本日の降霊術2.0/RoboGranpa T800

「爺ちゃん、あんた死んだってことわかってる?(Do you understand you are dead?)」

 のっけから、これなんだもの。真面目な製作物というよりは何かのおフザケアートに近いものなんだろうか。

Alexander Osipovich, a scientist from Perm, Russia, has engineered a very special kind of family reunion. Using 3D printing and AI technology, Alexander has managed to build a ‘new’ version of his deceased grandfather and, by uploading seven hours of family footage into the robot, is able to have a simulated conversation with him.

Dead Grandpa Brought ‘Back to Life’ in Robot Form - Russia Today、YouTube

 概要欄の説明を見るかぎり、なぁにが「Using 3D printing and AI technology」だぁ\(^o^)/ってな気になってくる。旦那、深層学習のこのご時世、たかだか7時間のホームヴィデオの映像から再構成できる人格なんてたかが知れたもの、そんな表層学習ぢゃぁ、とても「ロボ祖父さん(RoboGranpa)」と呼べるような代物が出来上がるわきゃぁござんせんぜぃと申し上げたいところぢゃないか。

 だいたいからにして、なぜ祖父さんがT800姿で再現されなければならないのか*1。死者の召還とは、未来からばかりではなく、過去からも禍を呼び寄せるようなものだということかしらね?

 とまぁ、上のヴィデオだけでも充分に怪しいのだけれど、このシステムのディスプレイを見、上の会話の全体を見るとマスマス募る胡散臭さ。

 開発者さん本人のYouTubeチャンネルから。開発の経緯に簡単に触れる部分があってのち、冒頭の映像中にあったRoboGranpaとの会話全篇(かな?)が収録されている。会話内容が自然な会話というよりは小賢しいシナリオに則った演技っぽくも見える、のは、こちらの過ぎた勘繰りかしらねぇ。うーん。

 

 「本日の備忘録/死者たちの群がるメタバース、あるいはまたまた降霊術2.0」で紹介したメタヴァース内に死んだ子どもたちを蘇らせようとするプロジェクトもそうだけれど、あからさまに技術的な基盤があやふやであるにもかかわらず、ずいぶん堂々と誇らかに自分たちの技術を語る様子には、たとえある種の冗談か何かだとしても、なんだか危ういなぁと感じさせられちゃう。こちらを騙そうとする意思の有無に関わりなく危うい感じ。

 というあたり、たぶん僕だけが持つ感想ではないような気もするけれど、どうかしら。もちろん、そういう感想はこちらがAIだのロボットだのに門外漢の素人だから持っちゃうものかもしれないけれど。

 

 ことのついでに。

なんぞも一つよろしく。

 

立ち読み課題図書、その他

 ひさしぶりに読み返して、やはり面白かった。

 ただし、面白かったのは設定やストーリーの展開。言葉の密度が足りない感じが最後まで拭えなかった。翻訳の問題ではなく、原文がそういうタイプのものなんだと思う。たとえば、高村 薫が本作を書き直したならば……というようなことを妄想したり。とてつもなく読みでのある犯罪小説になりそうぢゃないか。

 

 上の映画化されたヤツ。名画座で一度見たきり見直す折を持てないでいる。主演のテレンス・スタンプがチャーミングだし、●●●●●ネタバレなあたりなど原作のいくらか希薄なところを、映像ならではの濃やかさに置き換えて捉えているところが良かったような。記憶に自信はないのだけれど。

 現在絶版ということでマケプレ価格は絶賛高騰中。

 

 

 おっと、もう出ているのだった。

 

*1: 実際のところは本人の好みに過ぎないと考えたほうがいいのかもしれない。開発者本人のYouTubeチャンネル(Александр Осипович - YouTube)を見ると、ロシア語がさっぱりわからないけれど、T800によほどご執心らしいという見当はつく。