本日の備忘録/盗作疑惑

 デュア・リパ(Dua Lipa)様の盗作疑惑となると気になるところ*1。気になるところではあるけれど、このへんについての基本的な僕の考え方は、「バベルの図書館の『あったかいんだからぁ♪』の狸2世」の頃とほとんど変わっていない。流行歌はやりうたは、一定の聴き易さが必要であり、したがって、リズムは4拍子系で調性も比較的単純でなければならず、口遊くちずさみやすいメロディが断然必要ということになれば、出来上がる歌の範囲はそれほど広いものにはならないだろう。まったくの同一の歌が偶然に出来上がる可能性はさすがに低いだろうが、かなり似ているかほとんど同一のフレーズが登場する程度のことは、そりゃぁそれなりの頻度で生じるに違いない。実際、「バベルの図書館……」で引用したヴィデオをご覧になれば、《独立して作られたとはとても思えない》*2と思えなくもない曲というかフレーズが続々登場してくることに驚くヒトがいてもおかしくはない。今回もそういう理解で問題ないんぢゃないか。

 以前、Led Zeppelinの「天国への階段」騒動の折の無罪判決理由を思い出したりもする。原告側作品も「天国……」も、そもそも、いうほどのオリジナリティなどないって話。たしかにそっくりに聴こえるんだけれど、似たようなのは他にもいくらだってあって要するにどちらもオリジナリティなんかないぢゃん、というお粗末様*3。無罪ってことでゼップの面々も喜んでいる、みたいな報道など眺めつつ、君ら、オリジナリティを否定されているというのに、そんなに喜んでおってええんかい? と感じたヒトも結構いらしたのではないかなぁ。

 で、今回の騒動も、とくにAdam Neelyの方のヴィデオを聴き流した感じだと、似たような作品は他にもあるみたい。したがってまた普通に考える限り結論としてもゼップのと似たりよったりなところに落ち着いちゃうんぢゃないのか。裁判そのものがどう転ぶかはわかったもんぢゃないけれど。

 

 何となく俳句の類題みたいなことも連想クイズ的に思い浮かべるのだけれど、五・七・五近辺の音数を守りながらとはいえ、無季だったり自由律だったり、語彙そのものだって時代とともに拡大していくあたりも考えれば、存外ポップソングのメロディよりも、表現の幅はずっと広く保ち続けることができるかもしれない。ってなことがある程度正しいとすれば、「ポップソング、第3芸術論」とか、書けちゃいやしませんかね。ま、ダメか\(^o^)/

 

Future Nostalgia

Future Nostalgia

Amazon

 他にストリーミング等あり。Amazonでは、Artikal Sound System「Live Your Life」そのものも収録アルバムも見当たらないみたい。探し方が悪いんですかね。

 

 

*1: 英語がササッと読めてしまうヒトには、「Dua Lipa Accused of Stealing Levitating in New Lawsuit」(Billboard)あたりが便利か。リパ様の訴えられた作品と訴えた側の作品、それぞれ音源が紹介されてもいる。未だ耳にしていないヒトにはなお便利。

*2: 前脚注で紹介したビルボードの記事に引用された訴状中の言葉。

*3: 裁判ではゼップ側弁護士たちが、いかに同じコード進行の曲がたくさんあるかを証拠として提示していたのが笑えたくらい。『メリー・ポピンズ』の「Chim Chim Cher-ee」(YouTube)まで引っ張り出していたんだもんなぁ。そこまでいくと、低音の下降くらいしか似てないでしょうにぃ、って感じなんだがぁ。