本日のSongs/Saya Gray - 19 MASTERS

 Saya Gray、ファースト・アルバム。アルバム全体がYouTube、playlistで公開されている。仕上がり具合はいい感じ。

 個性的な声質はこれまで通り。アルバムになってみると、とくにアレンジの、うっかりすると聴き逃されてしまうのではないかと不安になるような繊細さを伴った多彩(?)にも耳を奪われる。楽器編成は小さいし音数も多いわけではない。作品もほとんどが短く*1、ちょっとした工夫といった程度では、それぞれの独自性を打ち出す編曲は難しい。このあたりだけでも、耳を傾ける値打ちはあるんぢゃないかな。

 

 Saya Grayは、これまでに2度ほど、ここで取り上げたことがある。毎度意味ある内容はないので、引いてあるヴィデオ音源を聴く以外には覗く価値がない。…(;´Д`)ウウッ…

 YouTubeで追いかけて来ただけだから、ファンを名乗るわけにはいかない。それでも、とうとう出たな、というような感慨をついつい持ってしまう。少なくとも、「SHALLOW (PPL SWIM IN SHALLOW WATER)」の衝撃みたいなものはたしかにあったわけで、あぁあのsongのヒトがソロでアルバムを出すに至ったのかぁ、と本作の出来不出来とは関係なく*2、孫の成長に目を細める爺ぃ的気分が湧いてきても仕方ありませんね\(^o^)/。

 

 上のエントリで取り上げた2作品は、このアルバム中に生き残ってはいない。とくに2曲目の「ZUCCHINI DREAMS (AUBERGINE MEMORIES)」などは、YouTubeのオフィシャルチャンネルではUnlisted扱いになっていて、Uploads from Saya Grayのリストから外されている*3。もっとも作品中の日本語による「ようこそ、私の世界へ」という言葉ばかりは、「1/19」に、決定的な形で残され、独立したトラックとしての地位を獲得しているのだけれど。「ズッキーニの夢(茄子の記憶)」が、「本日のSong/Saya Gray - ZUCCHINI DREAMS (AUBERGINE MEMORIES)」の脚註で触れたみたいに、仮に死者召喚の歌だったとすれば、このアルバム冒頭の言葉は、新たなアルバムへリスナーを招くための言葉としてのみあるのではないと受け止めることも出来るんぢゃないかという気もする*4

 そこいらへんは、歌詞が読める環境が出来てからゆっくり考えればいっか。

 

 これは個人的な聴取からの妄想みたいなものだし、おまけにその感想、歌詞の類の聴き取れた(つもりの)部分にのみ基づいているに過ぎないしろものであって、とてもではないが他人様ひとさまに共有してもらえなどしないと思うのだけれど……何となく連想がDavid Langの作品に飛んでいってしまう。David Langの『Death Speaks』*5だ。この作品が死の側からの招きであるのに対して、『19 MASTERS』は死者の迎え入れであるような、龍虎図みたいな組み合わせを思い浮かべてグッとキちゃったりする。やれやれ。

 比べるにしても、いささかタイプが異なり過ぎちまいますかね。

 

 そんなこんなで本アルバムは断然買いだと思うのだけれど、爺ぃとしては盤でなきゃ厭だという蟠る気分がモクモクと湧いてくるのがなぁ。う~ん。

 

Death Speaks

Death Speaks

Amazon

 歌唱は、My Brightest DiamondことShara Nova。で、こちらはちゃんと盤が出ているのですね。

 

*1: 全19トラック中、3分に足りないものが12もある。

*2: もちろん、出来はいいのだけれど。

*3: リストから外されてはいても、削除されたわけではなくて、段落冒頭のようにURLさえ知っていれば現在でも閲覧できる。

*4: こういう感じはアルバムの随所にあるように思う。とくにアルバムの随所に登場する日本語のセリフ部分には。もちろん英語の部分にだって、たとえば、多少面倒なラブ・ソングかなと思えるところに、Honestly we'll get too close, I'll go ghostのような言葉が現れると、これは恋愛を巡る単純な喩とは限らないんぢゃないかという気がしてくる。英語全体がちゃんと聴き取れていないから、この手の妄想に耽っちゃっているだけかもしれないけれど\(^o^)/。

*5: リンク先はYouTubeのplaylist。