、ついでながら、東野教授も、出身学部は法学部だけれど慶應大学だし、旦那様はSFC総合政策学部の准教授を務めておられるのですね、ウィキpに当たったところによると。へぇ~。

*5: 入澤康夫に「売家を一つもつています 作文のおけいこ」という作品がある。単語ではなく仏作文の教科書に掲載された例文を単位にしてそれらを選び並べ替えて作ったものだという。ここではあぁいう感じを思い浮かべている。入澤作品のほうが遥かに手の混んだ仕上がりだと思うけれど。