via. 「Humanoid robot makes music video debut」(Reuters、YouTube) 。かすかにDavid Langの「This Was Written by Hand」 を思わせるようなピアノの細かな音の絡み合いが気に入っちゃった。
ヴィデオの末尾には「Istituto Italiano Di Tecnologia」の名前も見えて、といってもイタリア語は僕にとってはギリシア語みたいなものなので、さっぱりわかんないのだけれど、たぶん科学技術系の大学か研究機関かっぽいところで作られた、ホンモノのロボットが登場しているのだろう。だから、ロイターの見出しも説明されるコンセプトもロボットのほうに焦点が置かれていもするとして、いやしかし、この程度でホンモノのロボットが登場していることにどれくらいの意味があるのか、ちょいとよくわからない。部分的に利用されているCGを拡充するような表現を考えたほうがよくないですかね。中途半端なロボットの起用のおかげで、ロイターの報道で語られるヒトと機械の共存の未来云々という理屈は、かえって作品を胡散臭いものに見せるように思えもする。おまけに、たとえば、2001年リリース宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」(Hikaru Utada、YouTube) のPINOの登場するMVのような先行事例のほうが、ずっと抜き差しならない形でのロボット起用になっているといっていいんぢゃないか*1。だから、そのへんがクローズアップされるのは、どうも見当が違うんぢゃないかという気がする。と、例によって書くつもりのなかったケチをついつい書き連ねてしまったのだけれど、音楽についてならばこちらはこちらでなかなかカッコいいんぢゃないかしら。
Alex Braga(「アレックス・ブラガ」でいいのかな?)、例によって全然知らないアーチストさんだけれど、軽くググった範囲では、DJ、ミュージシャン、テレビ司会者&作家活動やらイタリアでは有名なヒトみたい。AIを音楽創作に活かすアイディアも彼の呼びかけに応じたローマ第三大学とIstituto Italiano Di Tecnologiaとの共同研究か何かで作り出しているとかなんとか*2。で、出来上がったのがここで使われているA-Mint(Artificial Music Intelligence)なのだそうな。A-Mintは、リアルタイムでプレイヤの演奏を分析し、デジタルアンサンブルで音を重ねてくるものになっているとかなんとか。そういう素早い学習となると、昨今流行りのディープ・ラーニングの類ではどうにもならないだろう。おまけに、プレイヤが仮に同じ演奏を繰り返しても、異なる反応を返す能力があるとかなんとか。そんなこんなでステージ上での即興ライブにも対応しているのだそうな。それって、ちょっとすごくないですか? どういう「分析」がなされているのか気になるところだけれど、まぁ解説されてもホイホイ理解できるわけはなさそうだから、知らぬふりをすることにするかぁ\(^o^)/
上のヴィデオ中でどう用いられているのかどうかよくはわからないけれど、それと知らずに耳にすればピアノ演奏を囲む音がAIによって創られたものだとはまずわからない。音楽ネタなんだから、ヴィデオへのロボット登場よりこちらのほうがよほど注目すべきところなんぢゃないのかな?>Reuters。
Spleen Machine EP - YouTubeから全曲試聴出来る。ただし、作品の収録順序はオリジナルと異なっている。あらま。
*1:cf. 「あの『PINO』がついに発売――ツクダオリジナルがシリーズ展開」(ASCII.jp)
*2: ちょっとこのへん怪しい(僕の語学力的な意味で\(^o^)/)